風になりたい

自作の小説とエッセイをアップしています。テーマは「個人」としてどう生きるか。純文学風の作品が好みです。

バレンタインディにチョコをもらうのは「男尊女卑」だと言われてもなあ (『ゆっくりゆうやけ』第79話)

2012年02月09日 08時05分05秒 | 連載エッセイ『ゆっくりゆうやけ』

 今日は、バレンタインディ。
 中国にもバレンタインディはある。
「情人節」とよび、カップルで過ごす日だ。
 中国では、彼氏が彼女にプレゼントを渡す。日本とは逆だ。もちろん、チョコを贈るのは日本だけの習慣なので中国にはない。
 中国人の友人に、日本のバレンタインの習慣を話したら、彼は怪訝な顔をした。
「男はなんにもプレゼントしないの?」
「そうだよ。男は三月十四日のホワイトディに彼女にプレゼントするんだよ。だから、おあいこさ」
 僕がそう言っても、彼は納得しない。本当に男はプレゼントを贈らないのかと何度も訊く。彼は、おもむろに、
「日本人はひどい。男尊女卑(大男子主義)もいいところだ」
 などと言い始めた。
「え? 意味がわからないんだけど」
 頭のなかは?マークでいっぱいだ。
「だって、男が女に貢がせるんだろ」
「うーん。そういうのじゃなくって、今日は女の子が男の子に告白していい日なんだよ。昔は、女の子から告白するのは少なかったからね」
「女が告白するなんてよくないよ。そんなことをしたら女の子はあばずれだと思われてしまう」
 彼はなかなか頑なだ。
 チョコをもらうことが女の子に貢がせていることになるなんて考えたこともなかった。男尊女卑って言われてもなあ。
 

 
(2011年2月14日発表)
 この原稿は「小説家なろう」サイトで連載中のエッセイ『ゆっくりゆうやけ』において第79話として投稿しました。 『ゆっくりゆうやけ』のアドレスは以下の通りです。もしよければ、ほかの話もご覧ください。
http://ncode.syosetu.com/n8686m/

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