風になりたい

自作の小説とエッセイをアップしています。テーマは「個人」としてどう生きるか。純文学風の作品が好みです。

幻の立ち乗り旅客機(連載エッセイ『ゆっくりゆうやけ』第172話)

2013年05月15日 22時44分14秒 | 連載エッセイ『ゆっくりゆうやけ』
 
 もうずいぶん前のことだけど、中国の雑誌を読んでいたら、立ち乗り旅客機の開発計画の記事と完成予想図のイラストが出ていた。
 乗客を座席に坐らせるとスペースをとって輸送効率が悪いので、乗客を立たせたままびっちり乗せて運ぼうという計画だ。記事によると、一時間くらいの短距離路線向けに開発予定で、ジェットコースターのような上からバーで押さえつけるタイプの安全装置をつけるので、離発着の時の安全性も問題ないと書いてあった。航空運賃も安くなるので乗客にもメリットがあるという。
 さいわい、というか、当たり前というか、立ち乗り飛行機のアイデアはまだ実現していない。中国では飛行機の出発が一二時間遅れるのは当たり前だし、三四時間待たされることもしょっちゅうある。立ったまま三時間も待たされるだなんてたまらないんだけど……。
 飛行機の乗客を立たせたまま運ぼうだなんて、フツーは思いつかないよ。人口十何億人の国は、考えることが違うよなあ。




(2012年4月26日発表)
 この原稿は「小説家なろう」サイトで連載中のエッセイ『ゆっくりゆうやけ』において第172話として投稿しました。
 『ゆっくりゆうやけ』のアドレスは以下の通りです。もしよければ、ほかの話もご覧ください。
http://ncode.syosetu.com/n8686m/

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