ガンジス・河の流れ

インド・ネパール。心の旅・追想

ジャンキーの旅        遠い道・逃亡・・・・・33

2015-01-05 | 4章 遠い道・逃亡

  国境へ・・・5 

列車の揺れと一定のリズムを刻むレールと車輪の音を聞いているうちに眠りに落ちた。大分、眠っていた。目が覚めると向かいの座席にネパール人達が座っている。窓の外はもう明るい、枕元の時計を見ると針は7時少し前を差していた。ゴラクプールまで後1時間しか残っていない、ぼくは慌てた。この大事なときに寝過ごすなんて、今日の行動はどうする、まだ何の結論も出ていない。起き上がり窓側に座って煙草に火を点けた。(どうするんだ、1人でクシナガルに行くのか)計画は立てていた、だが実際にその場に直面しないと、どう動いたら良いのか分からない。(どうするんだ、早く結論を出せ)心は騒ぐが頭の中は混乱していた。チャイを2つ持ってボスが戻って来た。
「ジャパニー、チャイだ、飲めよ」
と言ってぼくにチャイを渡してくれた。
「どこへ行くんだ?」
「カトマンズだ」
「じゃ、俺達と同じだ」
いつもだったらこれから会話が弾む、だが今はそんな気分になれない。ぼくは気難しい顔をしていたのだろう、ネパール人もそれ以上は話し掛けてこなかった。列車がスピードを落とし始めた。
「着いたのか?」
「いや、この次だ」
ぼくはトイレに入ってスタッフを入れた。少し気持ちが落ち着くだろう。ネパール人との関係は良くなっている、ボスに本当の事を話して助けを求めるべきか、ぼくはどうしても決心がつかなかった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする