今回は、少し難しい話です。
まずは、未払給与(みばらいきゅうよ)の説明です。
事例を基に説明したいと思います。
<事例>
会計期間が、4月1日から3月31日までの1年間である企業の事例です。
給与計算期間は、20日締め25日支払とします。
決算月である3月の給与は下記の図のようになります。
図の①の部分は、2月21日から3月20日までの給与発生額を表します。
当該①の給与発生額は、3月25日に支払われます。
当該①の給与発生額は、3月20日の給与締め日または3月25日の給与支払日に費用として計上されます。
図の②の部分は、3月21日から3月31日までの給与発生額を表します。
当該②の給与発生額は、翌会計期間の4月25日に支払われます。
当該②の給与発生額は、3月31日時点で、まだ支払われていませんが、給与が発生していると考えて費用として計上します。
これが、未払給与と言われるものです。
「利益計算書」の利益と「お金計算書」のお金の違いのひとつがこれです。
以前、監査で、「当該②の給与発生額に対応する社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料等)を計上してください」との指摘を受けている企業がありました。
「当該②の金額の給与が発生しているので、それに対応する社会保険料が発生しているはずだから、そのうちの企業が負担する部分を費用として計上してください」というものだったと思います。
金額は、当該②の給与発生額に社会保険料率を乗じた半分(企業負担分)ということになろうかと考えます。
この指摘は、正しいでしょうか?
私は、必ずしも正しくはないと考えます。
なぜなら、毎月の給与に対する社会保険料は、実際に支払われる給与(実際に発生した給与)に社会保険料率を乗じて計算するのではなく、一定の規則で決められた従業員(被保険者)毎の標準報酬月額(ひょうじゅんほうしゅうげつがく)に社会保険料率を乗じて計算されるからです。
標準報酬月額とは、各従業員(各被保険者)の毎月の社会保険料の計算の基礎となる金額と考えてください。
この金額は、一定の期間、同じ金額となります。
被保険者になったとき、給与が大きく変動したとき等を除いて、その年の9月から翌年の8月まで同じ金額となります。
また、社会保険料は月単位で計算されます。
給与の計算期間とは関係なく、月単位で計算されます。
各従業員(各被保険者)の標準報酬月額に社会保険料率を乗じた金額の合計のうち、企業が負担する分を毎月末に費用計上すればよいと考えます。
だから、給与計算期間とは関係なく、給与発生額に関係なく、毎月末に、標準報酬月額によって計算された社会保険料額(1カ月分)の企業負担分を費用として計上すればよいと思うのです。
この理屈は、賞与についても当てはまります。
いずれ「賞与引当金と社会保険料」というテーマで、私の考えを説明したいと思います。
(いつになるか分かりませんが・・・)
会計に関連した私の考えについて、書こうと思います。
できるだけ分かり易く書きたいのですが、難しくなるときもあるかもしれません。
会計は分からないけど興味がある方、会計を勉強したいと思っている方、会計に携わっている方、何かのご縁で私のブログを読んでいただいた皆様のお役に立てれば幸いです。
皆様に、神さま仏さまのご加護がありますように。
61歳のオッサン公認会計士でした。
では、また。