今から約85年前(昭和10年)の本にサンショウウオのことが書いてありました。この本は出版されたものではなくて、現在の山形県村山市の岩野地区にあった岩野尋常小学校の職員が執筆したもので、ガリ版刷りです。それをコピーしたものを私の歴史の師匠で岩波在住の方が持っていらしたので、それをさらにコピーさせていただきました。なお、この本は村山市立図書館で翻刻して閲覧できるようにして下さいましたので、御興味のる方は是非、一度は御覧になって下さい。昔の動植物の一端を知る貴重な資料です。
タイトルは「葉山の自然研究とその利用」です。題名の「葉山」と「自然」の間にある文字は変体仮名で「能」を崩した変体仮名の「の」です。
表紙のコピー画像をペイントというソフトで汚れと見られるものを削除したのですが、私の作業ですからちゃんとした方から見れば「手抜き」であるかもしれません。でも、雰囲気だけでも伝われば幸いです。
表紙上部の中ほどに見える山は月山で、その右側の山が葉山かと思います。下の写真は2013年10月下旬に葉山の尾根で月山をバックに葉山神社方向を写しました。表紙の月山の形と似ています。
さて、この中に下のようにサンショウウオのことが書いてあります。この本の「葉山を中心とするの珍奇な動物」としてサンショウウオのことも書いてあります。私なりにパソコンで書き直してみました。
旧仮名使いなので読みにくく、また現代とは説明内容が古いので、取っ付きにくいかもしれませんが、昔のことですからそれも時代の味と思って下さい。
ただし、これだけは言わせて下さい。「かすみさんせううお」とはカスミサンショウウオのことですが、山形県内には生息していません。この本の「産地」に「本州中部以南に多く三月四月にわたり」とあるように、既にこの本を書く時点で山形県内に生息していないことが分かるはずでしたが、気付かないままその種名を使ってしまったようです。山形県内に生息している東北山椒魚や黒山椒魚はサンショウウオ科に属し、カスミサンショウウオはその科の代表として模式種になっています。勘違いをしたのでしょう。
それよりも見ていただきたいのは、方言のところです。「せがよ」とあります。私はそれを見た時に、懐かしい響きが聞こえてきたような衝撃を受けました。何処かで聞いたような気がしたのです。でも畑沢では聞いたことがありません。よく考えると確かではありませんが、小学校5年の教室で六沢のトンネルから捕まえて持ってきた六沢の男児だったような気がします。「畑沢のサンショウウオ その1」を参照して下さい。東北山椒魚と黒山椒魚は箱根山椒魚の仲間よりもずっと身近な所にいます。六沢の人たちはトンネルの所で見慣れていて、昔から呼ばれていた名前で呼んでいたのではないかと想像しています。岩野地区なら常盤地区と同じ北村山ですから方言が同じであってもおかしくありません。
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