ガンジス・河の流れ

インド・ネパール。心の旅・追想

ジャンキーの旅          No5 Ward・・・・・2

2014-11-06 | 4章 デリー中央第一刑務所No5Ward

 19時頃、最終点検が終った。18時の施錠で人数点検をしているが、もう一度人数の確認をする。外房に全員並ぶという事はないが一応、房内での頭数の確認はする。これが終ると内房の鉄格子ドアーに毛布を掛け外からの冷たい風を防ぐ、と同時に定期的に巡回して来る刑務官から中が見えないようにしてしまう。これからビリやスタッフを吸う事が出来る。ここで吸うのはぼくとアミーゴだけ、考えて見ればこのメンバーで良かったのかもしれない。スリランカ、パキスタン、アフガニスタン、イラン等は一般外国人と区別され今回の移動はなかった。スリランカ人は何だか淋しそうだった。これでやっとスリランカ人と離れられると思っていたが、第2収監区から歩いて2~3分くらいの近さなのでショッカンは殆んどこちらに来ていた。
 何かあったのだろうか粉が回って来ない。ピーターも探し回っていた。ぼくは1パケ買っていたので何とか今夜は凌げる。フィリップスから付けで買ってまだお金を払っていないのだから文句は言えないのだが今日は一日中顔を見なかった。裁判所への出頭日だったのか、とにかく粉が回って来ないのが一番堪える。ワードが替わったら火の事が心配だと思っていたがその通りになった。開錠中は探せばどこかに隠し火がある、問題は施錠された後の火を如何するかだ。他の房でも考えているだろう。今日、買ったパケは最悪だった。湿気が多いのか固まっていた。それを食器プレートの上に置きナイフで小さくカットして鼻に入れてしまった。アミーゴは何も言わなかったが奴はどこで手に入れたのかシルバーペーパーを持っていた。さっきぼくが鼻に入れたスタッフはチェーシング用だったのだ。ここだったらそれが出来る。アミーゴは蝋燭で焙りながらチェーシングをやりだした。ぼくも一回やらしてもらったが変な味でやけに咳き込んだ。奴も咳き込んでいる。良く見るとシルバーペーパーの数ヶ所にピンホールがあった。そこから蝋燭の煙や煤を吸い込んだのだろう気持ちが悪くなった。


11月か・・・朝晩冷えるようになってきた 冬用衣類の用意をしなければ・・・
何故 今なのか カミュの異邦人を読んでいる 何回目だろうか 少し理解が深まっている
ように思える がどうだろうか
「ある日、看守が来て、私がここに来てからもう5ヶ月になるといったときにも、
その言葉は信じたが、よく理解できなかった。私にとっては、絶え間なく、同じ日が独房のなかへ
打ちよせて来・・・・・」とつづく がぼくと重なる訳ではない 気配はおぼろげに見え隠れする
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする