朝七時十分発の乗り合いジープに乗って貢山から独龍江へ。独龍江への定期便はこれしかなく、あとは、トラックを探して乗せてもらうくらいしか交通手段はない。
出発の十分前にはジープの回りに乗客が集まっていたが、ゆっくり荷物を積んだりして実際に出発したのは七時二十分。少し走ったと思ったら、米線店の前にとまり、
「朝ごはんを食べよう」
と、運転手が言う。乗客は饅頭をかったり、米線を食べたり。なんだかんだでちゃんと出発したのは七時四十分だった。のんびりしている。
貢山の町を抜けてすぐに渓谷沿いの道を走る。集落のなかに赤い教会が見えたりする。四五十分走ったところで携帯電話のアンテナが立たなくなった。集落はまったくなくなり、道路工事の労働者のほかは人がいない。
手つかずの自然のなかを走る。緑がきれいだ。がたごとと揺られながら景色を見ているだけで気分がすっとした。
道路工事のために一時停車。
崖の岩を切り崩し、崖の道の下の石垣にしていた。
誰も文句をいわず、道が通れるようになるまで待っている。
一時間くらい待ってようやく出発した。
冬は雪が積もり、五月の労働節の頃まで積雪が残っているそうだ。
乗り合いジープは分水嶺を越えた。
トンネル工事の現場。
トンネルが開通すれば、六七時間かかっている道が、三四時間ほどに短縮されるのだとか。便利になるかもしれないけど、ダイナミックな景色を観ることはできない。眺めのいい道を走りたいなら、今のうちかも。