田辺聖子さんが亡くなられました。
私、二十代の頃、田辺さんの本を熱心に読み漁っていました。
独特の優しく軽妙な関西弁の語り口調にはまって、
人生のなにをかもわからないくせに、
オッチャン、オバハンの恋愛模様を知ったかのように
可笑しく読み進めたことを思い出します。
当時住んでいた文化住宅の一室は、
古本屋で買った文庫本が溢れて、埃っぽい酸い匂いが充満していました。
懐かしい。
会社を立ち上げた頃、こんなブログを投稿していました。
ーーーー2009年8月のブログよりーーーー
阪神間の地元密着ツアーを手がける我々ですが・・・
その地元にお住まいの関西の女性作家といえば、
この方、現在伊丹市にお住まいの田辺聖子さんでしょう。
私この方の数ある書物の中でとにかく大好きな一冊がこちら・・
「感傷旅行」
昭和38年、彼女が35歳の時に書いた芥川賞作品です。
正直小説の内容は実のところあまり鮮明ではありません。
でも。
いつも、「やりすぎなかなぁ・・・・」と反省する時、
この物語の破天荒な(本当はナイーブな)主人公のセリフを思い出します。
60年代スノッブな若者、ノンポリと言われた無気力な若者が、
時代の象徴とされた時代。
彼女が彼氏(?)に啖呵を切る場面。
ーーー「何さ、あんたは一生、銀紙のお皿のっかってセロファンに包まれて、
天国へ直通ですべりこみたいの?
恥ずかしいことや、きまりの悪いことをすんのが、それほどこわいことなの?
どっからつついてもボロが出ない人間が、
それほど偉いんですか?
バカ!
人生てものは、二、三か月さきには人生でなくなんのよ、
いま、この瞬間だけが人生なのよ!」ーーー
好きだなぁ、このセリフ。
このたびの起業にあたっても、久しぶりに押入れから取り出して
この場面だけ読み直しました(笑)
いつも背伸びばっかりでは大変です。
時には惨めったらしい自分も認めなくっては。
喜怒哀楽があってこその、人間ですものね。
いまは迷うことばかりの日々ですが、後悔だけはしたくない。
その気持をこのセリフにおきかえて、
まずは信じた道を貫いてみようと思います。
とは言え二日酔いで大失態した後のこの話・・・
身内は誰も納得しませんでした。
、、、でしょうね。
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こんなことを書いていたんですね。
10年前のことなのに、迷う日々は相変わらずってこと、
そこに苦笑いしてしまいました。
でも、この言葉、上記の主人公のセリフは、
今も自身を奮起させる時に思い出します。
そうだよ、そうだよ、そうだよな、と。
やらずにする後悔より、やってする後悔を
やっぱり選んで行くべきなんでしょうね。
心に留まる言葉を私もいただいています。
ありがとうございました。