NHKの古いドキュメントを見た。「知の巨人」というシリーズもので、石牟礼道子氏の記録だった。
水俣病を告発し、患者と共に暮らし、代表作「苦界浄土」は、文明の鎮魂歌と評されている。名前だけ聞いているが、作品を読んだことがないので、どういう人物なのか見当がつかない。
番組を見終えても、このドキュメントが何を伝えようとしているのか、理解できなかった。チッソという会社への告発なのか、企業社会への怒りなのか、あるいは国や政府や地域社会への警鐘なのか。番組の意図するところが、分からなかった。
氏の作品を読めば一目瞭然なのだろうから、いつか読んでみよう。
そして今日は、チャンネル桜の「キャスター討論」、という動画を見た。
最近何度も作られている、「田母神氏の金銭疑惑」に関する動画だが、どうして水島氏は、ここまで田母神氏を追いつめるのだろう。
私には、水島氏の正論の空虚さだけが伝わってきた。この動画もまた、NHKのドキュメント同様に、趣旨がよく分からなかった。
朝日新聞の誤報を糾弾し、沖縄の現状を伝え、左翼の反日と売国ぶりを報道するなど、私は、チャンネル桜と氏の功績を大とするが、それにしても、昨年来の田母神氏関連の動画には、合点がいかない。
違う道を行く人物だと分かったのなら、袂を分てば十分だろうに、水島氏は政治家としての田母神氏を、葬り去ろうとしているかのようだ。都知事選の折、乏しい年金から田母神事務所に献金したが、政治活動に寄付したのだから、金がどう使われようと私は気にしない。
一億円くらいの金で騒ぎ立てるのかと、むしろ、水島氏の、度量の無さに失望するだけだ。政治家は、金まみれの苦界で自分と闘い、その中から、本物が生まれるのだと思っているからだ。
何も知らない第三者にまで、田母神氏の私事を語り、わざわざ、離反させるようなことをする必要が、あったのだろうか。動画の情報しか知らないが、最初に、田母神氏のマイナー情報を発信したのは、水島氏だったと記憶している。都知事選後に、水島氏から離れ、新党を作るという田母神氏に、苦言を呈する動画だったような気がする。
今回は、田母神ガールと呼ばれた、チャンネル桜の女性キャスターたちを集め、田母神氏の金銭疑惑を氏が語り、彼女たちに意見を求めるという詰まらない動画だった。高清水氏を除けば、他の女性キャスターたち、葛城、佐波、SAYA氏らは、田母神氏への敬意の念が残っていた。
彼女たちが、弁護するような口調になると、水島氏が反論し、窮した彼女たちが、涙ながらに答えるという、情けない内容だった。
今私は、朝方に見た、石牟礼氏の句を思い出す。
祈るべき 天と思えど
天も病む
先日のブログに書いた皇后陛下も、水島氏も、田母神氏も、私みたいな者から見れば、遥か彼方の天にいる人間だ。尊敬とか、崇拝とか、そういう思いはないが、「みみずの戯言」を、細々と書くしか能のない、年金生活者には、手の届かない人々だ。
人間が病んでも、天が病むとは思わないので、石牟礼氏の言う「天」とは、人間たちが作り上げた制度とか、組織とか、そこに所属する者とかを、指しているのではないかと、そんな気がする。
今の自分の閉塞感というか、たまらない空しさというのか。石牟礼氏の句が、代弁していると思えてきた。寒々とした雨の降る、うっとうしい一日だった。
天気までが、この重苦しさに参加し、私の心を包むというのか・・。コンチキショウめ。