晴耕雨読とか

本読んだり、いきものを見たり。でも、ほんとうは、ずっと仕事してます。

アゲハ消滅!

2013年07月09日 | 
手品のようでした。→のtwitterでつぶやいたとおり、
今朝、ユズを見たら4頭いたアゲハの終齢幼虫がどこにも見当たらないのです。



蛹になったのかと思ってよく見たのですが、発見できず。

最近、家の周りにいる巣立ちびなを連れたシジュウカラかあるいは狩りバチの餌食か。

いやー、今年はイモムシがシュッといなくなります。


追記 久しぶりにハキリバチが来訪。写真には撮れなかったけど、キリキリと葉を切る音が聞こえてなんか幸せ。

蛾親子との出会い

2013年07月09日 | その他
ひょんなことで、若い蛾の研究者と話をする機会があった。
30代半ばの気鋭の分類学者だ。

最近、蛾が気になっていた。
冬に活動するフユシャクガは、ここ数年観察をしているし、例のボクトウガも気になる…。

その研究者との出会いはちょっとしたことがきっかけだったが、その名前には覚えがあった。


 *


1990年1月14日。八王子で「冬芽」の観察会があった日だ。
当時、代表的な冬芽図鑑だった信濃毎日新聞社発行『冬芽でわかる落葉樹』の馬場先生が講師だった。

友人と二人で参加したのだが、顔見知りのおばさんから
「今晩、フユシャクガを見せてもらうんだけど、行かない?」と誘われたのだ。


ふゆしゃくが!?


「冬に活動する蛾がいるのよ。蛾の先生がいっしょだから勉強になるわよ」とおばさん。

蛾にはまったく興味はなかったのだが、こういう機会を逃すと二度とないと思い、
友人も誘って、そのまま冬の夜のプライベート蛾観察会に行ったのだ。


その中年の“先生”に連れられて多摩丘陵に広がる大学に敷地内の雑木林に入った。
ちゃんと覚えていないのだが、その先生は、学校の先生だったかで、昆虫の研究は趣味だったような記憶がある。
研究家というか、まぁ、いわゆるハイアマチュアの昆虫愛好家という人だったのだろう。


懐中電灯を照らしながら木々を見る。
コナラの幹に特製の蜜が塗ってあるという。

ええ!? 冬に樹液をなめるの?


フユシャクって、雌は羽がなくてね。

ええ!? 羽がないんですか!?


めくるめく蛾の世界の一端をのぞいた夜だった。




その日のフィールドノート

蜜に来る蛾
ヨコスジノコメキリガ ♂
ホシオビキリガ ♀

冬尺蛾
ウスモンフユシャク ♂ 15


いろいろ見せて貰ったんだ。あんまり覚えてなかったけど。


 *

そして、彼だ。

あいさつを交わすと、蛾のことよりも先に矢継ぎ早に質問する。
お父さんも蛾の研究をしていました? 多摩丘陵に住んでました?


「ええ。それは父ですね。蛾を研究していて同じ名前なんてそうないですよ」


ええ~!! やっぱり!?


あの日、観察が終わってからお宅にお邪魔して、カレーライスをごちそうになって、
ちょっと標本を見せて戴いたり、パプアニューギニアのクモを捕獲する話を聞いたりして、
楽しいひとときを過ごした。

たしか、男の子もいっしょにいたような。
75年生まれの彼は、当時15歳。

いたような。いなかったような。いや、いたはず。

当然、彼は覚えていなかった。


あれから23年たって、在野の昆虫愛好家の息子はりっぱな蛾の分類学者になっていた!
親子二代で蛾の研究とは!

そして、こういう出会いがあるというのはほんとうに不思議だ。
自分自身、もうちょっとだけ蛾の世界に入るしかないような気がしてきた…。

日本産6000種という蛾の宇宙。

「身近な種類なら500種類で大丈夫ですよ」

彼はうれしそうに言った。