熱暑の国インド、それでも12月の早朝6時は冷える。開錠後の水浴は患者達にとって辛い日課となっていた。ベッドの間に棒を持った模範囚が走り回る。震えながら決められた水浴を行う者やサンジのように頭に水を掛けるだけでチェックを逃れる要領の良い奴もいた、衣服を着てしまえば調べられる場所は頭髪だけだから。ぼくも水浴をするようにと注意を受けたが拒否した。仏教徒にはそのような宗教的習慣はない、いい加減んな言い訳だ。イスラム教、シーク教に対する宗教的感情と異なって仏教、キリスト教には寛容であったように思える。ハルジュダム、ピーターそれにぼくの3名は免除された。インド、ネパールを旅していて何度も
「お前の宗教は何だ?」と聞かれた。
説明するのが面倒臭くなって一度だけ
Idon`t believe in eny religion, と言ってしまった。
それまで「日本は金持ちで豊かな素晴らしい国だ」
と話していた彼は一変して蔑んだ顔でぼくを見て会話を中断してしまった。そのことがあってからぼくは質問される度に
「ぼくは仏教徒である」と答えた。
繰り返されたぼく自身の答えがぼくの心の中の意識の一部分として残った。
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