運
私は運試しを探していた。
生きるか死ぬかの運試しだ。
これといって良いこともなく漠然と生てきた。そろそろ潮時だ。
私は何に自分の生き死にを託そうか決めかねていた。
コインの表裏はどうだ。ありきたりか……
テレビを点けて、まず発せられた日本語の第一音を当てる。だめだ。外す確率が高すぎる。
散歩中の犬の性別を当てようか。いや、飼い主に確認するのが面倒だ。
サイコロを二つ投げて、合計が偶数か奇数かで決めようか。三十回投げて傾向を見ようか。
俺はもしかして白黒つけたくないのか……
ここはもう少し楽しいギャンブルを考える。例えば数字が三つくるくる回るような。はたまた銀色のまばゆい金属球が打ち上がり、はじかれあい、チューリップの中に吸い込まれるような……。
よし、そうしよう。あまり深く考えすぎるのも良くない。一勝負してから自分の運命を考えよう。
八時間後
俺は大勝した。
人生も悪くない。
ずっと生きよう。
そう決めた。