記憶の在り処

「記憶をよみがえらせる何かいい方法、ご存じないですか？」

きのう唐突に、真剣な表情で、後輩が聞いてきました。

は？　と、私。

いや、あの、去年も行った倉吉線の廃線ウォークに
あした添乗で行くんですけど、
どんなところだったか全然思い出せなくて…
とモゴモゴ。

私は放任主義のスパルタ主義ですから

「知らんよ、そんなこと。
知ってたらこっちが教えてほしいぐらい」

とだけ返して終わりにしました。


でも、一夜明けて今朝。

記憶がよみがえりました。

明け方。布団のなか。古い木造の部屋にひとり。
友人と長電話したあとの寝入りばなであることまで
あの朝とまったく同じ。

揺れがおさまるのをじっと待ち
布団を被ったままこわごわテレビをつけ
…そこに映し出される映像が１８年前とは異なることに
ようやく安堵の息をつきました。


記憶のよみがえらせ方は分かりました。

自分の細胞のあちこちに
ふだんは姿を見せない記憶がギュッとつまっていることも。



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