京呉服わき ごふくや日記

着物って楽しい!
呉服屋の女将の独り言?楽しいことや裏話、思うままに・・・

言っちゃっていいかな~~

2010-01-17 14:13:41 | ひとりごと
今日は定休日ですが、着付けのお客様が3人。
お店でお客様をお待ちしている時間に、パソコンに向かっています。

毎年、この時期になると、モヤモヤというのか、なんともいえない気持ちが
高まってきます。
「これでいいのだろうか・・・」
今までも、何度も書いていることなのですが、やっぱり言いたい
成人式に一言・・・。


今年は、不景気のせいかお母様の着物や貸衣装が多かった・・とテレビでも
言っていましたが、最近私がお着付けをさせていただくお嬢さんたちも
お母様の振袖の方が多くなりました。

それは、とてもいい事です。
着物だからできることであって、
娘の元に送られてきたDМの振袖の写真を見ていると、
これならばお母さんの着物があれば着てほしいと思わずにいられません。

ちょうど、私の年代が母親の年代でもあり、振袖は「そうそう・・・」と
懐かしく感じる色や柄。

色遣い、小物あわせなどはやはり時代を感じるのですが、
振袖自体は、まだまだ「ちゃんと作っていた」時代のものなので、いい染めや加工です。
帯も、質がいいので結びやすい・・・。

それに比べ、お正月に実家に帰った時に、ショッピンセンターに入っている呉服店で
ディスプレイしてあった振袖・・・ひどかった・・・
品質も、色も、柄も・・・品がない(と、一緒にいた息子に思わず怒りをぶつけて・・)

あれしか見ていない人が、あれが振袖だと思ったら・・・と思うと・・・

ただ、「着物の形」をしているだけ
最近、浴衣も、振袖も、そんな傾向。
そして、普通の小紋や訪問着などにもその傾向が表れだした・・・。

確かに、質の良いものはそれなりにお値段にも反映します。
たくさんの人に来てもらえるように安くするのも必要なのかもしれない。

でも、あれを着物と言えるの?
「着物の形をしているもの」にしか私には思えない。
これでいいのか・・・呉服業界。


成人式の男の子の袴もしかり・・・
テレビで見る沖縄の袴姿など、特に。
ぺカペカと光った化繊の赤や黄、白といった色の品のない着物と袴

あれを「着物」といいたくない・・・。
着る方も着る方だけど、作る方も作る方・・・と思う。
(あれでお商売していらっしゃる方に対しては問題発言ですが・・)

最近、成人式も卒業式も、七五三も結婚式もそうかもしれません、
そういう儀式や式典、本来の意味がなくなりつつあります。
それにかかわる人たちの装いも「コスプレ」化しています。

目立ちたい、自己主張したい二十歳の人達の気持ちも分からないではないけれど
正式な場所への礼儀をわきまえた装い、それを考えるのも大人の一歩。
「式」をコスプレの場にしてしまっていいのでしょうか。

最近の愛読書、木村孝さんの「伝えておきたい嗜み事 美しいきもの、美しい人」
読んでいましたら、
「・・・・装いとは、自己表現ばかりではないことを知ってほしいのです」
いう一文があり、胸のつかえが下りるようでした




今年の成人式の会場で、一人、お母様のお着物らしき小紋に袋帯
のお嬢さんがいらっしゃいました。
そのお嬢さんを見て、「着物の形をしたもの」を着るくらいなら
その方がよっぽどいいのでは・・と思いました。

以前にも、書いたことがありましたが、
確かに、お振袖は華やか素敵ですので、お召しいただきたいのですが
大人の女性として、正式の場にふさわしい晴れ着という意味では
ずっとしばらく着られる質の良い訪問着のようなものを誂えて
大切に着るというのもいいのではないかと私は感じています。

その方が、日本の文化を伝えていく意味でも
いいような気もします。


もし、成人式がなかったら・・
着物を着ることなく一生を過ごしてしまう日本女性が増えるだろうな・・
そう思うと、また複雑・・。


こんな思いが頭をぐるぐるする毎年のこの時期であります
















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