田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

黒田夏子さん、芥川賞おめでとうございます。 麻屋与志夫

2013-01-27 05:27:07 | ブログ
1月27日 日曜日
●書こうか書くまいかと迷っている。
黒田夏子さんのことである。
だいち、芥川賞をもらった黒田さんが、わたしの記憶にある黒田さんなのか?
さだかではない。
でもあれだけの文体を紡ぎだすことができるのは黒田夏子そのものだと確信している。

●海藻のように揺らぐわたしの記憶のなかの黒田さんは、東京同人雑誌連絡協議会の月例の合評会の席上にいる。
会場は水道橋の「トミグリル」だったと思う。

●その日わたしたち同人誌「現代」のメンバーは四人が同席していた。
「現代」に載せた渡辺耕史の「春はロシナンテに乗って」を合評会の俎上にのせてくれることになっていた。

●日頃はものしずかな長い黒髪をかたまでたらしていた黒田さんに渡辺の作品は酷評された。
自然主義的な時代遅れの手法が彼女から見たら気に食わなかったのだろう。
そうとしか思えないほど厳しい舌鋒だった。

●こういった合評会。
歯に衣着せぬ論評にはなれていない渡辺はがっくりきてしまった。
あとで慰めるのに一苦労した。
栃木の文学青年だから、宇高の高校教諭だったから、ほめられることに慣れている。
よほど、ショックだったのだろう。

●わたしたちの「現代」は栃木県で発行している同人誌としては名門だった。
なにしろあとになって文芸春秋の社長となる白石勝さんも参加していた。

●「いろいろご批評ありがとうございました。これから作品を書く上での励みにします」
と合評会が終わってからまだゴテテいる渡辺に代わって黒田さんに挨拶した。

●どんな言葉が黒田さんからもどってきたかは記憶にない。

●そのころ、黒田さんは「砂城」という同人誌の責任者だった。
1969年のことだ。

●それから何年かして川路重之作品集刊行会に名を連ねた黒田さんから案内状がとどいた。
早速購入してよんだ。
すばらしい作品集だった。
さすが、黒田さんが推薦するだけのことはあるとおもった。

●こうした思い出だってどこまでがリアルなのかいまとなってはわからない。

●文中実名を出してしまってみなさん、御免なさい。
余り懐かしかったのでついつい実名で書いてしまった。

●あのころの、東同連のみなさんはいまでも健在なのだろうか?

●上京してくれた渡辺、柳田、大野の諸子とは水道橋の上で別れた。

●橋のたもとの名前は忘れてしまったが、ジャズ喫茶にはいった。

●ひりりで熱いコーヒーをのんだ。

●あれから気になって、パソコンで検索した。水道橋の際のジャズ喫茶は「スイング」という店名だった。村上春樹さんが早稲田の学生だった頃バイトをした店とのっていた。懐古。しみじみとした気分になった。

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