おねっと日記

日々の出来事を感じたままにつづります

お盆

2008年08月16日 | 暮らし
今年はいつもよりお盆らしいお盆を過ごしております。

仙台から父の古くからの友人が来ました。Sおじさんは最近自費出版しました。
その内容は50年程前の二戸市(当時は福岡町といいました)の様子が描かれております。
馬仙峡、馬淵川、車検場ならぬ馬検場 
私は5歳のとき近くの裏山に上って遠くから煙を出して走っている汽車を眺めては手を振っていたものです。
トンネルが多いので山間から汽車は何度も出たり入ったりします。
盆暮に蒸気機関車に乗って、花巻の親戚の家に行くのが唯一の楽しみでもあり、唯一の旅行でした。
父は仕事柄現地を離れることができないので、花巻に行くのも母と二人っきりでした。
今みたいに携帯電話なんて、まして家にも電話なんてなかったのですから。

馬検場には夏にサーカスがやって来ました。
「サーカスがやってきた、サーカスやてきた、」と大喜びをしておねだりをしました。
確か今でも健在な「木下サーカス」だったと思います。

当時はとてもエコな暮らしぶりでした。

母は買い物かごを必ず持ち歩きます。
お肉屋さんは経木でお肉を包んで売りました。
野菜は新聞紙。焼き芋も新聞紙に包んでもらいました。
パック詰めなんて存在しません。

残飯はバケツに入れて外に出しておくと、近くの養豚場の人が餌として回収に来ます。
マキストーブが台所にありそこでも母は煮炊きしておりました。

道路は馬車の合間をオート三輪車が走っておりました。
もちろん道路は舗装ではありません。
1級国道が舗装されたのはそれから数年も先だったと思います。
現在街中馬車運行事業に盛岡市では取り組んでおりますが、昔は当たり前の風景でした。

「ふくおかまち」には市日がありました。
道路には出店が並び子ども心にわくわくするものが沢山売っておりました。

母はあるとき父の大きなご飯茶わんを買いました。
馬の絵が描いてある大きな茶碗です。

ある日夫婦喧嘩をしたとき、母がその茶碗を父にめがけて投げました!
私の目の前をその茶碗が飛んで行きます・・
茶碗の絵の馬が天に向かって駆けているように見えました!
「わ~馬が空を駆けてる、すごい・・」
ですからこの茶碗のことはずーっと忘れたことありません。
その茶碗はいったいどうなったのでしょうね・・

両親のけんかの内容は全く知りませんが、母が茶碗の馬を天馬にしたのだけは記憶から消すことのできない5歳の体験です。
なぜか、「すごい!」と感動した記憶だけが残っております。

~岩手県二戸郡福岡町長峰住宅~ 
私が生まれてから6年間過ごした愛すべき町です。

キャンデーはおじさんが自転車で売りに来ました。 5円。

バナナは当時とても高価なものでした。
輸入自由化前なのです。母は病気になると買ってくれました。
なが~い時間をかけて、ぺろぺろなめって大切に食べました。


Sおじさんの本を片手にしばし懐かしい風景が走馬灯のように浮かんできました。
まったりとしたお盆です。