6月24日 火曜日
眞吾がバールをつきたてるようと叫んでいた。
王子のやつら、赤羽のパーティは、いつからあんなに強くなったのよ。
へんな技をくりだしてきた。
ひとりだけバールをつきたてたら消えてしまった。
そうよ。
ほんとうにあいつ一瞬で、灰になった。
消えてしまった。
胸にバールをつきたてられて……消える。
……灰になる。
……あれって、吸血鬼?
夢うつつの中で八重子は考えていた。そうだ。わたしたちの敵は吸血鬼だった。
悲鳴がしていた。
こんどこそはっきりと目覚めた。
悲鳴は八重子の口からでていない。
集中治療室の前の廊下。
長椅子にすわっていた。
うたた寝をしていた。
となりに早苗もいる。
治療室の扉が開いている。
悲鳴はその奥でしていた。
集中治療室の扉がひとりでにひらいた。
自動扉だ。
廊下の側から入らなくても、治療室の側にひとが立てば自動的に開く。
扉がひらいても、なんの不思議もない。
だが廊下の長椅子で早苗とともに金次の安否を気遣う八重子の前を通った人影はない。
いくら、うとうとしていても、人の気配を見落とすほどヤワではない。
だから、治療室から医師か看護婦がでてくる。
そうしたら弟の病状をきこう。
……あれは病気なんかじゃない。
……だれもでてこない。
八重子は不安になった。
とても、現実とは信じられないことが起きている。
また……なにかいやなことが、……八重子は立ちあがった。
治療室でまた悲鳴が起きた。
八重子はかけこんだ。
きゃゃぁぁ。
真っ赤な布がおちていた。
布はすこしもりあがりぴくぴく蠢いていた。赤い塊はナースであったもの。
赤い布はナースの白衣であった。
八重子にもはっきりと見ることができた。
超近代的な医療器具の狭間に、おぞましい爬虫類の青い表皮におおわれたQが、つぎなるナースを生け贄にしょうとしてかかえこんでいた。
鋭い歯はまさに白い喉もとにあてていた。
鉤爪が赤くそまっていた。
それを長い舌でペロリとなめている。
眞吾がバールをつきたてるようと叫んでいた。
王子のやつら、赤羽のパーティは、いつからあんなに強くなったのよ。
へんな技をくりだしてきた。
ひとりだけバールをつきたてたら消えてしまった。
そうよ。
ほんとうにあいつ一瞬で、灰になった。
消えてしまった。
胸にバールをつきたてられて……消える。
……灰になる。
……あれって、吸血鬼?
夢うつつの中で八重子は考えていた。そうだ。わたしたちの敵は吸血鬼だった。
悲鳴がしていた。
こんどこそはっきりと目覚めた。
悲鳴は八重子の口からでていない。
集中治療室の前の廊下。
長椅子にすわっていた。
うたた寝をしていた。
となりに早苗もいる。
治療室の扉が開いている。
悲鳴はその奥でしていた。
集中治療室の扉がひとりでにひらいた。
自動扉だ。
廊下の側から入らなくても、治療室の側にひとが立てば自動的に開く。
扉がひらいても、なんの不思議もない。
だが廊下の長椅子で早苗とともに金次の安否を気遣う八重子の前を通った人影はない。
いくら、うとうとしていても、人の気配を見落とすほどヤワではない。
だから、治療室から医師か看護婦がでてくる。
そうしたら弟の病状をきこう。
……あれは病気なんかじゃない。
……だれもでてこない。
八重子は不安になった。
とても、現実とは信じられないことが起きている。
また……なにかいやなことが、……八重子は立ちあがった。
治療室でまた悲鳴が起きた。
八重子はかけこんだ。
きゃゃぁぁ。
真っ赤な布がおちていた。
布はすこしもりあがりぴくぴく蠢いていた。赤い塊はナースであったもの。
赤い布はナースの白衣であった。
八重子にもはっきりと見ることができた。
超近代的な医療器具の狭間に、おぞましい爬虫類の青い表皮におおわれたQが、つぎなるナースを生け贄にしょうとしてかかえこんでいた。
鋭い歯はまさに白い喉もとにあてていた。
鉤爪が赤くそまっていた。
それを長い舌でペロリとなめている。