豊田市旭地区にある廃校を利用した施設つくラッセル。そのつくラッセルの元理科室で、昨年春ころから、アイスクリームの製造が始まりました。
製造を始めたのはコレカラフーズの水澤孝司さん。彼は豊田市山間地域に移住してから、ケイタリングをはじめ、イベントでもよくご一緒していました。数年前には、豊田市街地に店を開き、おいしくて手ごろな値段の定食をいただけたので、何度かたずねたことがあります。個人宅の講座に参加した時は、講座の内容もさることながら、彼の持ってくるベジカレーも楽しみでした。
もっぱら料理専門の方と思っていた彼がアイスクリームを始めたと知り、かなり驚きました。でも、きっと彼のことだから、飛び切りおいしいに違いないと思って、手に入るのを心待ちにしていました。
やっと手に入れたのは、夏過ぎころ。旭のてくてく農園の卵を使った彼のアイス最中を、足助のパレットで販売していることを知り、購入しました。卵の味がしっかりしていて、甘さはほどよく、しかも脇役にとどまらずに十分おいしく食べられたのが最中の皮。もち米でできています。
2回目に手に入れたのは、昨秋の耕ライフマルシェ。こいけやクリエイトの蜂蜜をたっぷり使ったアイスキャンディーをいただきました。
フェイスブックで、彼は次々に新作アイスを発表。クリ、梨、チョコレート、ミカン、イチゴ・・・・。なかでも栗と梨はぜひとも食べたいと思っていたら、やはりパレットでも発売開始と知り、手に入れました。アイスクリームそのものをあまり食べない私ですが、きらいではない。そそられて買うのはたいていハーゲンダッツなのですが、1個は到底食べられません。甘すぎるのです。
コレカラのアイスクリームは甘さが私好み。甜菜糖を使っているから、甘さが白砂糖のようにストレートに来ないこともありがたい。
いただいた栗アイスクリームは、栗がたっぷり。栗きんとんとマロンクリームの中間のような味があって、和菓子と洋菓子のいいとこどりした食べ物になっていました。
そんなこんなで、材料にも作り方にも興味津々のコレカラフーズ。昨年暮れに、見学する機会に恵まれました。
理科室がアイスクリーム製造所。ピッタリの場所、という感じです。
静かで空気のきれいな元お山の学校で、水澤さんにお話をお聞きしました。
「使っている果物類はほぼ、友人や友人を介して知った人たちが大事に育てたものばかり。彼らと彼らの産品を紹介したくて、アイスクリームという食べ物に託した、そんな気持ちでつくっています」
その果物のおいしさを生かすためには、糖度をどれくらいにするかに腐心なさったこととおもいます。ジェラートの糖度はだいたい40度くらいだそうですが、彼のものは26~28度。かなり低めです。それだけに果物の味がよくわかる。
「果物はただそれだけで食べるとしっかり味があるのに、ジェラートやアイスにすると、どうも味が生かされないものが多い。ミカンも梨も、全体量の8割入っています」
梨の場合は、シャリシャリした食感を生かしたくて水分量を調節。元の食材の味を生かす苦労というのは、私も多少は経験していますが、生でほぼ直接的に味わうのが身上のアイスクリームやジェラートは、また違う苦労があるようです。
ところで、わたしがこちらのアイスクリームを食べてみたいと思った理由の一つは、山地酪農の牛乳を使っているから。
「ミルクが苦手で、一般の牛乳は使う気がしない。だけど、良質のグラスフェッドの牛乳なら使ってみたいと思って選びました」
乳脂肪分の少ない山地酪農の牛乳だからこそ、他の具材との相性の良さも際立つのでしょう。
ところで、安定剤を使って形を保つのが普通のアイスクリーム。かわりに水澤さんはこんにゃく粉を使っています。それで無添加アイスクリームができるというわけです。入っているのは、くだもの、甜菜糖、こんにゃく粉。あるいは、牛乳、こんにゃく粉、甜菜糖。いたってシンプルです。
菓子類の製造には興味のなかった彼が、氷菓とはいえ、甘いお菓子の製造に踏み切ろうと決意したのは、一昨年の暮れ。
「お世話になっている方の家で勧められるままに酒を飲んだのです。その方は癌で奥さんが入院なさった直後。かなり参っていた時なので、慰めたいという気持ちもあって、相当飲んだんです。完全に酔っぱらい、地べたで寝てしまった。目覚めたときに突然やろう!と決意し、その翌々日、保健所へ行き、製造に関する許可を申請するための条件などを聞いたのです」
「アイスクリームはポップなものだけど、嫌いない人はまずいない。誰の口にもあう。幼児にもお年寄りにも。そしてさまざまな材料が使える。可能性がとても広いな、という直感がひらめいたのです」
こちらは、開発中の甘酒アイス。原材料は、甘酒とレモンと蜂蜜だけ。
「旭では、牛乳の採れる牧場はありません。でも、田んぼなら有り余るほどあります。米はおいしいのに安い。これは、甘酒を煮詰めて糖度をあげてコクと甘みを出し、空気を入れて柔らかくしています」
甘酒なら体にもいい。一口いただきました。甘酒独特の臭みは消えていて、口中に嫌な甘みは残りません。食感もいい。なんだか体がふわっと満足しているような、そういうおいしさを感じました。
「今はレモンで試作していますが、ゆくゆくは旭の柚子でつくりたい。完成したら、全部この辺りだけで採れた原材料を使えることになります」
甘酒の素である米も蜂蜜も旭産。地元産の柚子が加われば、正真正銘の身土不二、地産地消です。素晴らしい試みです。
「田舎に移住して田舎暮らしの良さを満喫し、一方で都会でもちょっとずつ商売して、そこそこ満足していたのですが、どうも心底では暮らしと仕事が切り離されているような、田舎暮らしの良さを自分だけでただ満足しているだけのような、物足りなさを感じていました。アイスクリーム作りを思い立ち、さまざまな食材を求めて生産者たちとかかわったり、その食材をより生かすために工夫しているうちに、しだいに、「あ、自分の仕事と生活と社会がなんだかつながったぞ!」と思えるようになりました」
米を作り続けることは耕作放棄地の解消になり、養蜂は生態系の回復につながります。水澤さんは、春から米作も始める予定だとか。ますます地に足のついた活動が期待されます。
「いろんな生産者とのコラボを試みたい」という彼、アンティマキの焼き菓子との組合わせも考えてくださっています。当日もって行った焼き菓子のうち、特にオートミールとナッツやシード、レーズンの入ったザクザククッキーに、山地酪農ミルクのアイスクリームがよく合いました。どちらも負けずに主張しつつ、相手を生かす、そういう味わいになっていました。
どういう形で販売までこぎつけられるか未定ですが、楽しい試みに参加させてもらえるのは、うれしいことです。
10月中頃豊田市街地の桜城址公園そばにオープンした、空飛ぶ羊kura。モンゴルのヤクやラクダ、カシミアなどの毛から作った暖かい製品のほか、国内外の良質の品がいろいろおいてあります。
なかでもわたしが気に入っているのは、北海道の半田ファームHANDA FARM – 北海道十勝・大樹町 (handa-farm.com)のチーズ。
半田ファームがあるのは、帯広市から車で一時間ほど行ったところ。戦前から酪農をはじめ、今は4世代目だそう。HPには、こう書いてあります。
「半田ファームでは乳牛を出来るだけ自由に飼ってやりたいという気持ちから、牛をつなぎ飼いでなく、
自由に動き回れるフリーストールバーン方式をいち早く取り入れました。
飼料もできるだけ地元のものを利用し、より自然で、より安全な乳製品を作ることをめざしています。」
写真には、広々した草地に何頭もの牛が自由に草を食み、歩いているらしい姿が写っています。牧場らしい牧場。日本ではこういう飼い方の牧場は、ごくわずかになっているのではないかしら。
kuraにおいてあるチーズのうちの基本?の3種類。オチャード、チモシー、ルーサン。聞きなれない名前は、どれも牧草の名前だから。こちらでは自分たちの牛に食べさせる牧草を自家の農場で収穫しています。「餌を育てるところから仕上がりまで一貫してやっているという思いをこめて」名付けたそうです。
オチャードは最もマイルド。チモシーはウォッシュタイプ。最も熟成期間の長いのがルーサン。どれも臭みを感じない、それでいてこくがあるのにすっきりしているチーズなのですが、わたしが最も好きなのは、ルーサンです。石窯で焼いた黒パンにグラスフェッドバターを塗り、このチーズをのせて食べたら、最高においしかった! 農場の豊かな牧草をモリモリ食べている牛だからこそ生まれる味なのではないかな、とおもいます。
ヨーグルトは、甜菜糖入り。甘すぎず、しつこくなくていくらでも食べられそうなヨーグルトです。
2回目にkuraに納品に伺ったときに購入した半田ファームの商品。モッツァレラは作った日の翌日に発送したとかで、とにかく新鮮。ピザトーストにしていただきました。
清見ワインの粕漬けは、ブドウの搾りかすがそのまま周囲にくっついていて独特の香りを放っています。
パンフレットには、ほかにも黒カビを付けて熟成させたトムハンダや、ヤギのチーズに似せて作ったもどきde山羊、ウォッシュタイプのミルキーウェイなどが載っています。いずれ全部食べてみたい。
農場内にあるカフェでは、どのチーズも味わうことができる上に、「十勝・大樹の大自然の恵みを存分に盛り込んだメニューも楽しめます」ということです。行ってみたいなあ。
数年前まで、アンティマキの焼き菓子にはこめ油を使っていました。こめ油は、癖がなくて軽いので、自宅の料理用にも使っていたのですが、薬剤を使って抽出する方法をとっていることが気になりだし、圧搾菜種油に切り替えました。
先日、以前使っていたこめ油のメーカーである、和歌山の築野食品の担当の方から、「圧搾一番搾りのこめ油を発売しました」とのお手紙と一緒に、新商品のこめ油が届きました。
しおりには、「米ぬかにはわずか20%の油分しか含まれず 溶剤を使わずに圧力だけで絞れるのはわずかその半分。自然な製法で絞った国産の米ぬかと米胚芽の豊富な栄養分が凝縮された貴重な食用油です」とかかれ、栄養成分の詳細が紹介されています。
https://www.tsuno.co.jp/products/foods/ricebranoil/expeller-pressedricebranoil/
この圧搾こめ油、検索したら、現在市販しているメーカーはこの築野食品のほかは一軒だけ。それだけ、圧搾こめ油が貴重なものだとわかります。貴重な割にお値段が良心的なのがありがたい。
アンティマキの焼き菓子を置いてくれている岡崎の自然食品店ヘルシーメイトに、このこめ油を紹介したところ、すぐに先方に連絡してサンプルをもらい試食。てんぷらにしたところ、軽くてとてもいい油と実感したということで、取引の話がすぐに成立しました。9月1日に発売した油が私のもとに届いたのが翌日だったか翌々日。わたしがヘルシーメイトのスタッフに話をしたのがその日かその翌日。たぶんその1週間か10日後には店頭に並んだようです。
話が早くすすんでびっくり。いい商品をつくるために努力するメーカーと、そこでできた良質の品をいち早く消費者に届けようとがんばる小売店。どちらもうれしい存在です。
三川農園の農薬不使用のお米の収穫が終わり、米粉が手に入るようになったら、この築野食品の圧搾こめ油を使った米粉のお菓子を試作してみようとおもいます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/78/fc/190c4f56ff78138de7b15ccf6dd26cd0.jpg)
このところ、ほぼ毎朝、豆乳ヨーグルトとニンジンのスムージーを飲んでいるのですが、そこにバナナを入れると俄然おいしくなるので、私宅では、このところ、ニンジンとバナナが欠かせない食材になっています。使うバナナは、映画「甘いバナナの苦い真実」を見て以来、一般の慣行栽培のバナナを買うのはやめて、有機認証のあるものだけにしています。
フェアトレード品のバランゴンバナナは、生活クラブで注文するか自然食品店で購入するかしないと手に入りません。でも、南米産の有機バナナなら、豊田市街地のスーパーで簡単に手に入ります。だから、日々使うバナナは、こちらの有機バナナのほうが多いのですが、フェアトレード品でないのが気になっていました。
ところが、イオンのバナナは、デルモンテのほうは「オーガニック」とあるだけですが、グリーンアイのほうは、フェアトレード認証がついています。これはうれしい。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/43/e6/50f3591f12b6a42b99dbdd27fcec94e7.jpg)
オーガニック栽培とはいえ、生態系を壊してバナナ農園を広げ、現地の人たちの生活の向上をはからないような方法で育てられたバナナは、なるべく購入を控えたいな、と思っているからです。
ところで、いずれのバナナにしても、この片田舎ではたまにしか買ってこれません。冷蔵庫に入れられないバナナを長持ちさせる方法を知りたいと思っていたら、テレビ番組でこんな方法を紹介していたそうです。
買ってきたらすぐに一本ずつにわけて、まがったほうを下にしておいておく。
2週間ほど前に知ったところなので、まだ一度しか試みていませんが、この方法で、ほぼ10日間、もちました。いつもより少しは長持ちしたような気がします。ただ、このバナナの上になにかおいておいたほうがいいのか、つまり日陰にしたほうがいいのかしないほうがいいのか、それはわかりません。今回、また試してみます。
こんにゃく業者の組合だったかが消費者にアンケートをとったところ、こんにゃくを食べない理由として第一位にあげられているのがにおい。要するに臭いから嫌われているとの結果が出たそうです。
凝固剤として使われる消石灰が臭さの元凶。消石灰の量を減らすと賞味期限が短くなるので、減らすことはできないそうで、組合?としてはこれから臭みを減らすために、種々研究するとのことでした。
こちらにきて、道の駅でこんにゃく芋を初めて目にし、こんにゃくを手軽に家で作っている人たちがいて、そうしたこんにゃくは、日持ちはしないけれどおいしいものだと知りました。手作りこんにゃくのワークショップにも参加しました。
稲武在住の友人、奥田清美さんがつくる木灰のこんにゃくを食べるようになって、さらにこんにゃくのおいしさに目覚めました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5d/dc/dcc895788463de11a1dd55d7a70c0c2f.jpg)
こちらは、昨日届けてもらった彼女のこんにゃく。凝固剤として広葉樹の灰汁を使っています。このこんにゃく、とにかく臭くない。刺身にするといくらでも食べられます。灰汁を使う方法は、昔からやっていたこと。岐阜のある村では今でも藁灰を使っていると聞いたことがあります。
数年前、こんにゃくシップに使うため、市販の安いこんにゃくを久しぶりに買いました。封を開けたときはたいして気にならなかったのですが、お湯で温めた途端、部屋中に悪臭が蔓延。そういえば、これがこんにゃくの匂いだった!と思い出しました。
清美さんのこんにゃくを食べるようになってからは、自然食品店で売っているような高めのこんにゃくでも、ときには臭みを感じるようになりました。
このこんにゃく、こんにゃく芋ができるとき今の時期だけ製造しています。今月末のヘルシーメイトの10%セール期間中の27日に、岡崎店で販売します。たぶん、今季最後の販売となります。ぜひ、昔ながらの臭くないこんにゃくの味をご賞味いただきたいと思います。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/28/de/4e4a341686249957648671079deb4b45.jpg)
この工房で作っているチーズは、モッツァレッラとリコッタの2種。あわや売り切れというところで手に入れました。
その夜さっそく二つとも開封。モッツァレッラはトマトといっしょにオリーブオイルで、リコッタは、鰹節とたまたまその日ヘルシーメイトでもらっただし醤油をかけていただきました。こちらの食べ方は、お店のスタッフに教えていただいたもの。冷ややっこ風の食べ方が、けっこうあいました。バルサミコ酢もかけてみました。どちらもくせがなくて、しばらくしてから濃厚さを感じます。じんわりおいしさが口中に広がります。
私はチーズ好きなのですが、生のモッツァレッラはおいしいと思いませんでした。でも、しばらく前、作手の牧場でモッツァレッラをつくるワークショップに参加して、はじめてほんとはおいしいものだと納得しました。考えたら当たり前のことなのですが、牛乳がおいしいとチーズもおいしいのだなと実感したのです。
さてこのべーべ工房は、群馬県渋川市にある嶌村牧場内にあります。牧場主の嶌村さんは、学生時代に研修で訪れたスイスで出会ったチーズに感動し、家業の酪農を継いだ後、チーズの製造もてがけるようになったそうです。
こちらの牧場では、牛に食べさせる飼料用のトウモロコシは自家栽培。そして、母牛の乳はまず子牛に与えて、彼らを元気に育てることにしています。その乳の残りでできたのがこちらのヨーグルトとチーズなのだそう。
最近の酪農家の通常の方法だと、少しでも多くの牛乳をとって販売に回したいので、子牛に母牛の乳はやらず代用乳で育てているそう。それどころか、アメリカなどでは、たぶん種々の方法を使って母牛を常時妊娠させ、生まれた子牛は次々殺処分にしているとか。嶌村牧場のような、昔ながらの飼育方法をとっているところは、今は数少なくなっているようです。
こうしてできたヨーグルトとチーズは、当然ですが、生産量や生産日は安定しません。それで、ヘルシーメイトに入荷されるのは毎月末のみ。それも、変更になる場合もあるとか。
子牛が生まれて初めて出る乳。お店に行けばいつでも牛乳は手に入るので、うっかりしていましたが、この乳は本来子牛のためのものなのですね。忘れていました。自然の流れに任せた酪農を続けている牧場の、おいしいチーズ2種。おすすめします。今度タイミングよく店頭で見かけたら、ヨーグルトも必ず買います。
せっかくなので、ついでがあって訪れた友人親子と一緒に、普通に栽培された国産黒糖との舐め比べをしました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/30/a2/dfb2c4241c90f7aaddf65fba070b853d.jpg)
左がペルー産有機栽培の黒糖、真ん中はいつもつかっている沖縄産の黒糖、右は沖縄波照間島のブロック状の黒糖。ブロック状の黒糖は一番色が薄くて、水気が多い。水気が多いからこんな塊になっているのでしょう。
調べていないのですが、サトウキビを煮て絞り、汁をさらに煮詰め続けてできたのが黒砂糖ではないかとおもう。そのあと粗糖、次いで白砂糖の順にできるのではないかとおもうのですが、ちょっと単純すぎるかな。でも、最初の黒砂糖はかなり単純な工程でできるのだろうと思います。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2a/ed/1fb5d4145c30ff7b25c3daadad2c2588.jpg)
お皿に取ると、これだけの差が。色も水分の含み具合も割とはっきり違いが出ています。
さて味の違いはどうかというと、これまたとてもはっきりしていました! 有機黒糖は見た目だけでなく味もさらっとしていて、黒糖独特のあくが極めて少ない。つまり雑味がほとんど感じられないのです。その分、黒糖ならではのきついえぐみというか濃厚な甘みが少ない。真ん中の国産黒糖は、えぐみがあり甘さもきつい。右端の黒糖も同様の味ですが、水分があるので、このままお菓子として食べられそうです。
単純な工程のはずなのに、右2種と左のペルー産の違いはなんなのでしょう。袋には、こう書いてあります。
「石灰等の加工助剤不使用。有機サトウキビの一番搾り汁だけを煮詰め、手作業で灰汁取り丁寧に行っているので、雑味がなく、調味料として使いやすい砂糖です」
「灰汁取りを丁寧に」おこなっているから、えぐみがないということのようです。それから「一番搾り汁だけ」というのもポイントかも。さらさらの黒糖にするには、かなり煮詰めてかなり乾燥させているのでしょう。大変な手間がかかっているようですが、有機栽培にしてはお値打ちの値段です。
ミネラル分が豊富な黒糖を使いたいとおもっても、雑味の多い黒糖だと気軽に使いにくい。でも、これなら素材の味の邪魔をしないようです。甘みそとか五平餅のたれとかに使うと、濃くはあるけれどえぐみのない味に仕上がりそうです。
舐め比べした友人も、「料理に使いやすそう」と言っていました。一方、食べ物好きの息子さんは、真ん中の黒糖が一番おいしいそう。お菓子のようにいただくには、これまでの黒糖のほうが主張があっておもしろいのかも。
ところで気になるのが、「石灰等の加工助剤不使用」の文言。たまたま、フェイスブック友達がただいま西表島を旅行中で、黒糖を煮詰めているところに遭遇。そこで聞いたのが、「水酸化カルシウムの添加」。彼女がシェアした「農畜産業振興機構」のHPにはこうかいてあります。
「精糖工場では、糖液の清浄のため、水酸化カルシウム、活性炭、イオン交換樹脂等が加工助剤として用いられています。しかし、これらはすべて最終製品には残りませんので、表示が免除されています」
う~ん、しらなかった。工程は単純ではなかった。ペルー産はこの添加をしないということのようです。
日本の砂糖の取れ高はどんどん減っているそうで、わたしが商品の材料を取り寄せている岡崎の問屋さんがいうには、「生産農家が減っていて、特に黒糖はこれまで大きな取引のあるお店にしかおろしていない。たまに在庫があれば、納品できます」とのこと。以前ネットで波照間島の黒糖を買ったときには、10キロ1万円以下だったのが、いまは1万円以上しています。しかも品薄。
それともうひとつ前から気になっているのは、農薬。サトウキビは殺鼠剤をかけるのが当たり前なのだと、あるところで以前聞きました。ネズミを殺す薬のかかった砂糖、あまり気分のいいものではありません。でも、国産の有機砂糖となるとほとんどみかけないし、あってもかなり高価なはず。
というわけで、このペルーの有機黒糖、商品でも使ってみたい。上品な味の黒糖ケーキとかができそうです。
店主の永倉智さん自らが教えてくれるイタリア料理の基本の数々。毎回手際の良さと工夫の面白さ、おいしさに目をみはるばかり。でも、家で作れたのはわずかでした。ブログに書きそびれていましたが、最後なので、
復習を兼ねて、きょう教えていただいた料理を紹介します。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1c/37/2b66fb90d6ec4196e54cbdad51fa375e.jpg)
まず鶏肉のトマト煮。適当にもも肉を焼いて、トマトや野菜と煮込む。そういうのなら作りますが、こちらの手のかけよう、すごい。でも、こういう煮込み料理は仕事しながらの片手間でしあげてしまうそう。
何時もと違うのは、鶏の焼き方。上から押さえつけるようにして皮から脂を出し、カリッと焼きます。そして、スープや野菜のソテー~それも3分の1量になるほどいためたもの~を入れて1時間も煮込みます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/42/44/0016512b0ba07a071cc850ee3c4c512c.jpg)
その後、トマトソースを加え、さらに30分。あとからいれるのは、トマトのさわやかさを残したいためだそう。こういいところが家庭料理と違います。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1c/cf/85482770cb681565bd672e28e0d006f8.jpg)
スープにさらに残り野菜を炒めたものを加えて、ソースに。とても柔らかくておどろくほどの一品が出来上がりました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5f/40/078beddc63b680a8f1539642444ddb76.jpg)
次は豚のロース肉のカツレツ。厚い肉をたたいてひろげ、ハーブパン粉につけて焼いたカツレツです。手順は普通なのですが、焼き方がちがう。様子を見ながら火を引いたり強めたり。気の使い方が半端じゃない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/03/52/a33bc5be285a8920e7516faafaafdb0a.jpg)
できました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/51/1d/785ccb927ab51b36aff2c02eae28e371.jpg)
付け合わせのキノコソテー。ものすごい強火で焼きつけます。水分を飛ばすため。いつもはともすれば蒸し煮になっていたなと、反省。キノコのうまみがしっかり残ったソテーになりました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6a/51/cdb24700cf44f3f7da8f1c3bcb96c03b.jpg)
カツレツ、うまい!
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/66/5c/416538901995944dbbc84e54a5841516.jpg)
パスタ・アーリオ・オーリオ。オリーブオイルにニンニクと唐辛子を入れて炒めます。ここまではいつもといっしょ。ただし、ニンニクのいため方が丁寧。焦げる寸前で火を止めます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/14/bc/2227508ea0e3e07f6ac3c4aa3a6acf03.jpg)
すかさず、ゆであがったパスタをゆで汁少々と一緒に投入。ここで、油と水を乳化させ、油でもなく、水でもないトロっとした液体にパスタを絡めます。ゆで汁をソースに入れる、ということはいつもしているのですが、ただなんとなく増量しているようにおもっていました。ここでするべきなのは、乳化だったのです。知らなかった! 乳化することによって、パスタがソースと絡み、おいしくなるのだそうです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1d/3c/6b62a1d3b8cc8e3c0aa103eee822c9a2.jpg)
つるつるっと食べてしまいました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/74/41/63bb2b31121ea2d2fef9e65a264e4871.jpg)
サラダは、鶏と野菜のマリネ・マスタードソース和え。野菜はすべて切ってから一種類ずつゆでます。色の薄いタマネギからゆで、最後に火を止めて鶏肉を入れ、熱いスープにひたして火を通す感じ。これで煮すぎずぱさぱさにならずにすみます。ゆで加減がすべて絶妙。たいがい火を通しすぎていたことがよくわかりました。ころ合いが大事。マスタードとマヨネーズをあわせてあるもので和えます。こくがあるのに、さっぱりしていました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/37/8b/f6e961612bca2c9a5714982314bd0869.jpg)
デザートはシナモンのムース仕立て。生クリームを泡立てたのははじめてだし、ゼラチンを使うのは久しぶり。乳製品や卵を使ったお菓子をほとんど作ったことがないので、興味津々でした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/51/2c/2396dbe01c98f0b57eac9b59e135f845.jpg)
こういう味、贅沢! 豚肉料理に鶏料理2種、それにパスタ。昼ご飯には十分すぎる量でしたが、ぺろりと平らげてしまいました。自分の健啖ぶりにびっくり。
いい材料をふんだんに使って、調理の要所要所を惜しげもなく教えてくださった永倉さん。「企業秘密」なんて言葉は一度も登場せず、「なんでもきいてください」とおっしゃてくださいました。こういう態度、ありがたいしきもちいい!
この冬、これまでに習ったいろいろのごちそうを、みんな作ってみたい。でもたぶん、一種類ずつになりそうですが。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/64/a3/50ff68b197c0fde6ac7ea3a2bdefc42c.jpg)
件のビーガンケーキは、その名もずばり、Organic Vegan Sweetsというお店のもの。店舗はなくて、ネットのみの限定販売だそう。入手してくれた友人によると、発売直前にスタンバイし、開始と同時に注文したとのこと。いつもすぐに完売するほどの人気のケーキ工房です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/14/2a/e8c2f2c6980c334d95cf5d41eb9dff5c.jpg)
頼んだのは2種類。こちらは、ブルーベリー入りの豆腐チーズケーキです。直径15センチのホールが1台5400円。決して安くはない値段です。友人3人でシェアしました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4c/3d/2ee266b3ec555611c86564825ec11ff1.jpg)
上にはオートミールのクランブルがかけてあります。豆腐チーズケーキは、わりに最近ポピュラーなのですが、クランブルが載っているのは初めて。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/38/82/3d14723a11cc31b7a9a65aed22b7d69a.jpg)
右端の一切れが690円。良質のバターや卵をたっぷり使った有名なケーキ屋さん並の値段かな。それ以上かも。
前置きが長くなりました。一口食べた感想は、「おいしい!!!」。こんなビーガンスイーツは食べたことがありません。濃厚です。でも、あくまで植物素材しか使っていないので、後口がいい。ただし、後口が良すぎて、舌に残らないのが残念でもありました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/58/74/99c9eebd3ffdd2131b4b63d6a3be5cdc.jpg)
上記が原材料。最初に書いてあるのが有機豆腐。でも、豆臭さが一切ありません。オーガニックスパイスミックスで消されているのでしょうが、もっと高度のテクニックで、うまく処理できるのかも。とにかく、脱帽の味でした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0c/00/0e052a3c1efe0763e43c07ea4d918b30.jpg)
こちらは、コニャックケーキ。オーガニックのコニャックがたっぷり沁みています。1本4200円。こちらも3人で分けました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/36/9f/60b1d05640efb2b0981a5d1a529b9440.jpg)
アーモンドやココナッツがたっぷり入ったケーキですが、コニャックの味が口中に広がり、ケーキのおいしさまでわからなかった。こういうケーキは、バターや卵を使っていると、洋酒とあいまって独特のおいしさが醸し出されるのでしょうが、こちらは、なんだか洋酒に圧倒されている感じがして、ビーガンスイーツの良さ、というところまで至っていない気がしました。でも、この感想はあえて言ってみただけ。もちろん、おいしかった!
豆腐チーズケーキは、豆臭さが気になり、これまで作る気になれなかったのですが、工夫次第ですごいのができる、と知りました。アンティマキの豆腐チーズケーキ、いつかお目見えさせたいな、とおもいはじめました。