氏の本に従い、朝鮮の歴史の流れを次のように整理しました。
1. 古 代 (紀元前から、紀元後20~40年頃までの、およそ300年間)
2. 三国時代 (紀元後20~40年頃から、およそ500~600年間)
高句麗、百済、新羅の三国 (但し、別に駕洛、漢四郡あり)
3. 統一新羅 (西暦676 ~ 935年まで、およそ260年間)
唐の冊封を受け、属国となる
4. 高麗(こま) (西暦918 ~ 1392年まで、およそ470年間)
後唐の冊封を受け、属国となる
5. 李氏朝鮮 (西暦1392 ~ 1910年まで、およそ520年間)
明の冊封を受け、属国となる
朝鮮の古代、三国時代は、中国では秦、前漢、後漢の時代ですから、攻められたり押し返したりで、常に中国や他の周辺国と戦争をしています。統一新羅以降は、朝鮮として一つの国になりますが、都度中国皇帝の冊封を受け、必ず属国となっています。
「だがわが朝鮮のように、終始一貫その生まれ出る時からして、戦争という外圧に、さらされてされてきたものはないであろう。」「しかもそれは、今日に続いている。」
敗戦後の73年間を除き、有史以来2000年間独立国だった日本とは、大きな違いです。現在、国民のほとんどが日本を独立国と思っていますから、私の意見は無視されますが、日本が独立国として国際社会で認知されず、アメリカの属国と見られている理由は簡単なのです。
敗戦以来、日本はGHQに統治され、この間は国の安全を連合国軍によって守られてきました。昭和27年の4月から発効したサンフランシスコ講和条約によって、自立した国と見做されるようになり、今日に至っています。政治、外交、経済等々、GHQの干渉なしに、やれるようになりましたので、私自身も、この時から日本が独立国になったと信じていました。
しかしここに、ただ一つ例外がありました。他の普通の国のように、国を守る軍隊を持たないまま、あたかもそれが当然の話でもあるかのように、今日まで来てしまったことです。親の庇護の下にある未成年者は、常に親から守られています。一人前になりますと、彼らは親元を離れ一人で暮らし、自分の身を自分で守るようになります。それが、独り立ちです。
国にしても同じことで、独立したのに、いつまでも米軍が駐留し、日本の安全を守るというのでは、他国が一人前として認めるはずがありません。一番金のかかる軍隊を米国に依存し、金儲けに精を出しているのですから、世界第二の経済大国になっても当然だろうと、国際社会は冷めた目で見ています。軍事力を独自で保持しないということが、一人前の国として認められない原因だと、私は知らずに過ごしてきました。
日本国憲法の特殊性が、国民の目覚めを妨げる、厚いカーテンの役割をしてきました。これも一つですが、もっと大きな原因があります。どうしてこんな不思議なことが、可能になったのかと言いますと、反日左翼の人間だけが望んでいたのでなく、米国をはじめほとんどの国が、日本の軍事的独立を望んでいなかったのです。
アジアの小国が、世界を相手に戦争をした。しかも、眠れる獅子と言われた清国を破り、ロシアとの戦争では無敵のバルチック艦隊を破りました。こんな国が再び軍隊を持てば、いつ何どき自分たちがやられるかもしれないと、そういう危惧がありました。共産国も資本主義国も関係なしに、日本に再軍備させないという点では、彼らの意見が一致しました。
私たち国民は、国の安全保障を脇に置き、平和憲法という美しい名前に目をくらまされ、今日まで来ました。私がなぜここまで、執拗に、戦後の日本を語るかと言いますと、金達寿氏の愛国心に比べ、私たちの不甲斐なさを知るからです。
「わが朝鮮のように、終始一貫、その生まれ出る時からして、戦争という外圧に、さらされてされてきたものは、ないであろう。」「しかもそれは、今日に続いている。」
こう言って氏は、嘆き、怒り、朝鮮の歴史を誇り、日本人を憎み、恨み、次第に偏見と捏造を主張し始めます。この不愉快な意見につきましては、次回からお話ししますが、見習わずにおれない氏がいます。
私たち日本人は氏に比較すると、いかに不甲斐ない国民となっていたかが、分かります。日本人は、たった一度の敗戦で国の歴史を否定し、ご先祖を否定し、誇りも無くしてしまいました。他国に支配され、強国の顔を伺いながら卑屈に生きてきた祖先ですら、金氏は大切にしているというのに、日本人はこんなことでいいのか、という思いに駆られます。
二年前に、李滎薫 ( イ・ヨンフン )氏著の『大韓民国の物語』を読んだ時と、似たような気持ちになりました。李氏は、韓国の教科書で教えられる、「日本による韓国収奪論」を否定し、「根拠のない慰安婦問題」についても異議を唱えました。氏は日本の統治の結果、むしろ韓国社会を蝕んでいた身分制が撤廃され、経済も発達したのだと言い、事実を積み上げ、反対派の人間を論破していきました。
氏は韓国内で、売国奴という言葉と同義語の、「知日派」のレッテルを貼られています。韓国内の反日論を否定するので、日本人の中には、氏が親日家だと誤解している者もいます。
しかし日本に関する限り、氏の根底にあるのは感情的反日と理解しています。その点では、教科書で偏向した教育を受け、日本攻撃をする多くの韓国人となんら違いがありません。
金氏の著作の読後感も同じです。事実がいくらあり理論が正しくても、いったん日本のこととなると、「恨日」という激しい感情に燃え上がっています。
日本と韓国の間にある感情的対立の大きさを見せられると、私も理性でなく感情で対応したくなってきます。結局韓国とは、今後も必要最小限度の付き合いにとどめるしかない、かかわらなくて済むのなら、その方が良いと考えました。
息子たちには、この如何ともし難い韓国・朝鮮 の人々の心情を伝えなくてなりません。彼らとかかわるのなら覚悟を持ちなさいと、生きる知恵として教えたいと思います。
この厄介さの原因になっているのは、中華思想と儒教です。自分なりの理解でしかありませんが、息子たちに伝えるには、それで十分でないかと思っています。
本日は、ここまでと致します。