女房と演劇を観に行ったのだ。
川崎を拠点に、かなりの歴史をもつ「京浜協同劇団」の東京公演だ。
この劇団には、僕は多少の縁がある。音楽の先生のような岡田京子さんや、安達元彦氏が、劇中音楽を供給したり、なにより、高校時代の腐れ縁の、和田庸子がいるのだ。
昔「金冠のイエス」と言う、すごい芝居をT市に呼んだことも(僕はほんのお手伝いだったが)楽しい思い出だ。
本日の「演目」・・・「ミスター・チムニー 天空百三十尺の男」は、その和田の脚本・作家としてのデビュー作?なのだ。
神奈川では、なかなか行けないが、東京しかも両国なら、近い!
まあね、この条件で、観劇に行かないと、腐れ縁に申し訳が立たないのだ。
場所は回向院の側だったのだ。浅草まで1時間10分・そこからタクシーで10分だ。乗り継ぎにかかる時間で、タクシーならすぐ、ってんで贅沢したが、多分3人ならお金は、タクシーのほうが安い。
劇の内容は、この新聞記事のようなものだ。
女工哀史さながらの、紡績工場であった、労働争議と、数十メートルもの会社の煙突に登り、解雇の撤回や女工の待遇改善を訴えた、本当の話を題材に、今の日本の「ワーキングプア」や「非正規雇用」などの労働や経済の問題に、アプローチを見せる内容だった。
必然的に暗くなる、そんなテーマに、劇はテンポが良く・からっとした演出だった。これが、なかなか良い。
演出家の力量?・・そして和田の性格(まあ、ノウテンキな、アカルサはね持って生まれたのね)・・・?
煙突男・そして、女工たち。その劇中の中心となる「女性・女工」・その絡みなど、個々人にもう少し深く立ち入ったら、全体に深みが増したように思えたが、それでも、質の高い演劇であったと思う。
21世紀の日本・主だった大企業の組合は、もはや「御用組合」だ。いったい今、この様な労働者の団結などあるだろうか?などと考えながら、劇を観た。
そういえば、最近新聞やニュースで、まやかしの店長の職を与え、実は100時間を越える残業賃を払わなかった、大企業に組合の支援で訴訟を起こし、勝訴し、不払いを払わせたりと、そんなことが沢山起こっている。
低賃金で労働者を使う手段に、派遣労働者を使い、その労働実体が「偽装請負」と、改善命令を受けたりと、企業のやりたい放題に、労働が立ち上がり、成果を上げているニュースもある。
煙突男は、小林多喜二のように、治安維持法の犠牲になった。
21世紀の今、この演劇から学ぶことは多いように思った。寡黙な・おとなしい日本人が、しょうがない!と時の権力の杜撰な政治に、物言わなければ、若者が誇りを持って働き・働いて日本を支え、今老後の第二の人生を迎える年寄りが、医者にも行けない、姥捨て日本になるに違いない。
主食や食料の自給をかなぐりすて、工業産品の代わりに、食料は外国からでいいじゃない!と、もっともらしい話しの時代は、既に怪しくなっている。
農産物はすでに、供給していた国では、自国の自給のために、輸出禁止になったり、輸出関税が掛けられたり、投機マネーで、馬鹿高く成り始めている。
納豆は値段は変わらないが、入っている豆の量が減って、政治の無策に、あきれるばかりじゃないか?
しび(日々)「歌しか歌わない」と、叱られている僕には、色んなことを考える機会を与えてもらい、劇場を後にした。
帰りは、浅草で、食材を買って、本日の夕飯は済まそうと考えていた。
駅で、帰りのキップを買った。出発まで、1時間強の時間がある。
浅草は「三社祭」だった。ものすごい人だかりだった!
この日、朝5時から百姓・そのまま昼飯を食べず演劇に来た。
浅草・・・・頭の中は「ホッピーだろう?」「ここにきたらホッピーだろう?」となっていた。
人の居ない露地を抜け、人だかりの伝法院通りは、人を掻き分けここに来た!
でたね~
女房のウーロン茶と乾杯だ!
「全く飲んでばかりで、我慢を知らない!」と言っていたが、ここに来てはなから、我慢する気は無かった!
牛スジの煮込み&塩ラッキョウ!
沁みた!
乾いた喉に、食道に、胃袋に、沁みた!
今日は、この店。
若者が、おねえちゃんが、神輿を担ぎ、セイヤッ!と掛け声だ。
その周りを、世話役か?元気にお年寄りが、取り巻く。
青年!非正規雇用でなく、正規雇用で働いているか?
後期高齢者のお年寄り・・・年金から天引きで、今の政府は血も涙もないね。