先週末は、函館。
今週末は、長崎。
函館山の夜景より、長崎ハウステンボスの花火のほうが寒かった。
それぐらい、この一週間で、一気に寒くなりました。
例によって、ツアーふたつ分、まとめて報告をＵＰしようと、
気温のほかになんぞ共通点はなかったかいな、と探していたら、
･･ありました、まったく関係ないふたつを強引に結びつけるお客様のひとことが！
あるバスツアーでのこと。
「こないだ行ったコンサートで思ったんだけど」と前置きされて、こう続きました。
「視覚は、聴覚に優越するんですって」
辻井信行さんのピアノ・リサイタルに行かれての感想です。
「辻井伸行＆印象派」と銘打たれた、ちょっと変わった趣向のコンサートで、
ステージ上で演奏する辻井さんの、その奥に、
モネやルノアールなど、印象派の画家の絵を映していくというもの。
「途中から、目をつぶって聴いてたの。これは、絵が強すぎる･･と思って」
つまり、「視覚は、聴覚に優越する」。
ちょうど、そのときカバンに入れていた本にも同じことが書かれていたので、
思わず、ページを開いて読みなおしてしまいました。
われわれの文明は、まずなによりも、目の文明、目に依存する文明だ。
（略）
このような〈目の独裁〉からすべての感覚を解き放つこと。
世界をきく。世界をかぐ。世界を味わう。世界にふれる。
これだけのことによっても、世界の奥行きはまるで変わってくるはずだ。
真木悠介著『気流の鳴る音』より
そう、そういうこと。
「インスタ映え」とはイコール、視覚の超優位。
そんな「目の独裁」からの解放をいうならば、今回の函館と長崎は珍しく、
視覚ではない別の何かが勝った時間ではないかと思ったのです。
まずは、函館。
函館市内から北へ、車で一時間半の銀婚湯。
広大な敷地内に点在する５つの「隠し湯」が名物です。
こちらは、種から育てたというカツラ並木。
一歩、足を踏み入れたとたん、キャラメルのようなあまーい香り。
カツラの落ち葉の香りです。
図鑑には、カツラの名は、「香出」（かづ）から転じたものとありました。
このカツラ並木に包まれて佇むのが隠し湯のひとつ、「かつらの湯」。
モザイクをかけたわけでもないのに、きれいにボケてますが、
まぁ、こちらの湯が、最高！でした。
お湯はもちろんですが、カツラの香りに全身包まれて、陶然とするひととき。
まちがいなく、今年ナンバーワンのお湯時間でした。
･･つまり、函館は「嗅覚」に残る時間。
では続いて、ハロウィン一色に染まる長崎ハウステンボスはどうだったかというと。
この夜、「九州一大花火」というタイトルで、
西日本最大級の、2万2000発もの花火が打ちあがりました。
なかでも印象的だったのが、
「九州のアーティストの歌声にのせてお送りします！」と打ちあがったメドレー花火。
HKT48？、さだまさし、などなど、ほかにも知らない人たちの、でも聞いたことのある歌声がつづき、
途中、福山雅治らしき歌になったところで、地元客と思しき前の若い二人は、体を揺らしてノリノリ。
よかった。よかったのですが、、、。
聖子ちゃんと思われる名曲、「瑠璃色の地球」にのせたフィナーレ花火が終わっての、
となりのお客様どうしの会話。
「九州って、有名な歌手がいっぱいいるね」
「歌、どれもよかったわぁ」
私とまったく同じ感想…と思いかけて、おーい、と突っこみが入りました。
主役は花火ですよー。
･･ということで、長崎ハウステンボスの花火は、なぜか「聴覚」の勝利。
花火なのだから、ここは「視覚」でよかったのではないかと思いますが･･。
ちなみに私は、いつ、チェッカーズが登場するかと耳をダンボにしていたのですが、
残念ながらフミヤの歌声はこの日、夜空に響きませんでした。
中学校の修学旅行で訪ねたハウステンボスも、今年、開業30周年。
昭和も平成も、遠くなりました。
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