長いこと更新しませんでした。忙しかったこともありますが、まとまった内容のものを書かないと、と思い込みすぎていた気がします。忙しいのはずっと変わらないので、今後は日記のつもりで、断片的でも、いい加減でも、できるだけ頻繁に書きたいと思います。コメントをくださった方、ありがとうございます。近いうちにご返事いたしますので。
いつのまにか秋学期(Fall semester)は折り返し地点を過ぎました。それぞれの学科で中間試験(mid term exam)もやっているようです。私の出ている科目についてはいったん終了。でも、毎回宿題の連続で、しかも内容がどんどん高度になってくるので、一つ一つじっくり取り組まなねばならず、時間がかかっています。
今日は文法論(L543 Syntactic Analysis)の授業について紹介したいと思います。担当は言語学科唯一の日本人教授(Associate Professor)北川善久先生です。英語ネイティブに向かって、英語を話す国で、主に英語を使って作り上げられてきた生成文法を、ネイティブではない日本人が講義するというのは、大変なことのようで、ネイティブはあちこち引っかかっては、ツッコミを入れます。それを適切に処理していくというのは、大変な力量だと、いつも感心します。本人曰く、もう10年以上やってきてるんだから当然、とのことですが。授業はつぎのパターンで進行します。
予習としての読書(Haegeman, L. ‘Introduction to Government and Binding Theory’, Blackwell)
講義(自作の書き込み式講義ノート使用)
復習としての宿題(最近はほぼ毎回・文の構造分析)
いわゆるGB理論を使って文構造を分析するための基本的な考え方と技術をしっかり身につけさせる、という内容です。要求されたことを地道にこなしていけば必ず習得できる工夫がされていて、とてもよく練られていると思います。実際、やれといわれたことをやっているだけ(それ以上やる余裕がない)ですが、「文法大嫌い」だった私でも、中間試験はまあまともな点数でした。かつて日本で、IPとか、Argumentとか、Bindingとか、何度説明されても理解できず、「もういいよ」とでもいうような顔をしていた(と思う)私が、宿題をやるために嬉々として文構造の樹形図を描いているのを見たら、教えてくれていた同僚はあきれることでしょう。
北川先生はいわゆる生成文法の学者の中では主流ではないのだろうと思います。が、「文法性の判断」にもっと客観的で厳密な方法を開発しようと音声学者や言語心理学者と仕事をするなど、既存の生成文法の行き詰まりを突破しようという仕事を進行中で、個人的にとても好きな方向です。将来実験などが一緒にできるよう、文法論についても鍛えておけと言われています。また、ついつい焦りがちの自分に「そのうち慣れるから」「今はこの程度で十分」と声をかけてくれて、そもそも居心地のいい大学ではありますがそれでも、同国人のこの人が(教員の中に)いてよかったと思います。
さて、授業の内容もさることながら、雰囲気がとてもよく、みんな楽しんでいるのが分かります。これは北川先生の人柄の賜物でしょう。かなり神経は使っているようですが(そこのところを時々教えてくれるのは、元教員の自分としてはとても面白い、他の授業でも、しばしば教員の心境になって、やりとりを見ていることがあります)。ちなみにこの授業に出ているあるアメリカ人の女性は、なんと学部学生。あまりにも出来がいいので、大学院の授業にいくつか出させているのだそうです。彼女は頭の回転が速いらしく、しゃべるのもめちゃくちゃ速いので、しばしば何言ってるかわかりません。彼女の言うことも全部分かるようになったら、リスニングも「合格」と言えるようになるだろうと思ってます。彼女はきっと大学院でも言語学をやるならここを出て、もっと名門に行くんでしょう。
なお、この北川先生が依頼されて、大修館書店の雑誌『月刊言語』11月号にインディアナ大学言語学科大学院の紹介を書いています。よかったらご覧ください。
適当に、といいながら、書き始めるとたくさん書いてしまうものですね。社会言語学で発表をしたし、音韻論も試験を何度もやりました、先週末から来学期の登録も始まりました。アメリカ言語学会の発表も決まったし。伝染病の予防摂取とか、5Kmレースとか、書きたいことはまだいろいろあるのですが、また次回。
写真を追加します。1つの記事に1枚しか選択できないので、関係ないものでも載せます。これは地理学科の学生。授業の課題で地元のダウンタウンを調査中。
いつのまにか秋学期(Fall semester)は折り返し地点を過ぎました。それぞれの学科で中間試験(mid term exam)もやっているようです。私の出ている科目についてはいったん終了。でも、毎回宿題の連続で、しかも内容がどんどん高度になってくるので、一つ一つじっくり取り組まなねばならず、時間がかかっています。
今日は文法論(L543 Syntactic Analysis)の授業について紹介したいと思います。担当は言語学科唯一の日本人教授(Associate Professor)北川善久先生です。英語ネイティブに向かって、英語を話す国で、主に英語を使って作り上げられてきた生成文法を、ネイティブではない日本人が講義するというのは、大変なことのようで、ネイティブはあちこち引っかかっては、ツッコミを入れます。それを適切に処理していくというのは、大変な力量だと、いつも感心します。本人曰く、もう10年以上やってきてるんだから当然、とのことですが。授業はつぎのパターンで進行します。
予習としての読書(Haegeman, L. ‘Introduction to Government and Binding Theory’, Blackwell)
講義(自作の書き込み式講義ノート使用)
復習としての宿題(最近はほぼ毎回・文の構造分析)
いわゆるGB理論を使って文構造を分析するための基本的な考え方と技術をしっかり身につけさせる、という内容です。要求されたことを地道にこなしていけば必ず習得できる工夫がされていて、とてもよく練られていると思います。実際、やれといわれたことをやっているだけ(それ以上やる余裕がない)ですが、「文法大嫌い」だった私でも、中間試験はまあまともな点数でした。かつて日本で、IPとか、Argumentとか、Bindingとか、何度説明されても理解できず、「もういいよ」とでもいうような顔をしていた(と思う)私が、宿題をやるために嬉々として文構造の樹形図を描いているのを見たら、教えてくれていた同僚はあきれることでしょう。
北川先生はいわゆる生成文法の学者の中では主流ではないのだろうと思います。が、「文法性の判断」にもっと客観的で厳密な方法を開発しようと音声学者や言語心理学者と仕事をするなど、既存の生成文法の行き詰まりを突破しようという仕事を進行中で、個人的にとても好きな方向です。将来実験などが一緒にできるよう、文法論についても鍛えておけと言われています。また、ついつい焦りがちの自分に「そのうち慣れるから」「今はこの程度で十分」と声をかけてくれて、そもそも居心地のいい大学ではありますがそれでも、同国人のこの人が(教員の中に)いてよかったと思います。
さて、授業の内容もさることながら、雰囲気がとてもよく、みんな楽しんでいるのが分かります。これは北川先生の人柄の賜物でしょう。かなり神経は使っているようですが(そこのところを時々教えてくれるのは、元教員の自分としてはとても面白い、他の授業でも、しばしば教員の心境になって、やりとりを見ていることがあります)。ちなみにこの授業に出ているあるアメリカ人の女性は、なんと学部学生。あまりにも出来がいいので、大学院の授業にいくつか出させているのだそうです。彼女は頭の回転が速いらしく、しゃべるのもめちゃくちゃ速いので、しばしば何言ってるかわかりません。彼女の言うことも全部分かるようになったら、リスニングも「合格」と言えるようになるだろうと思ってます。彼女はきっと大学院でも言語学をやるならここを出て、もっと名門に行くんでしょう。
なお、この北川先生が依頼されて、大修館書店の雑誌『月刊言語』11月号にインディアナ大学言語学科大学院の紹介を書いています。よかったらご覧ください。
適当に、といいながら、書き始めるとたくさん書いてしまうものですね。社会言語学で発表をしたし、音韻論も試験を何度もやりました、先週末から来学期の登録も始まりました。アメリカ言語学会の発表も決まったし。伝染病の予防摂取とか、5Kmレースとか、書きたいことはまだいろいろあるのですが、また次回。
写真を追加します。1つの記事に1枚しか選択できないので、関係ないものでも載せます。これは地理学科の学生。授業の課題で地元のダウンタウンを調査中。