風になりたい

自作の小説とエッセイをアップしています。テーマは「個人」としてどう生きるか。純文学風の作品が好みです。

藁ぼっちと祭囃子

2021年12月09日 05時45分45秒 | 詩集
 刈り入れの終わった田んぼ
 ずらりとならんだ藁ぼっち
 空は秋晴れ 日本晴れ
 澄んだ風が吹き抜ける

「もういいかい?」
「まあだだよ」
 藁色の田んぼで
 かくれんぼしているのは
 幼な子の姿をした
 かわいい稲の妖精たち

 はしゃぎまわって
 かけまわって
 とんで はねて
 天までとどくような
 ほがらかな笑い声を
 はじかせる

 祭囃子
 神社の御神輿
 軽やかな音色
 男のかけ声
 女のかけ声
 稲の妖精たちは遊びをやめて
 みんな神輿へ駆けあがる

 刈り入れの終わった田んぼ
 ずらりとならんだ藁ぼっち
「春になったらまたくるからね」
 神輿に乗った稲の妖精たちは
 ころころと笑いながら
 田んぼに手をふる


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