昨日の着付教室、生徒さんはもう長く(たぶん3年以上)通ってきてくださっているお二人。
もうお稽古に来なくても十分に着られるのですが、定期的にお稽古していたいと
月に一回のペースでお稽古を続けてくださっています。
そんなお二人なので、いろいろな雑談もしながらのお稽古です。
そのお稽古中、ぽろっと・・お二人から出た言葉。
「伊達〆、これを使いかけたら他のはダメ・・」
「そうそう」
「そう思います?でしょう~~」と私。
って、この伊達〆、特別なものでもなんでもなくて
昔からある正絹の博多献上の伊逹〆のこと。
化繊のものやほかのものと比べると少々値段は張りますが
やっぱり使いやすいのです。
お二人は、「安い化繊の物を買って、買いなおすより
少々値は張っても、最初からこの博多を揃えるのがいいわね。
使ってみるとよくわかる」と。
それがわかってもらえたら嬉しいのです、私
おもわず「その言葉みんなに聞かせた~い」と。
無駄に値段の高いものをお勧めしているのではない事、
皆さんに分かって頂けたら、とてもありがたい・・・。
先日も、成人式で着付けに必要な小物を揃えたいとお越しくださったお客様が
いらっしゃいました。
お話を伺うと、「これを機会に娘が着る時用に揃えておきたい」とのこと。
それならば・・と、成人式だけでなく後々使えるようにと
アドバイスしながらお揃えしました。
もちろん伊逹〆も博多献上をお勧め
そのお客様が、どのようなお考えで、今後着物とどうお付き合いされるか・・
そんなことも考えて、様々なご相談ごとに対応しているつもりです。
着物は、洋服と違って長くお付き合いしていくものです。
その場しのぎでいい場合と、今後のことを考えておいた方がいい場合があります。
今日は伊逹〆から始まったお話ですが
たとえば、お着物のお直し。
言われたとおりに、ただ、裄を何センチ出す・・・のではなく
他のお持ちの着物や襦袢、コートとの兼ね合いにも思いを巡らせて考えます。
また先日、お仕立て直しをさせて頂いたお客様の例ですが・・。
お母様の附下を着たいとのこと、体型がずいぶん違うので部分的な寸法直しでは
無理という判断をし、洗い張りをしてお仕立て直しをさせて頂きました。
その際、どうせ仕立替えるのならいいチャンス、八掛を取り換える事をお勧めしました。
附下にもともとついていた目立った色の八掛は、少し古臭い印象でもありました。
着物の同系色にすれば帯合わせも幅が広がり
年齢的にも長く着ることができ、垢抜けた感がするという呉服屋の目線です。
もちろん、八掛の代金が加算されますので、最初はお客様も躊躇なさってましたが
結局、八掛も取り換えて新しい一枚になり、お客様も喜んでくださいました。
ですが、分かっていただくのには、随分苦労しました・・
ただただ、新しいものをプラスして料金をアップしようなどとは
思っておりません。
言葉は悪いですが、今少しケチって安くお直しするより
少しお高くなっても先のことを考えたら、その方がお客様にとってプラスになるなら
私は、一生懸命そのお勧めをしたいと考えます。
何でもお金をかければいいという事でもないと思います。
今、お客様が何を望んでいらっしゃるのかの判断も大切で
着物とどんなふうにお付き合いをしていってくださるかによって
アドバイスの仕方も変えていかなければなりません。
私達は、毎日のお仕事の中で、先を見て、最もいい方法や品をお勧めしているつもりです。
新しいお品をお求めいただく場合も、着物や帯など高額なものでも
着付け小物一つでも・・・お直し物でも。
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