フランシスは模範囚だ。ここのところ奴からビリを買っている。フランス人だからお金については聡い、安く買って利益を乗っけて売る。自分の吸う分ぐらいは浮かしているのだろう。彼の刑務所生活は長くて5~6年にはなると噂を聞いた。何年後、生きてここから出られるのか、そんな話しは誰もしない。彼はビリを売ってもドラッグには関わらない。ビリは刑務官に見つかれば没収か酷くても2~3日の懲戒房で済む、がスタッフは刑の延長を意味する。彼はビリを売るだけでなく火を用意してくれている。たぶん宗教の祈りなどに使う目的で蝋燭の持ち込み許可を得ているのだろう。施錠後Cバラックの中に2~3ヶ所隠し火がある。その火が完全消えてしまったときは裸電線を擦り合わせ火花から火をとる、又は電球に紙を巻き付けその熱で火をとる。インドの電気は200V、空気が乾燥しているので難しくはない。
刑務所で配給される食べ物は決まっている。それ以外の食べ物といえば面会の差し入れだ。定期的に面会を受けている者は人気がある。フルーツや特に甘い物は貴重品だ。チョコレート、ケーキそれにビスケット等は王様で口にすることは滅多にない。第2ワードに来てスリランカ人グループと共同生活をしているが嫌な事が多い、でも一つだけ良い点がある、それは食べ物が豊富にあるという事だ。刑務所にいて豊富な食べ物とスタッフがあればこれ以上の贅沢はないだろう。サンダーを除いて他の3名に順送りの様にして面会がある。今日はセガのバースディだった。珍しいスリランカの食事が差入れられた。この時ばかりは全員、食べ物を囲んで仲良く食べた。ココナッツ・オイルにスパイスを効かせた炊き込みご飯やココナッツを使った料理が多かったが堪らなく美味しかった。