前々回、経済主体の決算書類の表現の型として、その経済主体の「一定の期間の活動の成果」と「一定の日(決算の日)における資産・負債・純資産の状況」があるということを述べました。
そして、「一定の期間の活動の成果」を表現する型として、前々回、「お金」の計算書の説明を、前回、「利益」の計算書の説明をしました。
今回は、経済主体の「一定の日(決算の日)における資産・負債・純資産の状況」という表現の型の説明です。
この表現の型は、「貸借対照表」と呼ばれるものです。
お金計算書や利益計算書は、株式会社等の営利企業と非営利企業等で名称が異なっていますが、貸借対照表は、そのまま貸借対照表という名称を使う場合が多いようです。
(違う名称は思いつきません。)
同じ貸借対照表という名称を使っても、内容が異なる場合はあります。
貸借対照表のイメージを図にすると次のようになります。
会計を使って表現するときに、資産を左側に、負債と純資産を右側に表示します。
資産から負債を控除した金額が純資産という関係が成り立っています。
資産とは、お金、請求権等の権利、有形・無形のモノ等です。なんとなくイメージできると思います。
負債とは、お金等(ほぼ、お金)を外部に渡す(支払う)義務等です。
純資産とは、資産と負債の差額です。
前回、利益の計算書で、「利益」というのは、「指標」であるという説明をしました。
純資産も同じ「指標」です。
純資産がプラスのときは、「資産超過」といい、純資産がマイナスのときは、「債務超過」といいます。
(負債超過ではなく、債務超過といいます。理由は分かりません。)
純資産の金額の多寡、債務超過でないかということで、経済主体が事業を継続できるかといった状況を判断するのに使われます。
純資産の内容は、大きく「資本の蓄積」と「利益の蓄積」から成っています。
「資本の蓄積」は、外部からのお金等の払込みの積み重ねです。
「利益の蓄積」は、事業活動の成果としての利益の積み重ねです。
(「資本の蓄積」は、ポンポンの積み重ねという感じで、「利益の蓄積」は、コツコツの積み重ねという感じです。)
貸借対照表を少し詳しくすると下図のようになります。
貸借対照表で、よく質問を受けたのは、「この短期借入金の見合い(対応する資産)は何ですか」ということです。
金融機関の方から多い質問ですが、貸借対照表というのは、特定の資産と特定の負債の直接的な対応関係を示している訳でありません。
当初の関係は、時間の経過とともに変化しますので、対応関係がいつまでも続くわけではありません。
貸借対照表は、資産と負債・純資産を左右に並べているため、対応関係を示していると勘違いしている方も多いようです。
(短期的な資産、短期的な負債、長期的な資産、長期的な負債、純資産等の対応関係で、その経済主体を分析することはあります。)
同じような勘違いに、「利益の蓄積」、つまり、営利企業では、「内部留保」と言われることがありますが、「内部留保」の金額が大きいから、現金・預金が多いはずだと言う方もいます。
これも必ずしも正しいとは言えません。
「内部留保」の金額が大きいということは、過去から「利益」を積み上げてきたということで、基本的に、その利益分の現金・預金等が入ってきたことになります。
しかし、その現金・預金等が、ずっと現金・預金等のままで残っている訳ではありません。
事業活動は、常に動いているからです。
この辺りのことは、話題が尽きませんので、追々、説明したいと思います。
今日は、表現の型として、貸借対照表の概略を説明しました。
会計に関連した私の考えについて、書こうと思います。
できるだけ分かり易く書きたいのですが、難しくなるときもあるかもしれません。
会計は分からないけど興味がある方、会計を勉強したいと思っている方、会計に携わっている方、何かのご縁で私のブログを読んでいただいた皆様のお役に立てれば幸いです。
皆様に、神さま仏さまのご加護がありますように。
61歳のオッサン公認会計士でした。
では、また。