平成29年5月2日と3日、背中炙り峠の楯と山楯の調査のために畑沢へ行きました。その時に、そのことだけに専念すればいいのでしょうが、私の悪い性格で生き物などに気が反れてしまいます。この日も畑沢に咲く美しい花々にしばしば見とれてしまいました。こんなことですから、もう楯の調査に関わってから4年も経過しているのに、未だに素人のままです。
それにしても、畑沢の春の花々は奇麗です。先ずは、今回、初めてその存在を知った花を紹介します。ある沢の奥に入った時に、シャレタ洋風の三つ葉に気付きました。どう見ても、自然に生えている植物に見えませんでしたから、園芸品種が野生化したものではないかと疑いました。私は最近、外来種を心配しておりますので、少々、過敏になっています。園芸品種のオキザリス(属名のOxalisをそのまま品種名にしている。)に似ています。後で調べましたら、本州にも普通に生えているミヤマカタバミと言うことでした。深山(みやま)のカタバミと言うことですから、その名のとおり畑沢の一番と奥に生えていました。
今度は最近、しばしば目にする植物です。ウスバサイシンです。カンアオイの仲間ですが、ウスバサイシンは山野草ブームでもあまり注目されなかったようです。でも特徴的な花は共通です。地面すれすれに花とは思えない暗い色の花弁を開いています。ヒメギフチョウの幼虫がこの葉を食べるそうです。この二日間でヒメギフチョウらしき蝶を一度見ましたが、ほんの一瞬でした。いつも逃げ足が速くて、私のカメラに納まった例(ためし)がありません。
すこし湿った所には必ずこのショウジョウバカマがあります。一つの柄にごちゃごちゃと複数の花が付いているように見えます。
ショウジョウバカマと同じように、畑沢ではよく見られるカタクリです。シクラメンのようで華麗な花ですが、あまりにも普通過ぎて単発で咲いているのでは面白くなくなりました。そこで群生しているところをまとめてパチリです。いくら群生している所でも、これほどに密生していると見事です。
同じくカタクリですが、祠(ほこら)との景色が素晴らしいと思いました。下畑沢の稲荷神社です。すぐ近くのお宅がいつも祠の周囲をきれいにしてくれているのが分かります。可愛い妖精たちが遊んでいそうなメルヘンの世界です。この景色の美しさは、単なる花の美しさだけではなくて、ここをお世話している人の心の美しさでもあります。
この花も、春の花の代表格です。この花も群落で撮りたかったのですが、あいにくこの日は単発でした。キクザキイチゲです。
可憐な花々を紹介した後で、今度は大柄な花を紹介します。熊野神社境内を中心に群落を形成しているユキツバキの花です。熊野神社が建てられた約360年前から少しずつ増えてきたものでしょう。今では境内だけでなく、広く林内に生えています。
山の中にも大柄な花が咲いていました。タムシバです。一般的にはコブシと呼ばれています。正確にはコブシとは別種だそうですが、私には区別ができませんので、どちらでもよろしいのではないでしょうか。常盤小学校の校歌に、「コブシの花の白々と咲けば‥‥」とありますので、ねえ、そんなことでいいでしょう。
同じく大柄ですが、今度は葉が大柄で花は可憐です。エンレイソウです。三枚に開いた葉の中心部にちょこんと花が咲いています。花弁も3枚です。葉と花の不釣り合いさが面白いです。
葉でも花でもなくて、今度は幹が大柄です。山桜です。山桜の種も沢山あるようですが、当然ながら私は調べようともしません。私には「ヤマザクラ」で間に合います。でも、正直な気持ちを申し上げますと、畑沢の山桜を見て歩きますと、それぞれに違いを感じることがあります。どなたかへお願いします。調べていただけませんでしょうか。
キブシです。春の時期に咲きますので、目立たない花ながら目に留まります。花が房となって垂れ下がります。どちらかと言うと、湿りがちな場所に必ず生えているような気がします。私の近所の方が庭に植えていて、私が教えてもらいました。
クロモジの花です。畑沢のクロモジは、オオバクロモジというクロモジの変種なのかもしれませんが、これも確認はいたしません。
最後になりました。花のないシュンランです。この時期は花が咲いているはずなのですが、どのシュンランにも花が見えませんでした。食べられた葉もありましたので、花も食べられたのかもしれません。「春蘭茶」などと風流な楽しみ方もあるそうですから、畑沢のカモシカたちもその風情にあやかったのでしょう。