ガンジス・河の流れ

インド・ネパール。心の旅・追想

ジャンキーの旅          No5 Ward・・・・・3

2014-11-11 | 4章 デリー中央第一刑務所No5Ward

 ここの外トイレは内からロックが出来る。ノックもしないでドアーを開けるインド人には閉口していた。これからインド人はいない、トイレもそんなに汚れないだろう。引越しが一段落して前のCバラックに行ってみた。ガラーンとして当然だが外国人の姿はない。インド人の間にぽつんとスリランカ人、イラン人等が小さく集まっていた。今迄ぼくのお金を当てにしてインド人に洗濯などをやらせていたがこれから如何なるのか。夜、ショッカンがいくら騒いでも誰も助けてはくれない。15時の開錠後、シックに入ったショッカンはずっとこちらにいた、落ち着きがない。それまでに皆から借り集めたお金だろう、60ルピーを見せながら足りない10ルピーを貸してくれとぼくに頼みに来た。その70ルピーで1パケを買い帰って行った。セガと2人でやるには少な過ぎる、シックは治らないだろう。明朝、奴は駆け込んで来る。

   1月17日(火曜日)
やはり夜は冷える。入口が鉄格子なので毛布で風を通さないようにしているが、冷たい風が隙間から入ってくる。完全に冬の天気だ。朝、10時頃までガスが晴れない。ぼんやりとしたオレンジ色の太陽。夏の切り裂くような太陽と較べて何と弱々しく優しく見えることか。昼前やっとガスと雲が消えて少し暖かい陽が差しだしてきた、それまで冷たい風が吹いていた。小便がしたいのだがトイレが遠くて行く気にならない、内トイレで済ましてしまった。ティーを飲んで9時頃まで寝床でゴロゴロしていた。
 昨日とうとうフィリップスからのパケは回って来なかった。朝、キシトーに会ったが奴はかなり怒っていた。
「お前はデビルだ」
怒った顔でそうぼくに言った。この言葉は二度目だ。4時頃、彼に会ったら少し機嫌が良くなっていた。笑いながら後からで良いから3房に来いとぼくを誘った。
「心配かけてすまない」
「気にするな」
とキシトーは言ってくれたが少し気まずい感じは残った。
コメント
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