夏の土曜の午後 彼女が羽田に行きたいって
道が混んでいる中 車を走らせた
渋滞にイラついた僕に 彼女は帰ろうと言った
イラつく理由を 彼女にこぼした
「生まれてこのかた ツイてないんだ」
だからって言えずにいること 最近 彼女がツキだしたこと
「わたしがいるわ」 彼女が笑う
「今夜は 家の近所で 奢ってよ」
彼女と 夕暮れ 蒸し暑い中 歩いて行った
住宅地にある 西洋料理の隠れ家的レストラン
店まで歩きながら ツキが回ってきた気がした
僕はスペアリブ 彼女は帆立のグラタンを たいらげて
気前よく奢った