1950年代初頭のアメリカ。第二次大戦後米ソの冷戦がはじまり、アメリカは「赤狩り」に突入。政治家や役人に限らず、ハリウッドでも次々に、監督や脚本家、有名・無名の俳優たちがやり玉にあげられました。
映画は、実在の人物をモデルにしたもので、主人公は売れっ子の監督。ロバートデニーロが扮しています。真実の瞬間 (1991年の映画) - Wikipedia
彼は若い時に共産党の集会に参加したことがあり、そのことを調べられて「アカ」とみなされるのですが、彼が言うには、集会で彼は党の主張に反対意見を述べ、そのため議論になった。そういうことが数回あり、参加しなくなったと弁明するのですが、政府側は全く聞く耳を持ちません。
彼の同僚の俳優や脚本家たちも次々にやり玉にあげられ、同僚たちの名前をあげさせられます。デニーロはそれをかたくなに拒否。すると、すべての仕事がなくなります。FBIが見張っているため、どんな仕事であれ再就職はできず、家族の身にも累が及びます。
実話に基づいたこの映画、地味で、ほぼ知っていることばかりでしたが、何度見てもこの時代のアメリカにはぞっとします。デニーロ扮する監督が挙げられたのは1952年ころ。赤狩りが収束し、ハリウッドに平穏が戻ったのはなんと1970年代に入ってからとのこと。映画でデニーロの弁護士となる俳優は、実際に赤狩りを体験した人物だそうです。
それにしても、このころまでのデニーロはかっこいい。役柄によって、全く違う人物になりきるところは変わりませんが、太っていないデニーロが好きです。