
読んで、背筋が寒くなる思いがした。
この本の示す、日本の「水」や「林業」の事情など、少しは知って居るつもりだったが、僕の知識などをはるかに凌駕する状態であることが分かった。


タダのような日本の水事情。
世界ではガソリンのほうがはるかに水より安い国が沢山あって、水メジャーの企業が水を求め、世界を暗躍してこと。
そして、日本では「林業」が産業として益々力を失い、山が荒廃していること。
それがまた、山村の経済力を失わせ、集落は若者を失い、集落そのものが成り立たなくなって、限界集落として、ますます荒廃させていること。
などが、僕の知識のすべてに近いのだが、その追体験どころではない深刻な状態になっているのだった。

行き場を失った世界の投機マネーや、近くの大国のお金が、巧妙な仕掛けで、日本の山林や島を買い、水源を押さえられているのだ。
そして、この本が力説するのは、そうした事態に日本の法整備が決定的に遅れていること。
言外にだが、グローバルスタンダードの名の下にあの歴代自民党が進めた「自由化」がこうした事態の後押しを進めたこと。
時の為政者達は、こうした事態を追認したことなど、詳細に検証しているのだ。
主食・水・これは、作り手・守り手の補償をして守るべきものではないのか?
改めて、林業(森を育むに、豊かな気候の懐を持っているのだ!わが国!)の大切さも読み取れた。
やや、難しい記述・章立てがやや緩慢であったりの読みにくさはあるが、大事な本であると思った。
多くの人に、読むべきと進めたい。