6月22日 日曜日
……なんにんか首筋を噛まれている。
朱にそまっていた。
「なぐるな。ただ、バールをうちこんでもだめだ。心臓めがけてつきさせ」
矢野が叫ぶ。
「八重子。木の枝だ、先をとがらせて」
八重子におそいかかる異形のものRFのタケシとQに、眞吾の鞭がとぶ。
シュ。シュ、シュ。
鞭が空をきる。
敵は乱杭歯をせりだし、ニャリと不気味に笑う。
唇からもれるドブのような悪臭。
ジトジトと涎をたらして迫ってくる。
八重子はQたちとの闘いを眞吾にまかせる。
サバイバルナイフで木をけずる。
なにがなんだかわからない。でも、急きょ手製のヤリをつくる。
効果はてきめん。
バールで殴打されても平気。
コンバットナイフで刺されても平気。
でおそってきた敵が。
とがった木のヤリにたたらをふんだ。
攻めてこない。
だが、ジワジワと包囲網をせばめてくる。
眞吾たちも背中合わせに円陣をくむ。
「赤羽のヤッラ、数からいったら半分もいない。こんな敵に負けたら4号線をバイクころがせないぞ」
矢野の声は、悲鳴となっていた。
高見たちも攻め立てられている。
あいては吸血鬼だ。
それがみんなには見えていない。
逃がさなければ。
とても、人が戦って勝てる相手ではない。
眞吾すら、眞吾であるから、恐怖におののいていた。
吸血鬼とのファーストバトルだ。
3
「それでおいかけなかったのですか」
明日は退院ということもあって、高村神父の声にははりがある。
「夏子さんにもいいました。いままで遭遇したVとはちがうようです」
富士重工の路地での闘いを隼人が報告している。
「夏子でいいの」
夏子がほほえむ。
トウキョウの吸血鬼ではないかというのが彼女の判断だった。
大蝙蝠にすぐ変身するのは、都会に住む夜の一族だろう。
夜の都会に住むグリゲアリアス――群居性の吸血鬼だ。
……なんにんか首筋を噛まれている。
朱にそまっていた。
「なぐるな。ただ、バールをうちこんでもだめだ。心臓めがけてつきさせ」
矢野が叫ぶ。
「八重子。木の枝だ、先をとがらせて」
八重子におそいかかる異形のものRFのタケシとQに、眞吾の鞭がとぶ。
シュ。シュ、シュ。
鞭が空をきる。
敵は乱杭歯をせりだし、ニャリと不気味に笑う。
唇からもれるドブのような悪臭。
ジトジトと涎をたらして迫ってくる。
八重子はQたちとの闘いを眞吾にまかせる。
サバイバルナイフで木をけずる。
なにがなんだかわからない。でも、急きょ手製のヤリをつくる。
効果はてきめん。
バールで殴打されても平気。
コンバットナイフで刺されても平気。
でおそってきた敵が。
とがった木のヤリにたたらをふんだ。
攻めてこない。
だが、ジワジワと包囲網をせばめてくる。
眞吾たちも背中合わせに円陣をくむ。
「赤羽のヤッラ、数からいったら半分もいない。こんな敵に負けたら4号線をバイクころがせないぞ」
矢野の声は、悲鳴となっていた。
高見たちも攻め立てられている。
あいては吸血鬼だ。
それがみんなには見えていない。
逃がさなければ。
とても、人が戦って勝てる相手ではない。
眞吾すら、眞吾であるから、恐怖におののいていた。
吸血鬼とのファーストバトルだ。
3
「それでおいかけなかったのですか」
明日は退院ということもあって、高村神父の声にははりがある。
「夏子さんにもいいました。いままで遭遇したVとはちがうようです」
富士重工の路地での闘いを隼人が報告している。
「夏子でいいの」
夏子がほほえむ。
トウキョウの吸血鬼ではないかというのが彼女の判断だった。
大蝙蝠にすぐ変身するのは、都会に住む夜の一族だろう。
夜の都会に住むグリゲアリアス――群居性の吸血鬼だ。