ガンジス・河の流れ

インド・ネパール。心の旅・追想

ジャンキーの旅        遠い道・・・・・2

2013-10-07 | 4章 遠い道・逃亡

人の流れの間を縫うように歩いていると、前へ進んでいるようには思えない。5㎏くらいしかない中型バッグなのに重い。左右の手を替えて持っていたが、今では両手で抱きかかえるようにして歩いている。やっとキーランGHへ上る階段の前に着いた。もう先へ歩く体力はない、迷うことなくキーランGHの階段を上った。
 1部屋しか空いていないとマネージャーが言うが、他のホテルを探す体力も気力もない。ラジューに荷物を持たせてトイレもシャワーもない暗い部屋の中へ入った。明日は入院前にぼくが泊まっていた部屋が空くらしい、ラジューに5ルピーを握らせてその部屋を絶対に確保するよう命じた。宿帳を持って部屋に入って来たマネージャーに後はよろしく頼むと言いながらぼくは100ルピーを彼の手に握らせた、パスポートを持たない弱い立場だ。彼はそのお金を受け取ると、もう1度右手を出し100ルピー出せと言いやがった。ふざけるなこの野郎、頭にきたぼくが
「何だ、その手は」
「シーツ代だ。分かるだろう」
と奴。そうかブラックアウトして焼いたシーツを隠してぼくは逃げていた。2度とこのホテルへ戻る事はないだろうと思っていたので忘れていた、100ルピーを払った。焼いたベット・マットには気付いていない様子で安心した。
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