銀ステ根なし草

銀のステッキ旅行・スタッフの雑記帳

おみやげは「公開絶縁状」

2009年11月14日 | のほほん同志Aの日常
女性ばかり6名のお客様にご参加いただき、
昨日まで九州の旅へとご一緒してきました。

お一人参加の方もありましたが、
お芝居好きな方ばかりとあってすぐに打ち解けられ、
小さな車内では笑い声が絶えず。

今回、皆さんのお目当ては、
山鹿・八千代座の舞台に立たれる坂東玉三郎さん。

息を呑む美しさに、アンコールの拍手も力いっぱい。
「手が痛くなったわ」と、あとでさすっておられました…。

さて、その皆さんがもう一つ旅の楽しみにされていたのが、
福岡県飯塚市にある旧伊藤邸。

大正天皇の従姉妹にあたる情熱の歌人、柳原白蓮が、
飯塚の炭坑王、伊藤伝右衛門のもとに嫁ぎ、
年下の歌人、宮崎龍介と駆け落ちするまでの
十年間を暮らした住まいです。

「姦通罪もあった時代にねぇ」
「なんて大胆でひたむきな…。うらやましい」

行きの車中では大いに白蓮びいきだった皆さま、
館長さんじきじきにご案内をいただきながら、
実際に旧伊藤邸のお部屋の数々を見学してみると…

夫である伝右衛門が25歳も年若の妻のために増築した部屋は
白蓮が好きだったという蝶が欄間に舞い、
襖の引き手にはチューリップが形どられているという懲りよう。
家具も特注、お手洗いもなんと水洗式を用意したといいます。

「こんなにしてもらったのに、白蓮さんはしたい放題ね」
「なんだか伝右衛門さんが気の毒になってきたわ」

…すっかり伝右衛門びいきに変わっていらっしゃいました。


そんな皆さんが「これは買っておかなきゃ」とお土産に買い求められたのが
「白蓮自身が書いた夫への絶縁状」のコピー。

「此の手紙により私は全力をあげて
 女性の人格的尊厳を無視するあなたに
 永久の訣別を告げる事にいたりました」

かくもスパッと断ち切る「絶縁状」は
夫に届くより先に朝日新聞に掲載され、
「白蓮事件」として世を賑わすスキャンダルとなります。

「女心といふものは、真に愛しておやりなさりへすれば
 心から御慕ひ申す様になる事は必定。
 何卒これからはもう少し女といふものを価つけてご覧なさる様、
 息子の為めにも又貴方の御為めにもお願ひ申して置きます」*原文ママ

…こう締めくくられた「公開絶縁状」、1部20円也。

もちろん私も買いました。
全文を読みたい方、ご一報下さい。


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