ガンジス・河の流れ

インド・ネパール。心の旅・追想

10話 トイレと豚・・・1

2016-02-10 | 第10話 トイレと豚

 アシュラムの手続きを終え宿舎にはいった。その時、初めてトイレでの紙の使用が禁止されていることに気づいた。トイレが紙で詰まり使えなくなったことがあったらしい。それ以来ぼくはトイレで紙を使ったことはない。左手のひらに水を溜めその水でお尻を洗う。確かに水で洗うとお尻はウォーシュレットで洗ったように綺麗さっぱりとする。問題は水に濡れた尻と黄色いものが付いた左手の指だ。お尻はふぅふぅと2~3回上下運動をすると尻のもじゃもじゃした毛が含んだ水滴は落ちるだろうが乾くわけではない。トイレの中には便器を跨いで座ると伸ばした手が届く低いところに蛇口がある。そこで汚れた手を洗って下着と薄い綿のパンツをはく。ちょっと下着が濡れた感じはするがそれほど気にはならない。
 ガンジス河源流へ行ったとき、お世話になったアシュラムは標高約3000mのガンゴトリという聖地にあった。そこのトイレは変っているが、なるほどと思った。アシュラム内に巾40㎝ぐらいの小川が運河のように引きこまれている。この小川は何処まで流れているのかぼくは知らないが、アシュラムの下にも家があるとこをみると、同じように使われているのではないだろうか。アシュラムの人間にトイレはどこだと聞くと小川の上に建っている小屋を指差した。小屋の入口はちょうど小川なのだが、その上には板が渡してある。ドアを開けると小屋の真中の小川には綺麗な水が流れていた。それを跨いで用を足せということらしい。ズボンと下着を脱いで座ると小屋と水面の間から水の流れに乗った冷たい風が吹いてくる。尻や何やらが縮こまってしまう。水の流れはかなり早く落し物はその水に流され跡形もない。小川の水は高度1000mぐらい登ったところにあるガンジス河源流の氷河の溶け水である。尻を洗う水はその小川の水だ、手ですくい取って使うが冷たかった。
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