こんど替わった8房には病人のアフリカンがいた。名前はムスタハン。雰囲気が暗い、メンバーも残り者の寄せ集めだ。力を持っている者が誰もいないのでペンキ塗りの道具も使えなかったのだろう、壁の下だけちょろっと塗っていた。ムスタハンは以前チクリ屋だったらしい、奴の病気はかなり酷そうだ。高血圧とか言っていたが本当の所は分からない。どう見てもここにいるより病院か棺桶に入った方が良いだろう。アフリカ人も冷たいよ、病人の奴と同じ房になるのを嫌がって放り出している。奴の顔を見ても好きになれない、目やにが出て話すとき口許に泡をだし唇は震えていた。
ぼくはここの新参者だから挨拶替わりとして少しスタッフを出し全員で回してやった。何なんだ、この病人はチェーシングがしたいと起きてきやがった。しょうがないので軽く2服吸わせてやった。カマルはインド人だが国籍はポーランドだと言った。彼は電気に詳しいのか天窓から入っている電線を分岐させていた。電燈と扇風機は普通に使えるようにして分岐させた2本の電線は下に降ろし彼が作ったコイル・ヒーターに接続するように作ってあった。これで火の心配はないし夕食も温めて食べる事が出来る。
昨日会った時は不信な素振りはなかったのに今日、会ったショッカンはもう目の淵を黒くしていた。スタッフをやっている、直ぐ分かった。また奴のたかりが始まる。もうスタッフはやらないとぼくに言っていたのに中毒者は如何してもやめられない。
久し振りに風もなく快晴だ 釣竿を持って湾へ行く
甲イカのシーズンだが去年からイカがいなくなった イイダコ2匹とは情けない
冷凍して数が揃えば煮つけにする 安いからだろうかスーパーでは売っていない