日常観察隊おにみみ君

「おにみみコーラ」いかがでしょう。
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◎おおざっぱに幸福(未来探偵ロクロ その33)

2024年03月14日 | ◎本日の想像話
 振り向きもせず、ただ一心不乱に進んでいた佐々木が地面に直立した。そしてしずしずと歩き出す。おそらく目的地であろう施設の門をくぐって入っていった。ミツオとエリーは一定の距離をあけてついていく。門には「篠田霊園」と書かれている。
 佐々木は霊園の一番奥まった墓石の前でうなだれていた。気配に気づいた佐々木が声をかけてきた。
「俺が、何をしたかったのかと思っているな」
「俺達なりに考えた」
 ミツオとエリーはうなずき合う。佐々木の瞳はうるんでいた。泣いているのかとミツオは思った。
「あんた達の想像した俺の動機を聞かせてもらっても良いか」
「その墓石は、サンシローのものだな」
 佐々木は驚きを隠せなかった。
「あんた以外とするどいな」
「サンシローは病気だったのか」
「そうだ、腎臓をわずらっていた。このままではいくらも生きないと篠田に言われた。なぜか山岡親分もその場にいて、新規事業の説明を受けた」
「それがバイオペットだったのか」
「篠田のラボを山岡親分が買い取った。そこで、生前の記憶を引き継いだバイオペットを作る計画だった」


コメント
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