晴耕雨読とか

本読んだり、いきものを見たり。でも、ほんとうは、ずっと仕事してます。

夏の憶ひ出…

2012年10月28日 | その他
秋が深まってきたのですが、いまだ夏の思い出がチクチクします。

最初のそのことに気づいたのはいつだったか。
喫茶店で、取っ手の小さなカップでコーヒーを飲んだときだったか。
取っ手に突っ込んだ人差し指が痛いのです。

「あれ? 指が痛い…」

どうも第1関節が痛いみたい。



なんで?

そう思うと、右の人差し指の第1関節も痛い。。。



なんだっけ?

冷静に考えます。思い出します。

夏だ。海だ。シュノーケルだ。
8月4日だ
そう、ウェットスーツだ!!

夏に海に行ったときに、ウェットスーツがなかなか着られなくて、
それは太ったからなのか、太ったからなのか、太ったからなのか(くどい)、
とにかく指でぐーっと引っ張ったときに、グキッと同時にいったのだ。
いや、同時じゃなくて、1本ずつだったか。

とにかくこれは「ねんざ」だ。

両手、両人差し指第1関節のねんざ。。。
これが暑かった2012年の夏の憶ひ出です。
治んないね、ねんざは。

ヤマトイワナの動画

2012年10月26日 | 生き物
ヤマトイワナの産卵行動の動画をいくつかアップしました。

おだやかなペアの動画

スニーカーが入ってくる動画

ほんとうは、メス1匹に対してオスが3匹を入り乱れる、スニーカーやら乱入やら、
あげくにはどうも最初のオスと入れ替わったような動画もあるのですが、
解説のキャプションを入れていて、ぐったり疲れてしまって放棄しました…。
動画の編集って難しいですね。

登山靴の中がぬれるのはなぜだ?

2012年10月24日 | 
ヤマトイワナの産卵を堪能した翌日は山を歩いた。



紅葉もきれいで、人も少なく快適な稜線歩きだった。
でも、ササの葉についた朝露がすごくて、膝下がびっしょりになってしまった。
スパッツをもってくれば良かった…と思っていると、そのうち靴の中もぬれてきた。

ううーん、パンツの裾→靴下→靴の中…という感じで水が移動したのかな?と思った。

休憩したときに、靴を脱いで確認してみました。




ふむ。けっこうぬれている。



靴下を触ると、予想に反して足裏だけがぬれている。
あれっ? 上からの浸水じゃない?



インソールを取ると、この白いところがかなりぬれている。
底から染みてるのか!? 

そもそも、この登山靴はゴアテックスブーティーじゃないんだな…と今更ながら認識する。
ゴアテックスブーティとは、ゴアテックスの生地が袋状になったもので、まさに完全防水。
この靴は、底が別素材と縫われていて、ゴアの生地が使われていない製法なんだな。
たしかにちょっと安かったしな……。

靴を脱いで、インソールを取って、のんびりと休憩することに。



ま、乾かないね。

それにしてもどうして底から水が浸入するんだろう?
ソールのサイドは…スポンジ状というか、ウレタンかなにかのフォームがクッションになっていて、
それが水を吸って、底から入ったのかな?

うーむ、謎だ。替え時ということ?




ヤマトイワナ 番外編 ~男たちの闘い~

2012年10月23日 | 生き物
ヤマトイワナの産卵をじっくり観察していると、
3mぐらい上流でもバチャバチャやってるのに気づきました。

お盛んだなあ…と思ったわけですが、どうも様子が違うのでそっちを見に行きました。

ん? 同じぐらいのサイズのオスが闘ってる!?


けっこう激しい闘い。


あきらかにオスの顔。


口で噛む攻撃繰り広げる。

とくにお互いの下腹部というか肛門というか、
総排泄孔にアタックし合い、とにかく執拗に絡む2匹。

2匹が絡まって超浅瀬に流されていってのたくり合って、
なんだかもうよくわからない感じ。

近くにお目当てのメスがいたかどうかは不明だけど、
まわりではよろしくやっているのに、キミらたいへんだなあ……。

動画がわかりやすくておもしろいです。
youtubeをご覧ください。



奇跡の1日 ~ヤマトイワナ産卵観察 その3~

2012年10月22日 | 生き物
昼食のあと、ひとりで川に戻る。

ゆっくりと遊歩道を歩きながら川をのぞき、つがいのイワナを探す。
すぐに見つかるが、もっと観察しやすい場所をもとめてさらに移動する。
陽が当たっていてイワナがよく見え、
アプローチがしやすくて、じっくり観察できそうな場所。

いた。いい場所!

15cmほどの小さなメスと、20cmぐらいのオスのペア。
オスの背びれが水面に出るほどの浅瀬で定位している。



ゆっくり近づいてみる。

自分たちの行為に集中しているようで、まったくこちらを気にしない。
予定通り(?)匍匐前進してじわじわと近づき、そのままうつぶせで観察する。

その距離、なんと約30cm。
なにしろデジカメの28mmレンズだと、2匹のイワナがはみ出るぐらい。
近い。とにかく近い。

近すぎるし、角度的に水面が反射するので、結局しゃがんで観察する。
当然、しゃがんでも逃げない。




小さなメスが尾びれで砂を掘る。
オスがすっと寄り添って、ぶるっと体を震わせる。
オスが離れる。またメスが砂を掘る。

午前中も見た、この一連の行動がセットになっている感じだが、
産卵そのものはしていないようだ。
卵も、水が白濁することもあるという放精も観察できない。
この距離ならわかるはずだ。

どれぐらい見ていただろうか? あるとき、いつものオスの「ぶるっ」が、
「ぶるぶるぶる」になった。時間にして2、3秒ぐらい。

そのとき、ぽろぽろっと、水中に白い卵が流れた!

ああ、産卵だ! これが産卵だ!!
石の間に真っ白な卵が見える。



ああ、ほんとうにこれが産卵なのだ…。

産卵が終わると、それまで砂を掘る以外は
砂底にお腹をつけるように定位していたメスがにわかに動きはじめた。



ひと仕事終わったのかな。

そろそろこちらも行かなければならない。
おどかさないように腰を低くしたまま後ずさって、その場を離れた。


*****


流れが緩やかな浅瀬に5cmぐらいの幼魚がいた。



このサイズだと、おそらく今年生まれのイワナだろう。
去年、知人が産卵を見たというときの卵がふ化をして、成長した個体かもしれない。
毎年、この流れで産まれ、この流れで育つヤマトイワナ。

流程400mほどのサンクチュアリというべきこの川で、
いったいどれだけのヤマトイワナが生きているのか。

この場所、この秋の1日。それは奇跡としか言いようがない。


(終わり。あとは番外編と必見の動画リンク編。)







奇跡の1日 ~ヤマトイワナ産卵観察 その2~

2012年10月21日 | 生き物
同行していたのはガイド氏ともうひとり。
3人で、遊歩道から流れを見下ろし、イワナの動きを観察する。





ときおり尾びれで砂を掘るメス。すーっと来て、寄り添うオス。
スニーカーが入ってきて、びゅんとオスが追い払い、
そして、メスにくっついてブルっと体を震わせる。
産卵には至っていないようだが、ずっと2匹で一連の行動を繰り返している。

この感動的な光景を前に、ぼくらは押し黙って観察……するのではなく、
「おっ、またブルッとした!」「あっ、ほかのオスが邪魔しに来た!」「いやー、すごい、すごい!!」と、
小声でささやくように、でも大騒ぎの興奮状態。

挙げ句には「そもそもヤマトイワナっていうのはですねえ…」と、
2匹のイワナの前に講釈をたれるわたし。

「あっ! こっちでもやってますよ!」

いつのまにか少し下流に下ったガイド氏の声が聞こえる。

川中で産卵行動がはじまっている!! 

動画を撮る。ただ観察する。ちょっと近づいてみる。
2匹のイワナはまったく逃げずに行為を続けている。

すごい、すごい! まさかほんとうにこんなことが!!

あっというまに時間が過ぎる。1時間近くはイワナを観察していただろうか。

お腹もすいたし、いや~、すごかったねといったん引きあげることになった。
遊歩道を歩いて、最下流までいくと、そこにはスリット式の堰堤があって、
イワナが何匹も溜まっていた。さすがにそこからは遡上できない。

でも、端っこにちょろちょろと水が落ちるところでバチャバチャと遡上を試みるイワナがいた。
ほとんど水がないので、ほぼ体がむき出しだ。



この模様…たしかにヤマトイワナかも!
いや、でもこいつは死んじゃうね……。

3人は大満足で、昼飯を食べるべく川をあとにした。

ふふ。でもね、わたしはそのまま帰るはずはないね。
みんなで名物のソースカツ丼を食べたあと、
明日の準備があるというガイド氏と同行にもうひとりは、そそくさと帰っていった。

そして、わたしは川に戻り、ひとりでじっくりと観察をするのだ!
今度は川岸を匍匐前進して、寝そべってイワナを見よう!!

(つづく)

奇跡の1日 ~ヤマトイワナ産卵観察 その1~

2012年10月21日 | 生き物
フェイスブックとは不思議なもので、
昨年、長野県の山村に住む、会社の先輩の学生時代の友人…というかなり遠目の人と友人になった。
友人とはいってもフェイスブックなので、会ったことはないし、
お互いの近況をときおり「いいね!」しあうぐらいの関係だった。

その人が、昨年の11月に「10月16日、ヤマトイワナの産卵現場」という近況とともに、
2匹のイワナが産卵行動を繰り広げる短い動画をアップしていた。

えっ? ヤマトイワナの産卵!? 

いやいやイワナの産卵はすごいけど、「ヤマトイワナ」って、意味わかって使ってんのかな!?
今の日本で、ヤマトイワナがどれだけ絶滅危惧か知らないんじゃないのかな?

アップされた動画を食い入るように見るが、ケータイで撮ったもので、
さすがにそれが放流モノと交雑してしまったイワナか、
本物のヤマトイワナなのかは、よく分からなかった。

場所を教えていただくと(というか明記されていた)、そこはT川水系のとある場所。
2万5000分の1の地形図を見ても「水系」が記されておらず、
しかも、ある支流に合流する地形にはなっているのだが、かなり急で、
地表流としては下の河川とつながっていない可能性があった。

下の川から隔絶しているのか……。
もしかしてほんとうにヤマトイワナなのかも?

******

ということで行ってきましたよ。1年後の今年。
会ったこともないフェイスブックの「友人」を頼って、
最後の夏休みを1日使ってはるばると。

そもそも、その人が産卵を見たのは去年の10月16日。
今年は秋も暑かったし、紅葉もやや遅いので、イワナの産卵も遅れるかな…と想像。
休みの関係もあって10月の19日に日程を決定した。
ラッキーなことに、18日に台風が通過した影響でかなりの雨が降ったので、
「もしかしてイワナたちの活性があがってるかも…」と抑えようのない期待が高まった。

彼からは、「いや、たしかに去年は見たけど、自然のことだから…」という感じ。
それは充分わかっているので、「ま、山登りがてらですから」ということで、
内なる情熱と期待を秘めて、車を走らせた。

19日は平日だったので、その友人は仕事で同行できず、
そのまた友人の地元ネイチャーガイドの案内で川に行った。
そこをフィールドにしているネイチャーガイドだったが、当然イワナの産卵なんて見たことがない。
まぁ、ふつう見ないというか、見えないものだから、彼も半信半疑だった。

現地はちょっとした高原状の場所で、流れも渓流いうよりは細流で、水量も少ない。
たしかにこれぐらいだと地形図には明記されないのかも。

じつはほぼ観光地といってもいいような場所なので、
細流に沿って遊歩道も整備されていた。



流れに沿って歩いていると、「おっ、イワナがいますよ」とガイドが指をさす。



おおっ! イワナだ! 白点がなく、たしかにヤマトイワナっぽい!!
20cmぐらいかな。

「けっこうイワナは見えるんですよ。でも、まぁ、産卵はどうですかね~」とガイド氏。

しばらく歩いてイワナを探していると、2匹が寄り添うように泳いでいる姿を発見。

「あれ? これ2匹で泳いでますね」

そこから、めくるめく1日がはじまった。

(つづく)


神が降臨したような気がしたけど。(2時間後に追記あり)

2012年10月17日 | 生き物
第1回 山で頭骨を拾った話
第2回 頭骨をポリデントで処理した話
第3回 Bird Skull Collectionの中にマミチャジナイを発見した話
第4回 我孫子市鳥の博物館で標本閲覧を予約した話
第5回 我孫子市鳥の博物館に行った話
第6回 頭骨とくちばしの長さを測って、表にしたりグラフにしたり
第7回 くちばしと鼻孔の長さを測ってグラフにしてみた
第8回 が、含気化? 幼鳥!?っていう話

ということで、全8回にわたって山で拾った鳥の頭骨について熱く語ってきましたが、
先日の我孫子市鳥の博物館で、ちょっと終わった感があります。

だって、我孫子に行ったんですよ?

しかも、あと気になっているクロツグミの骨格標本は、
鳥の博物館隣に降臨する(まちがった日本語)、あの日本鳥類研究の総本山「山階鳥類研究所」にもないんですよ!
全6万点以上の公開標本の中に、クロツグミの骨格はないんですよ。
なんでそんなものがないんだ…と言ったってはじまらないのです。ないものはないんです。
ひとつひとつ博物館の標本データベースを検索したってなあ…。


…と思って、改めて「鳥 骨」で検索したら見たことのないサイトがヒットしました。

とりほね Avian Bones

ええーっ!! こんなすごいサイトがあったんだ! と中を見ると…。

な、なんとクロツグミの頭骨がありました!!

一瞬、神が降臨したかと思いました。

最後のピースがこれで埋まりました!!



サイト管理者の高田繭草さんのご許可を得て写真も転載させていただきました。
その際、高田さんからは以下のような注意点をいただきました。

くちばしに角質層がかぶさったままの状態なので、
比較するために必要な上嘴骨の計測値が得られない。

方眼紙の上に立体である骨を置いて撮影しているため、
遠近法によって、実際より若干大きく写っている。


ということで、画面を見つつ計測をして、グラフに落としてみました。
角質層の問題は、画面をアップにしてにらむと、なんとなく透き通ってるような気もするので、
そのあたりを適当に判断して、ちょっと短めに測ってみました。
鼻孔はかなり角質(?)が付いていて判然としないので、
頭骨とくちばしの長さだけにしました。



ふむ。

えーと、だからなんだっけ?

神が降臨したのは気のせいです。

なにしろわたしのお宝は成鳥じゃないんですから……。

最後のピースは、そもそも「含気化」問題で、幼鳥・若鳥という無限の宇宙に広がってしまったのです。
幼鳥と成鳥でどう頭骨がちがうのか? 成鳥の識別も難しいのに幼鳥はきびしいです。
標本だってあるのかどうか…。少なくとも我孫子にあったシロハラ5体も基本成鳥のようだったし。

我孫子市鳥の博物館の学芸員さんに言われました。

「羽根も含めて死体を全部拾っていたら、すぐ分かりましたけどね」

いや、それは分かりますが、死体全部をザックに入れて山を歩く男気(?)はないし、そうじゃないのです。
羽根で分かっちゃうのもおもしろくないんです。頭骨で、頭骨で~!って心の中でつぶやいたわけです。

この旅も終わりですね。それでは皆さん、またいつか。



(2時間後の追記)

高田様から先ほどメールをいただきました。そこに改めてこの頭骨のデータが明記されていました。

クロツグミ 雄 第1回夏羽根(亜成鳥)

あ、亜成鳥……。そ、そういう段階もあるんですね。
たしかにサイトには「1S」ってあって、なんだろう…と思っていました。
これは「1-Summer」という意味なんですね。
バンダーさん(標識調査をする人)にちゃんと学んだ方がいいですね、わたしは。

加えて、この個体以外にまだ骨格標本化されていない以下のものがあるとのこと。

クロツグミ 雄 第1回冬羽(幼鳥)
マミジロ 雄 第1回冬羽(幼鳥) 

幼鳥もある……。

た、旅は続くのでしょうか!?







我孫子市鳥の博物館で頭骨を調べる その4

2012年10月16日 | 生き物
「これ、ガンキカはどうですかね?」とわたしのお宝を手に取った学芸員さんが言いました。

ガンキカ?

「ええ、ガンキカしてます?」

ガンキカ?

「ど、どんな漢字ですか?」
「含むに、気体の気に、化けるです」
「含気化ですか?」

まったく知らない用語です。

簡単にご説明いただいたところでは以下の通りです。

鳥の頭蓋骨は、幼鳥のころはを骨が1層で、そのため透明に見えるのだそうです。
成鳥になると、それが2層に分かれて間に空気(?)が入ることで頭蓋骨が白く見えるのだそうです。
これを「含気化」というわけです。

野鳥の標識調査をする際、捕獲した鳥の頭の羽毛をかき分けて見ると、
それが分かるのだそうで(想像つかない…)、そうやって成熟度を判定するそうです。

ふむ。

つまり……これは幼鳥の可能性がある?
帰り際のやりとりだったので、標本の含気具合(?)はチェックできなかったのですが、
基本的にはどれも成鳥という感じでした(ラベルに精巣や卵巣の確認がされていたし)。

家に帰って、お宝をライトに透かしてみました。




うむ。わからん。でも、1層っぽいような…。透き通ってますよね。。。

当初から恐れていた(大げさ)事態です。

幼鳥か……。

まぁ、現状ではたしかにお宝は、今回調査したシロハラやツグミ、アカハラとは違う感じがする。
可能性があるものとしてはクロツグミがあるけれど、それに幼鳥が入るとやっかいですね…。

頭骨を拾ったのは9月ですが、すでに白骨化していたわけで、
つまり死んでからそれなりに時間がたっていたわけです。
その段階で冬鳥であるツグミ、シロハラ、旅鳥であるマミチャジナイの可能性は低く、
アカハラ、クロツグミなどの夏鳥ツグミの可能性が高いわけです。

「まぁ、どこかでクロツグミを見ることですね」
学芸員さんからはなぐさめるように(気のせい)次の調査へのアドバイスをいただきました。

(どこかって、山階鳥研にもクロツグミの骨格標本はないのに…)

我孫子市鳥の博物館には日本の鳥と世界の鳥の剥製が多く展示してあり、その中にツグミ属もいろいろありました。


おお~、クロツグミ! こいつだ! こいつの頭骨を!!


マ、マミジロ…。こいつの可能性もあるのか…。


今回、堪能したシロハラ。キミは冬鳥だよね…。

さて…。旅は続きます。

〈謝辞〉
我孫子市鳥の博物館にはたいへんお世話になりました。
学芸員の方にも気さくにいろいろ教えていただき、本当に参考になりました。
ありがとうございました。
博物館もいいのですが、ここは鳥の巣箱ライブ配信が最高です。
今年はフクロウの巣立ちを見ました。
http://www.bird-mus.abiko.chiba.jp/

(いちおう終わり)


我孫子市鳥の博物館で頭骨を調べる その3

2012年10月15日 | 生き物
グラフ化することで、なんとなく見えた感じもしますが、
もうちょっとなにかないかと思って観察しました。

まぁ、正直、よく似ているんです。大切な標本なので、あまりひっくり返したりできないので、
とにかく頭骨とじーっと見ました。

鼻孔の大きさがちがうかな?


シロハラ


アカハラ


ツグミ


お宝。

で、測ろうと思ったのですが、さすがに鼻腔の内径を測るにはノギスでは無理があって、
しょうがないのでくちばしのアップの写真を撮って、家で画像から推測しました。



画像に定規を当ててくちばし全長と鼻孔の長さを測り、比率を出して、
もともと測ったデータから換算します。



お宝は家でデバイダを使って測りました。

で、グラフにしてみました(好きだなあ)。



くちばしの長さ(LB)と鼻孔の長さ(LN←適当)の散布図です。
ほほう。ツグミとシロハラは分かれたね(本来の目的からずれてる…)。

ま、いずれにしてもお宝はシロハラとかアカハラ、ツグミじゃない…のかな?

じゃあ、いったいなにかというと…。
帰り際に学芸員の方から恐れていた可能性が告げられます。

(つづく)

あれ? くちばしの画像を見ていて、くちばしの高さの方がちがいがあるかな?
お宝のは、くちばしが厚い?? 再計測、再グラフか!?
いや、まぁ、現状、今のグラフでうまく分かれてるからいいじゃん…ってことで。

我孫子市鳥の博物館で頭骨を調べる その2

2012年10月15日 | 生き物
さて、そういうことで標本の計測を始めます。
学芸員の方と話していて、「やっぱり基本は頭骨の全長とくちばしの長さですね」。
ということになり、ノギスで計測しました。


シロハラ1/雌/沖縄県石垣市/NO.03803


シロハラ2/雌/沖縄県西表島/NO.02201


シロハラ3/雌/不明/番号なし


シロハラ4/雄/千葉県松戸市/NO.02333


シロハラ5/雄/千葉県我孫子市/NO.03628

つづいて、アカハラを測ります。
1個体だけです。


アカハラ/雄/千葉県銚子市/NO.03809

つづいて、ツグミの2個体です。


ツグミ1/雄/福島県白河市/NO.03118


ツグミ2/不明/千葉県柏市/番号なし

これらをノギスで測りましたが、なかなか難しかったのですね。

頭骨の全長(TL)を測るときの後頭部の場所がなかなか決まらないのです。
後頭部には、骨格標本の押さえの針金があって、場合によって接着剤のようなものが塗られていたり、
頭骨のふくらみがどうなっているかわからなくて、どこか一番後ろなのか判断しくいのです。

何度測っても数値がずれるので、横からとか上からとかいろいろ試して測りつつ、
計4回以上は計測しました。

くちばしの長さ(LB)は、学芸員の方に聞いたくちばしの付け根の「ヒンジ」が
けっこうはっきりしているのでわりと簡単でした。

帰りがけに再び学芸員の方と話したら「だいたい計測にはデバイダを使ってますね…」とのこと。
た、たしかにそっちの方が良かったかも…。せっかくノギスを買ったのに…。

ちなみに「オスとメスのちがいはあまり意識しなくてもいいと思います」とも。

計測値を表にするとこんな感じです。
Skull ratio は参考にしているサイトBird skull collectionで使われている指標です。



これをグラフにするとこんな感じです。
単純にTLとLBのグラフです。



サンプル(n)はそれぞれ10ぐらいは欲しいですね。。。
とにかくお宝はとにかく小さいことだけは確かですね。

Skull Ratio をみると以下の通り。

シロハラ 2.18~2.23 (n=5)
アカハラ 2.12 (n=1)
ツグミ  2.23~2.32 (n=2)
お宝   2.25

絶対的にnが少ないので、何とも言えませんが、まぁちがような感じもしなくはありません……。

おっと、Bird skull collection にあったマミチャジナイのデータを入れるのを忘れた!



うーむ、SRも2.47か…。
学芸員の方も「マミチャジナイはひとまわり小さいから…」とおっしゃっていた…ような気がします。

さて…形とかはどうでしょうか?
どこかにちがいはないでしょうか?

(つづく)

我孫子市鳥の博物館で頭骨を調べる その1

2012年10月14日 | 生き物
行ってきましたはるばると。
車で東名→首都高→常磐道と走って約1時間半。
手賀沼のほとりに建つ我孫子市鳥の博物館。

9月に山梨の櫛形山で拾った鳥の頭骨を調べるのに、
ネットの海を泳いでもダメだ! やっぱり実物だ! 博物館だ!! と意気込んだわけです。
遠いね、我孫子。



事前にお願いしてあったので全身骨格標本が準備されていました。

シロハラ5体。
あと、探していただいたようで、ツグミ2体とアカハラが1体。
ありがとうございます!



学芸員の方にいろいろお話をお伺いして……計測と試行錯誤が始まります。



もっていったお宝と比べたり。



計測して、スマホで電卓叩いたり……。

骨はおもしろいね~。でもね……。

学芸員の方も「頭骨のデータをまとめたようなのってないですね」ということで、
自分で識別点を探さなければいけません。

むむーん、骨を持って帰りたい……。

(つづく)

最近の読書 2012年9月~10月

2012年10月10日 | 
総ページが700ページ近い大著、
ポール・セローの『ダーク・スター・サファリ』(英治出版)、読了。



すばらしい本でした。今年ナンバー1かも。
アフリカをバスで縦断する紀行…というとふつうの旅本だが、
この本はずいぶんと趣がちがう。

セローは60年代にマラウイとウガンダで教師をした経歴をもち、
30年以上ぶりに旅をしながらそれぞれの地を再訪する。

当時より悪くなっている国々、変わらない田舎の良さ。
先進国のNGOの支援を批判しながら、悲しみと怒りが交差しながらも、
変わらぬアフリカの良さをかみしめながら旅が続く。

大人の紀行はすばらしい。
旅は若者だけのものじゃない…そんなように感じるところもいいのかな。




『物の怪』(鳥飼否宇/講談社)。
『昆虫探偵』に引き続き生物系ミステリ作家もの。
河童に天狗に鬼を…今風にというか京極風にと言うか、生物学的なミステリに仕立てたもの。
まぁ、おもしろいのですが、ミステリを書こうと思って書いているところに、感動はないかな。




『エストニア紀行』(梨木香歩/新潮社)。
ファンなんで、買いました。『考える人』でもちょっと読んだし。
まぁ、好きかな、この人のエッセイは。

ただ、なぜエストニアなのかはよくわからない。
本人の裏テーマとしては「コウノトリを見る」というのだが、
旅そのものは「仕事の旅」ということになっていて、
田舎をいろいろまわるんだけど、妙に慌ただしくて、目的がはっきりしない…。
旅の目的をはっきりさせる必要はないし、その慌ただしさが、
エストニアの田舎の良さを引き立たせているけれど、ぼんやりとした違和感を感じる。

短い旅を1冊にまとめた感もちょっとあって、
しかも、震災前の取材を震災後に出版するということが
少なからず影響をしているのだと思うけど、
ラストのあたりが、ちょっと、こう…話が大きくと言うか、
ぼんやりなってしまったような気も…。

いや、好きなんだけどね、この人の自然の話は。
鳥とか詳しいし、自然との距離感がいいし。
エストニアにも行ってみたくなったし。。。

お次。

今日、帰りの電車の中でノンフィクション書評サイトHONZで知って、
駅を降りて、本屋に直行して即買い。



『弱くても勝てます』(高橋秀実/新潮社)。
新潮社がすごいのか、この人の本がすごいのか、
前著『ご先祖様はどちら様』も生田の小さなチェーン店系本屋で購入。
新刊とは言え、よくこんな地味な本(おもしろいけど)置いてるよな…。

ま、この人の本も好きですね。妙な空気感というか、モノの考え方がばかばかしくて。
超進学校である開成高校野球部のお話。
今回も妙。この人が書くから妙なのか、妙なモノを取材するから妙なのか?
いっき読みの予感。

ちょっと乱読気味の今日この頃。
ま、秋ですから。