インプラント治療は最近大きな話題になっています。
NHKに取り上げられたり、週刊誌でも良く特集されたりしています。
勿論、ネット内でも色々と取り上げられています。
何か新しそうなものが世の中に出て来て、正しく広まるまでの期間、ちゃんとした概念が一般の方々まで知られるまでには時間が掛かるものなのでしょう。
ですから、今インプラントが話題になっている時でも、それが正しく理解されて取り上げられていない現象も沢山見られます。
代表的例として、インプラントが審美目的で歯を綺麗にする治療だと誤解している若者とか、インプラントにすれば何でもかんでも解決して、歯周病の心配も要らない、と信じているような事態が生じています。
芸能人の方がインプラントにしたことを公言し、歯を綺麗に治したとか、短期的な治療結果だけで色々と語られているからのようです。
しかし、どんな場合でも真実、事実は時間経過と供に明らかになって行きます。
話題になっている芸能人の方は、私は拝見していないので知らないのですが、テレビなどで出ている時に見える口の状態で余り上手に治っていない、今後の歯茎、歯周病の問題をかなり感じさせられる、と私の信頼する先生方が話していました。
この芸能人の治療を担当した先生は、心して歯周予防をされることを強くお勧めします。
芸能人は表に出る広告塔です。
その担当医は相当に用心しないと、自分の腕はこの程度ですよ、と衆人の元に曝す羽目になります。
私はテレビは殆ど見ないので、その芸能人の方Hさん?は全く見たことがないのですが、このままでは代表的インプラントにして大失敗、と言う例にならないように心から祈っています。
このように、何か新しいものが世の中に出て来て、話題になって来る場合、その本当の姿と一般大衆の信じている姿はかなり違っているものなのでしょう。
そのことによって、患者さんも医療側も振り回されるのは、どうしても避けられない現象なのでしょうか。
私はこのことに関して、いつも善悪の意識で悩まされてしまうのです。
例えば、私の所に昔クレームの電話が掛かって来ました。
インプラントを即時荷重で治したのだが、揺れてしまって上手く行かなかった、どうしてくれるんだ、と言うのです。
聞き覚えのないお名前でしたので、どちら様ですか、とお聞きしたら、私の治療した患者さんではありませんでした。
その方の担当医の先生が、私の書いたものを読んでその通りに即時荷重インプラントした、その先生が私の書いたものを見せて患者さんに説明して、これで正しいことをしている筈で自分は間違ってはいない、と説明されたとのことでした。
私は開いた口が塞がりませんでした。
自分がした患者さんからのクレームでしたら仕方がないことですが、読んだものをその通りにしていると信じているその先生と、それを聞いて、その通りだと思って私の所に電話を掛けてくる患者さんの考え方を全く理解出来ませんでした。
善悪で考えるなら、私は色々と書いたりしてこう言うことが出来ますよと出していますが、それが悪いことだった、と言う結果になっている、と思います。
良い影響を世の中に与えたい、インプラント治療を正しく広めたいと願っての行動でしたが、全く的が外れ、大失敗であった、と認めるしかないでしょう。
このクレームの患者さんに対しては、私が治療していないので責任は取れない、その先生に言って欲しい、又その先生から私の方へきちんと連絡いただきたい、とお話しして電話を切りました。
話は変わりますが、インプラントは必ず上手く行くものと信じ込んでいる風潮も間違っている、悪いものだ、と明言します。
おかしな風潮が蔓延ることで、善良な人達が一番迷惑するのです。
それが私には許せない。
今回挙げた例のように、善悪で判断すれば、私は悪いこともしているのかも知れません。
しかし、昨日も書いているように、ネット内とか週刊誌とかお金掛けて宣伝して集患しているような行為は善なる行為なのでしょうか?
京セラの稲盛さんではありませんが、その行為は善なる心から出ているのか、又善なる心から出ていても、何処かで誰かに悪いことを為していないのか、と問い詰めることは、おかしなことから自分を守ることになるでしょう。
私が出しているものは、最早私の手を離れて独り歩きしているようです。
真意は中々伝わりません。
4-Dコンセプトを信じて、GBRで患者さんに大変な苦痛を味合わせ、本を出して来てこの先生の言うとおりにした、だから自分は悪くない、と言う先生、書いている先生にクレームの電話平気で出来る人がいるでしょうか?
林先生、武田先生の本を読んで、実際には失敗して、同じようにする先生、患者さんがいるでしょうか?
本に書いてあることは易しいことではない。
わざわざ本出すくらいだから、その時点では先行っていること、それだけの苦労、修練の賜物である、と言う常識もない時代になっているのでしょう。
又、患者さんによっては、先生と同じ治療を地元の先生で紹介して欲しい、と言う勘違いなものも時々来ます。
しかし、他人がした治療の責任は私には持てません。
自分がしたことにしか責任は持てないのが当たり前ではないでしょうか。
それすら狂っている時代に、善悪は問えるのでしょうか?
私に言わせれば、ネット内で宣伝しまくっている先生は狂っている、時代に狂騒させられている、と思いますし、私自身だっておかしいと人から責められる身です。
昔評論家が1億総白痴と表現したそうですが、その通りのことが現実化している時代のようです。
しかも、それがネットを介して、あっというまに広まってしまう。
乱痴気騒ぎばかり。
嘆息するしかありません。
時代に振り回される生き方を止めるしか、この悪循環を断つ方法はないのでしょう。
その一つに善悪だけで、モノを見ない、何事にもその両面がある、但し、自分は自分の身をせめて守る。
この感覚、意識を一人一人がしっかりと持つ。
自分の頭で考える。
結局信じた道を行くしかない。
例で挙げた筋違いのクレーム電話患者さんは、自分がその先生を信じたんだから、私に文句を言うのは間違っている。
自己責任だ、と諦めるべきなのです。
どうやら答えが見えて来ました。
今の時代は自分で責任を引き受けて、行動する方が減っている、誰かに縋りたい、責任を持って貰いたい、と言う風潮が支配的なのでしょう。
これでは駄目です。
国家公務員すらそう言う感じなのではないでしょうか?
地震、原発等々、俺の責任じゃないよ、と言う薄ら寒い感覚を感じて仕方がないです。
東電体質と揶揄しますが、市民自体もそうではないですか?
人任せ、その美味しいところだけいただきたい、そう思ってませんか。
善悪で考えるなら、その姿勢自体で悪である、と誰もが認めるでしょう。
なのに、そこから脱却出来ていない。
一人一人が良くなることを目指し、行動する、それこそが善なることでしょう。
生意気ですが、まず自分自身を責める、自分を正すことから始めるべきでしょう。
私も偉そうなことは全く言えません。
なので、少しでも陰徳を積み、世の中を良くする言動、行動をして行きたい、行きます、と明言して締め括ります。