「お客様は神様です」
この言葉を聞いて、みなさんはどんな印象を持たれるでしょうか?
僕自身はなんとなく、お金儲け主義な「商人(あきんど)」なイメージを持っていたのですが、実際にはこの言葉、歌手の三波春夫さんという方が「芸能」について語った言葉だったのでした。
「お客様に自分が引き出され舞台に生かされる。お客様の力に自然に神の姿を見るのです。お客様は神様のつもりでやらなければ芸ではない」
「ステージが〈天〉なら客席は〈地〉で、その天地の中にいる唯一の絶対者がお客様。そういう存在を〈神様〉というのだと自分は教わった」
つまり、『芸能の本質、主役はステージではなく、お客様にある』という考え方。
気づいてみれば全く当たり前のことなのですが、どちらかと言えば自分中心的に音楽をやってきた僕の目を覚ますには充分に衝撃のある言葉でした。
三波春夫さん。
また素晴らしい大先輩に出逢うことができました!
三波春夫オフィシャルサイト
http://www.minamiharuo.jp/
<余談:天地人(てんちじん)>
「一切は陰陽の和する所の境を、成就とは知るべし」~風姿花伝~
天地人は世界を構成する三要素。「和合の精神」を表す。
天は陽、地は陰とされ、陰陽の調和、バランスを重んじることによって、人の気が生成されるとする。人はあくまで天と地の間にあってこそ「人間」なのであり、「和するもの」ということ。
日本人は、流動する宇宙万物の中で、生かされているという謙虚さや畏敬の念を大切にしてきた。
「天人合一(てんじんごういつ)」は、人や小宇宙の形や機能が自然界や大宇宙と相似形を描いているとする思想。
質素な茶室や床の間の生け花には、宇宙を凝縮させた日本人の叡智が感じられる。
(LUNAWORKS「旧暦日々是好日」より)