今日のセミナー開講前、医科歯科大歯科同窓会学術部会長の宝田先生が挨拶をされ、その時の話で出たのですが、現在東京都内の開業医の40%以上がインプラント治療を手掛けている、と出している状態になってしまったそうです。
勿論、インプラントと出していてもピンからキリまであって、年間数本しかしていない所から、いつもしていて何百本、1000本超えるレベルでしている所まで千差万別でしょうが、と話されました。
正しい普及が為されているなら、インプラントは素晴らしい治療方法なので喜ばしいことだと思うのですが、残念ながらトラブルの方も相当に増えてしまっているのが実態であり、これからの先生方にはチャンと学んで正しく用いて欲しい、と挨拶をされました。
医科歯科大等の大学病院は、最終的に引き受けざるを得ないリカバリーをする使命があり、その中の実情を良く知っている先生が発した言葉ですから、凄く重みがある、と思います。
インプラントは簡単だ、誰がやっても、どんな患者さんでも成功する、そう言う間違ったイメージが業界内始め患者さん達含む一般の方々に広まりつつあることは、本当に怖いことだ、と思います。
そう言う中、ではどう言う基準を持っている先生なら安心できそうなのか、私が考える新時代のインプラント治療のスタンダードを今日は記して置こうと思いました。
1、歯周病治療をチャンとやってくれて、再生歯周外科治療まで行っていて実績を挙げ続けている。
インプラント治療とは、単純に言うと、歯茎、骨にチタンのネジを捻じ込んで人工の歯根として使うものです。
なので、歯茎、骨の健康維持が凄く重要なのです。
その治療分野が歯周病治療なのです。
だから、そこが疎かな先生がインプラントと言い出しても、耳を貸してはいけないと思います。
2、下顎の親知らずが骨の中に水平に埋まっているものでも、基本的にそこの先生が責任持って抜歯して治している実績がある。
インプラント治療は、必ず外科手術が伴います。
外科手術の素養が、成否に凄く深く関わります。
一般の方々にとって歯医者で外科手術?と思われるのが普通でしょうが、インプラントは外科が大きな部分を為しているのは間違いがないのです。
これは、普通の抜歯とかでは全く駄目です。
では、その判断の一つの目安となるものとして、歯科医が関わる代表的な外科手術が下顎の水平埋伏智歯抜歯なのです。
症例によっては、下顎の水平埋伏智歯抜歯の手術の方がインプラント埋入手術よりも難しいこともあります。
なので、通常の治療として下顎の水平埋伏智歯抜歯を出来ている先生なら大丈夫だろう、となるのです。
3、歯の被せ物の治療の時に、必ずその部分だけでなく全体的なバランス、噛み合わせの安定、維持に努めている。
初診でご相談にお越しになる患者さんを拝見していると、良く感じるのですが、殆んどの患者さんは全体的なバランス、安定を考えて治療をお受けに成っていない、継ぎ接ぎの悪い部分だけの治療をチョコチョコやっていて、その為に全体のバランス、安定が崩れていて、その為安定している、予防が出来る状態になっていない、のです。
そうして良くお話をすると、そう言う話は聞いたことがない、いつも悪い所をチョコッと弄ってそれで終りで、又悪くなったらいらっしゃい、と言う治療しか受けたことがない、と言うのです。
インプラント治療は、インプラントになるということですから元々あった歯が失われる、と言う何らかの原因があったのです。
そこに焦点を合わせていただかないと、その患者さんの歯が失われるのが止まらない、結局インプラント本数が増えてしまうか、途中で費用が捻出できなくなり、部分入歯との混合になってしまわないか、と言う予想が成り立ってしまうのです。
これでは、何の為にインプランとしたのか分からなくなります。
インプラントする意味は、残っている歯に負担を強いないこと、それによって歯を守り、歯列を維持安定させる、それによってその患者さんの健康人生を支える、と言う高い目標がないといけない、と思うのです。
そう言う観点から考えれば、歯科治療と言うものは常に未来予想を立て、予防をする、と言う概念がないといけない、と断言します。
部分ばかりチョコチョコとしか治療しない、全体的に診る眼のない先生では、インプラントを手掛けるなんていけないだろう、と思います。
以上の3つは、基本中の基本として、歯科医は心得て置くべきことです。
そう言う点で注意をして歯科医を観察していただけるなら、それなりに間違いのない選択が出来るのではないか、と私は思います。
インプラントと言うものが出て来て広まって来た時代の中、今までのチョコチョコとしか出来ない歯科治療は衰退して行き、チャンと全体的に診て、予防を根底に置いて治す歯科治療の時代が来ているのです。
そう考えられるなら、素晴らしい新しい時代が到来しつつある、と言えるでしょう。
新しい時代のスタンダード、ご理解いただければ幸いです。
今日のブログがお役に立てればとても嬉しいです。
ありがとうございました。