日常観察隊おにみみ君

「おにみみコーラ」いかがでしょう。
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◎おおざっぱに幸福(未来探偵ロクロ その35 おしまい)

2024年03月17日 | ◎本日の想像話
「新しい事業の一環として、記憶を操作するバイオペットを考えたのだが……」
 山岡はサンシローを見つめながら、頭をなでる。
「篠田のラボで成功したことは、生前の姿をそっくりに似せることだった。でもそのためには、オリジナルの個体の死が必要になる」
「その行為に意味はあるのか」
 ミツオが口を挟む。
「どうだろう。分からない。佐々木の行動から想像すると、長年寄り添ったペットが入れ替わってレプリカで目の前に現れる……あまり喜ばしい行為ではないのかもしれない。でもこいつは立派に生きている」
 山岡は佐々木に眠ったままのサンシローを渡した。
「あとは、お前達に任す。どうやら俺は年を取り過ぎたようだ」
 山岡親分は背を向け、去って行った。
 佐々木と残された子分達は、黙して頭を下げた。その姿勢のまま親分を見送るしかなかった。
 ミツオとエリーも黙って山岡親分の背中を見送った。


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◎おおざっぱに幸福(未来探偵ロクロ その34)

2024年03月16日 | ◎本日の想像話
「サンシローはこのままでは死ぬ。俺は、かすかな望みをかけて篠田に弱りつつあるサンシローを預けた」
 佐々木は浮遊している墓標に手を添える。墓標がかすかに輝く。直後、元気に動き回るサンシローの姿が空中に浮かび上がる。その姿を遠い目で見ている。
「手術が終わり、篠田の手に抱かれた姿を見たときには、うれしくて震えたよ。でも名前を呼んでもサンシローは無反応だった。手術は成功したと篠田は言っているがどうしてもそうは思えなかった。俺の事が分からない……。記憶は引き継がれていない。その疑心はいつしか親分への恨みへと変化していった」
「やはり、ここにいたな……」
 その場にいた全員が振り返った。そこには子分を引き連れた山岡がいた。腕にはサンシローが抱かれている。サンシローは眠っている。
 佐々木は涙を拭う。その姿を見た山岡は重い沈黙の後、決心したように口を開いた。
「佐々木よ、俺は決めたよ。俺は引退する。すべての権限をお前に託す」
 引き連れた子分に諭すように山岡は言った。

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◎ニャコ師範によります「ポジティブお悩み相談」

2024年03月16日 | ◎これまでの「OM君」
ニャコ師範によります「ポジティブお悩み相談」


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◎ニャコ師範によります「ポジティブお悩み相談」

2024年03月15日 | ◎これまでの「OM君」
ニャコ師範によります「ポジティブお悩み相談」


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◎おおざっぱに幸福(未来探偵ロクロ その33)

2024年03月14日 | ◎本日の想像話
 振り向きもせず、ただ一心不乱に進んでいた佐々木が地面に直立した。そしてしずしずと歩き出す。おそらく目的地であろう施設の門をくぐって入っていった。ミツオとエリーは一定の距離をあけてついていく。門には「篠田霊園」と書かれている。
 佐々木は霊園の一番奥まった墓石の前でうなだれていた。気配に気づいた佐々木が声をかけてきた。
「俺が、何をしたかったのかと思っているな」
「俺達なりに考えた」
 ミツオとエリーはうなずき合う。佐々木の瞳はうるんでいた。泣いているのかとミツオは思った。
「あんた達の想像した俺の動機を聞かせてもらっても良いか」
「その墓石は、サンシローのものだな」
 佐々木は驚きを隠せなかった。
「あんた以外とするどいな」
「サンシローは病気だったのか」
「そうだ、腎臓をわずらっていた。このままではいくらも生きないと篠田に言われた。なぜか山岡親分もその場にいて、新規事業の説明を受けた」
「それがバイオペットだったのか」
「篠田のラボを山岡親分が買い取った。そこで、生前の記憶を引き継いだバイオペットを作る計画だった」


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◎二日目の水炊き

2024年03月13日 | ◎これまでの「OM君」
二日目の水炊きは「トン汁」に進化する
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◎洗いもの観察日記

2024年03月12日 | ◎これまでの「OM君」
ミュージックにのるのはよいが…
無駄な動きのタテノリダンス




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◎こんな「あちらのお客様からです」はいやだ!

2024年03月11日 | ◎これまでの「OM君」
こんな「あちらのお客様からです」はいやだ!



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◎こんな「あちらのお客様からです」はいやだ!

2024年03月10日 | ◎これまでの「OM君」
こんな「あちらのお客様からです」はいやだ!






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◎おおざっぱに幸福(未来探偵ロクロ その32)

2024年03月09日 | ◎本日の想像話
 エリーはミツオが退出した後の話を説明した。佐々木が奥の隠し扉から現れたこと。狂言殺人を山岡親分にそそのかしたこと。そして山岡親分に銃を向けたが、サンシローに阻止されたことを話した。ミツオは首をかしげる。
「佐々木は一体何がしたいのだろう」
「分かりかねます。でも、もしかしたら、彼がどこに行くのかによって、分かることがあるかもしれませんね」
 佐々木の歩みは歩くスピードでは無くなってきた。そして、いよいよ走り出した。ミツオ達に気づいて駆けだしたというよりも、自分の移動スピードのもどかしさに耐えかねて走りだしたようだった。佐々木が走り出して10分以上たっただろうか、まだ追跡は続いていた。エリーはミツオの様子を心配して声をかける。
「大丈夫ですか」
「大丈夫だ。こう見えて、長距離走は得意なんだ」
 ミツオが言い終わった直後、前方の佐々木は飛び上がった。地上から7メートル以上のジャンプを繰り返し小さくなっていく。
「俺には無理だ」
 ミツオはエリーを絶望の表情で振り返る。
「大丈夫です」
 エリーはひょいとミツオをお姫様だっこして抱え上げた。驚くミツオを無視してそのまま飛び上がる。

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◎おおざっぱに幸福(未来探偵ロクロ その31)

2024年03月08日 | ◎本日の想像話
 佐々木は取り付かれたように前だけを見据えてどこかにむかっている。ミツオは慎重に後をつける。そのときミツオの背後に音も無く上空から青い影が舞い降りた。エリーだ。エリーはミツオが驚いて声を出さないように後ろから口を手でふさぐ。驚いたミツオの声は、エリーの手で見事に封じ込められた。エリーは前に回り込んで自分であることをミツオにアピールした。ミツオはもう一度驚く。
「佐々木に拉致されて大丈夫だったのか」
 ミツオはエリーの両肩を左右からゆさぶった。
「道明寺さんに助けてもらった」
「そうか」
 二人は佐々木の様子をうかがいながらひそひそ声で会話を続ける。
「実は私、山岡邸での出来事をドローンで見ていた」
「山岡親分は……」
 ミツオが一息ためる。ミツオの意図を感じたエリーが調子を合わせる。二人が同時に声をそろえた。
「死んでいない!」
「やっぱりそうか!」
「しー」
 テンションの上がったミツオをエリーがたしなめた。

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◎おおざっぱに幸福(未来探偵ロクロ その30)

2024年03月07日 | ◎本日の想像話
 人目を避けるように歩きながらミツオは考えていた。血まみれの山岡親分を目の前にしてあわてて逃げ出したが、はたして何があったのだろう。山岡の酒を口にした途端、起きてはいられない眠気に襲われた。意識を失う直前に見た光景は、満足げにこちらを伺う山岡の視線だ。あの視線は、思惑通りに事が進んでいることを確認する目だった。
 口にした酒に、薬を盛られたとみて間違いないと思った。そしてある可能性を考えた。もしかして山岡は死んではいないのではないか。なぜ山岡が、そんな事をする必要があるのか。理由は分からないが、なんだか、そう思えてきた。ミツオはくるりときびすを返して山岡邸に引き返すことにした。
 来た道をまっすぐ引き返しては、追っ手に遭遇するかもしれないと考えたミツオはすこし遠回りしながら山岡邸に近づくことにする。
 一本筋を違えた道に、見たことのある男がちらりと通り過ぎるのがミツオには見えた。相手はミツオに気づいてはいない。
「あいつは佐々木だ!」
 ミツオは佐々木の後を追った。


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◎おおざっぱに幸福(未来探偵ロクロ その29)

2024年03月06日 | ◎本日の想像話
 映像から、ダクトの出口らしきものが見て取れた。エリーは慎重にドローンを奥へと進める。
 ミツオが居た。そしてもう一人の人物は血まみれで倒れている。
 おそらく山岡親分だろう。ミツオが狼狽しながら部屋を出て行く後ろ姿が見えた。
(一体どうしちゃったの!)
 エリーは言葉を失い、呆然とした。結果的に思考停止に陥ったエリーのドローンは、しばらくその場にとどまる。
 むくりと起き上がる血まみれの山岡親分を確認した。
 エリーはおもわず声を上げた。  この後、佐々木が現れ、そして部屋から逃げ出していった。
 エリーはミツオを追うべきか、佐々木を追うべきか考えた後、地面を踏み込み、大きく跳ね上がる。山岡邸の屋根に登る。
 下を見ていると、佐々木が出てくるのが見えた。
 エリーは佐々木の後をつけることにした。


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◎おおざっぱに幸福(未来探偵ロクロ その28)

2024年03月05日 | ◎本日の想像話
「これは……」
 山岡邸に関する電脳世界の情報をあさっていたエリーは思わず声を漏らす。それは、ある男の管理するデータだった。お粗末なことに、誰もが見ることの出来る情報として電脳世界を漂っていた。その男の仕事は、外部からの客人を監視する任務らしい。エリーが見つけた情報は、ある人物の外見及び、武器持ち込みを探るバイオ・スキャンデータだった。データの日時は今日。場所は山岡邸。そして、その人物はミツオだった。
「あの人、山岡親分に会いに来ている」
 相変わらずミツオとの連絡は取れてはいない。山岡邸への侵入は急を告げていることをエリーは感じた。地下に空気を送るダクトらしきものを業者の設計図で見つける。望みをかけて、その場所に向かうことに決めたエリーはひらりと塀を跳び越えた。エリーはダクトの入り口を足下に見つけた。しかしエリー自身が入っていけるほどの太さではない。しばし考えた後、エリーはスリットの隙間に指を差し込む。第一関節から先が、音も無く分離し、浮遊する。そしてラジコン飛行機のようにダクト奥に侵入していく。 

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◎おおざっぱに幸福(未来探偵ロクロ その27)

2024年03月04日 | ◎本日の想像話
 外にでたエリーは外は夜になっていることに気づいた。しかし、あの夜からどれくらい時間が経ったのか、混乱しているエリーは正確な時間をつかみかねていた。佐々木のアジトを後にしたエリーはミツオに連絡を取ったが、話をすることはできなかった。とりあえず自身の無事を電子文書でミツオに送った。
 エリーはミツオの行動を想像する。自分が拉致された以上、佐々木と山岡組長との問題に首を突っ込まざるおえない。ミツオの取る行動は、山岡本人に面談を申し出るに違いない。
 そう考えたエリーは山岡邸へと足を向けた。エリーの体躯は奪い取った試作段階の特別仕様となっている。ビルの10階程度なら軽々と飛び越えるジャンプ力を備えている。山岡邸は、エリーの全速移動で10分ほど走れば到着できると場所にあった。
 山岡邸に到着したエリーは要塞のような建物におじけづいた。しかし気持ちを奮い立たせ、まず、侵入経路を探すことにした。

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