アンティマキのいいかげん田舎暮らし

アンティマキは、愛知県北東部の山里にある、草木染めと焼き菓子の工房です。スローライフの忙しい日々を綴ります。

映画「仮面の米国」

2025-01-03 22:24:37 | 映画とドラマと本と絵画

  1930年代にできたアメリカ映画。https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?TITLE_NO=10884 脱獄物の走りだと言われているそう。よくできた映画でしたが、みているのがつらくなるほど、いやな場面が続きました。

  主人公は戦地から帰還して故郷に戻り、出征前に務めていた地元の工場での勤務に就きます。しかし彼の望みは土木の仕事に打ち込むこと。戦争中の工兵としての経験を活かしたいと考えています。で、兄の反対を押し切って出奔。アメリカのあちこちで進められている大型土木工事の仕事に就きたくて、転々としますが、思わしい仕事は見つかりません。ほぼ文無しになったときに知り合った浮浪者らしい男に連れられて入ったバーで、浮浪者は突然店の主人に銃を突きつけ、強盗を働こうとします。戸惑う主人公に金庫から金を盗むよう指示しますが、やってきた警察官に殺されます。主人公は金を懐に入れて逃亡を試みますが、こちらも逮捕されます。

  前科なし、人を傷つけてもいないというのに、彼はなんと懲役10年という厳罰を科され、刑務所に送られます。その刑務所で、彼は他の囚人同様、両足に鎖をつけられ、重労働に従事させられます。重労働はつるはし一本で硬い岩盤を割るという作業。あるときは古い線路を壊す、という作業もさせられているので、囚人は当時のアメリカにとって重要な労働力だったのではないかと思われました。この過酷な労働の場面がすさまじい。

  主人公は耐えかねて脱獄。名前を変えて都市で土木建設会社に入り、頭角を現します。ジャンバルジャンみたいに、優良な市民になりつつあったその矢先、密告によってあえなく逮捕。そのあとがすさまじい。題名の「仮面の米国」とはこういうことだったのか、とおどろきます。

  本作は、この映画のモデルになった実在の人物(当時も逃走中だったそう)の証言によって作られたそうです。上映後、この人物が逮捕され重労働を科せられたジョージア州は、映画会社を訴えたそうですが、数年後には、チェーンギャングシステムと呼ばれる、囚人を鎖で拘束するシステムは廃止になったということです。暗くて苦しい映画でした。

 

 


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