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PAP-JAPAN代表、川井眞理のお仕事(以外もてんこ盛り)日誌

読書日記

2008-04-06 | 読書
『ドイツ人の老後』(坂井洲二著、法政大学出版局、1991年)読了。

福祉や介護の専門家ではなく、ドイツが専門の民俗学者による契約の世界・ドイツの、高齢者制度や代表的な老人ホームについての報告書である。

老人問題は何よりも経済の問題であるとの視点から介護の仕方などについてではなく、老人ホームを建てる費用はどこから出るのか、どれほどか、入居費はどう算出するのか、入居者が払えなくなったらどうするのかといった制度と経済の問題を扱っている。

調査は遺産相続についての親子間の詳細な契約、墓の管理などにも及び、この辺りに日本人とは根本的に違う西洋人のメンタリティをはっきり感じる。
鎌倉時代に既にかの国では老人ホームが存在したというのだから驚く。

ドイツの老人ホームは入居(一時)金が要らず(最初に払っても退去時に返って来るシステム)、月々の管理費は日本より少し高いもののかなり手厚いサービスが期待できて羨ましい限りなのだが、最後の方で世話役も務める入居者の女性がホンネを語る。

「あなたは人間が老化によっていかにみにくくなるかまだよくおわかりにならないと思います。人間は80歳を越すとむずかしくなりはじめるのです。そうなるとお互いに悪口をいいあったり、廊下で会っても急に挨拶をしなくなったり、けんかをはじめたり、戸を開けっぱなしにするようになったりします。これがまた老人たちの小さな争いのはじまりになります。人生で一番困ったものは、人間自身なのです。人間が、自分で自分たちが生きることをむずかしくしているのです」と。

自分の住む世界が縮小すると他人の言動が気になって気になって仕方がない、だからつい文句を言うというところか。
古今東西を問わず人間の持つサガなのだろう。

介護保険制度発足前に書かれた本なので(調査は1987年)日本も今とはだいぶ状況が違うが、高齢化率において日本があっという間に世界のトップに躍り出ることはまだ予測されていない。

環境施策等々で何かあればすぐにお手本として示されるドイツ事例だが、彼らの物の考え方があって初めて成り立つ制度だということを日本人はよく知っておくべきである。

『キレる大人はなぜ増えた』(香山リカ著、朝日新書、2008年)もあと少しで読み終わる。
次は『暴走老人!』(藤原智美著)と『老いる準備』(上野千鶴子著)を。

すごい出合い

2006-12-12 | 読書
積読家(つんどくか)の私ですが、最近は書店で新刊を買うことが少なくなり、気に入った本のタイトルを控えて帰っては夜中にアマゾンの中古市場をうろつくというのがお気まりのパターンになってきました。

以前は全国古書店組合だかの窓口だけが頼りだったので、発行から相当年数の経った本の入手はほぼ絶望。
よって、悔しい思いを多々してきました。

それがびっくり。
昨日の真夜中、寝る前にPCを消そうとして偶然その前に思いついてアマゾンを見たら、な、な、何と!!

1983年の発行で、書評欄でも非常に良い本として紹介されていたのにもかかわらず絶版のため入手を諦めていた本が、1冊だけ、ホントにひっそりという感じで売りに出されているではありませんか!

しかも定価どおりぐらいで入手可能だなんて。
思わず目が点、次の瞬間「ワンクリックで購入」を力強くクリックしていたのは言うまでもありません(笑)。

実は諦めきれず、図書館で借りてコピー本まで作ったのです。
古本屋さんを探しまくったのに尋ねあてることが出来ませんでしたのでね。

それが全くの偶然としか言いようのない不思議なご縁で、このほどめでたく私のもとへやってくることになりました。
不思議なことがあるもんです。
直感は信じて吉です、太鼓判押しまーす!

これで今後ますますアマゾンから離れられなくなりました(^^)。

転んでもタダでは起きない

2006-08-29 | 読書
先週「マーサの成功ルール」(マーサ・スチュワート著、槇原凛訳、トランスワールドジャパン株式会社発行)という単行本を買いました。

ケータリングビジネスの成功をベースに、料理やガーデニング、室内装飾などのいわゆる家事を゛おもてなし゛という新しい切り口で芸術的なレベルにまで高め、アメリカ人主婦たちの圧倒的支持を得てさらに多角的ビジネスを展開、゛カリスマ主婦゛と謳われたマーサ・スチュワートですが、2002年にインサイダー取引の容疑で服役。

監獄を出てから初めて書いたらしい本なので、最初は懺悔録でも出したのかと思ったのですが、さにあらず。
獄中にあっても根っからの起業家である彼女のもとには、女囚人たちが「将来こんなビジネスをして生きていきたい」とひっきりなしに相談に訪れたらしく、改めて一般人に向けたビジネス教育の必要性を感じた、というのが出版の背景でした。

読めば読むほど、骨の髄まで起業家なことを感じるマーサという人物ですが、立派に゛失敗も芸の肥やし゛にしています。
「腐っても鯛」ということわざがありますが、獄中にあっても誰もが彼女にビジネスの相談をするというのはスゴイ。

誰かさんみたいに獄中生活そのものを本にしたわけではありませんが、こういう貴重な体験は彼女の輝きをさらに増す役目こそあれ、収監されたぐらいで人気が落ちるような器ではなかったのです。
恐るべし、マーサ・スチュワート!

こんな彼女から学ぶものは、ビジネスセンス以上に「ちょっとやそっとのことではへこたれない」精神だと思います。
さらに言えば、失敗を肥やしにしてさらに太る術、とでもいいましょうか。
立派!のひと言に尽きます。

一気に読了「キャリアショック」

2006-07-30 | 読書
土曜日の午後から読み始め、昼寝もそこそこに続きを読み、真夜中までかかってようやく読み終えました。
2000年末の発行ですから、書かれたのは同年夏頃、つまりちょうど6年前のことです。
今頃読んで納得しているようではちょっと遅すぎるのですが、一方で著者の主張がやっと世間に広く浸透・認知されているなという気もします。

「キャリアショック」とは著者の高橋俊介氏によると「自分が描いてきたキャリアの将来像が、予期しない環境変化や状況変化により、短期間のうちに崩壊してしまうこと」を指します。
変化の激しい時代に生きるビジネスパーソンは誰もがそのリスクを背負って生きているというわけで、「キャリアクライシス」とも言い換えています。

そんな時代に、自律的に自分のキャリアを拓くにはどう考え、どう処していけばいけばいいかという考え方について説いた本ですが、寝転んで読むにはいささか重い内容過ぎました。
結局、半身を起こして読み、ラインを引き、付箋をつけ、辞書を引き…と資料読み込みのスタイルになってしまいましたが、途中で目を離せないほど内容は示唆に富んだものでした。

実は9月中旬の試験が気にかかり、ちょっと頭の中を整理し始めたところなのです。
カタカタ語が多いのも頭痛の種ですが、これは慣れる、いや覚えるしかなさそうです(^^;)。

大阪弁のインパクト強し!

2006-07-19 | 読書
本屋で偶然「大阪ハムレット」なる妙なタイトルのマンガを見つけ、著者も中身の評判も全く知らないのに、本が呼んでるような気がして買いました(^^;)。

私にはときどき書店が「寄れ寄れ」と誘ってるように聞こえるときとか、本が「買え買え」と言ってるように感じられる時があります。
アタリかハズレかわかりませんが、そういうときは素直に直感に従うことにしています。

このマンガ本を手にとったのもそういう理由からでしたが、中身はなかなか意味深でした。
さまざまな現代風家庭が、子どもたちを主人公に淡々と描かれています。
ホンマは大問題になりそうなテーマを、子どもも大人もさらりと受け入れているのがすごいと言えばスゴイ。

「みんな違ってみんないい」。
改めてそんな言葉が思い出されました。

(おまけ:ブログのアクアリウムの図柄を、知合いに「デザインはお洒落だけど、字が読みにくいね」と指摘されたので慌てて変えました。
「読んでみようか」という気になってもらわないことには始まらないからです。

今後、ブログを駆使するシニアはますます増えるでしょう。
どんな色やデザイン、サイズの背景や文字が読みやすく、また読みにくいかということは専門家の間ではちゃんと研究されています。
シニアが「使ってみたい」「読んでみたい」と思うようなデザインも多数作って欲しいものです。
それこそがユニバーサルデザインってもんでしょう)

気分転換&アイデア出しのために

2006-07-15 | 読書
朝から興味深いビジネス書を読みふけっていたので、知合いに会っても頭が世間話に行きません。
完全に自分の世界にはまってしまっていました。

帰り道、ようやくこの新書を読み終わり、次のビジネス書にかかりました。
で、自宅ではなかなか発想が自由にならないと感じた時、私の利用するのは喫茶店です。
早速いつもの店へ。

小2時間ほど、本を読みながら温めてもらったピロシキを食べ、コーヒーを飲みながら、ノートに思いつくままアレコレと書き留めていきます。
これは自宅ではちょっとやりにくい作業なのです。
ところが街中の喫茶店だと結構強気になって、普段は思いつかない仕事の企画が色々わいたりします。

(狙い目はスタッフがバイトしかいない店、またはFC展開しているような店、またはベーカリー併設で食べ物が少しはある店。
そしてそこそこ広くて明るいこと。
そしてそこそこ客がいること。
できれば外の景色や道行く人が眺められるようだと申し分ありません(笑)。

男性は゛隠れ家゛がお好きのようですが、これもその一種でしょうか?
自宅でもない、職場でもない、゛第三の(お気に入りの)場所゛です。

最近笑った本

2006-06-22 | 読書
なかなか面白いマンガです、吾妻ひでおの「失踪日記」。
今月初め、編集者に教えてもらったその足で書店へ走り、即ゲットしてきました。
一気に読めます。

が、その間、何も出来ません(笑)。
多分読破に数時間はかかるはず。
昨年3月に初版が出ており、今年5月には早13刷に。

帯によると、「第9回文化庁メディア芸術祭大賞」「第34回日本漫画家協会賞大賞」「第10回手塚治虫文化賞マンガ大賞」で、史上初の3冠を達成したとか。

内容は漫画家自らのホームレス体験を面白おかしくギャグマンガ化したもので、これだけ売れたってことは皆ホームレス生活に興味津々?
あるいは、「オレはここまで行ってないぞ」という自己満足を味わうため?

ちょっと前、ダンボールハウスに住んだ体験を単行本にした松井計とかいうライターがいましたが、読者をこれだけ引きつけるには、悲惨な体験をしてもそれを第三者の目線で笑い飛ばせる内容に書ける能力が必要です。
要は自分を突き放して笑い者にする強さ、ってことでしょうか。

一朝一夕にはなれませんが、しかし、この第三者の目で自分を見、時に笑い者にしても平気、というしたたかさは是非見習いたいものです。

「石井のおとうさんありがとう」を観たら…

2006-06-16 | 読書
関西では今日しか上映されないというので無理やり時間を作り、「石井のおとうさんありがとう」という映画を観てきました。石井十次というキリスト者で宮崎出身の一民間人が、まだ「福祉」の言葉もない明治20年、22歳で孤児を預かり、それがきっかけで医学生だったのが孤児の教育に生涯を捧げる決意をし、岡山孤児院(後に十次の故郷である宮崎に移転)を作って3000人もの孤児を育てあげたという、まあ、いわゆる感動ものの福祉を扱った映画です。

上映会を開いたのはNPO法人、会場は伊丹市内の公共ホールにて。私は勝手ながら福祉に特別な関心はなく、ただ主演が松平健をはじめ、竹下景子、辰巳琢郎、永作博美と結構豪華キャストなので興味がわいたというのが本音でした。特に松平健は最近、結構重みのある映画に(体も「暴れん坊将軍」の頃に比べてグッと重みが増したようですが)出演しており、彼が主役なら安心だろうと思ったのもあります。

ところがところが…。大手映画会社に配給すると、観客動員数によってはあっという間に上映が打ち切られるので、それを避けて長寿映画にしたいがために、敢えて大手映画会社に売らなかったと聞きました。が、やはり映画は観る環境、ハード面も非常に大事だということを実感。座席は前列と段差のないパイプ椅子、しかも真ん中から後方の席は後ろの映写機の音が結構やかましいため、画像や音声が4割ぐらい見えず、また聞こえません。当日券は1600円もするので、「いくら福祉でも、NPOでも、それはないやろ!?」と思ってしまいました。

あと、実在した石井氏には頭が下がりますが、映画はちょっと(長編の原作をはしょらざるを得ない厳しい条件下ではあっても)くさい。どうも全体が学芸会のようなノリです。ほとんどの子ども役がセリフを棒読みし、松平と永作もかなりウソっぽいしぐさが多いのが気になりました。心理的な葛藤や感謝、感激などの場面があっという間に次のシーンに変わるため、役者たちの上っ面の演技のみを観ることになり、観客が感動を共有できないのです。これは監督の責任です。

そして家計は火の車ということになっているのに、ぶよぶよとまではいきませんが、たっぷり贅肉をつけてしまった体を見せながら、松平が着物を脱いで「これを質屋に入れて、お金を工面してきてくれ!」と叫ぶシーンはとても気になりました。「そんなに丸々太ってて、生活苦や質屋やと言っても実感わかんで!」というところでしょうか(^^;)。

あかん。どうにもこうにも゛裏読み゛をする職業病が抜けません。あとはいちいち書くのも面倒になってきたので、この辺でおしまい。

ついに買った、゛老会話゛読本

2006-06-11 | 読書
老会話ってナニ?と聞いたアナタは、ズバリ遅れてますね?(^^)。そのココロは「高齢者相手に悪戦苦闘する人の゛しゃべりの悩み゛を一気に解消する魔法の会話術」なのです(梶原しげる著『老会話』東洋経済新報社、1,260円より)。老会話をマスターするとシニア対応が俄然うまくなり、ビジネスに大いにプラス効果が期待されるとか。

では実際にどんな風に対応するといいのでしょうか?基本動作には、①話しかけるときは先ず相手の名前を呼んでこちらに注意を向けてから、②相手の話を聞くときは正面から目線を合わせる、③観察、熟視をしてよく見る、④積極的傾聴をしてよく聴く、⑤話の中身よりも明瞭で適度にやわらかい口調が大事、の5つがあるそうです。

改めて考えれば、これは高齢者に限らず人と人との会話の基本作法と思えますが、わざわざ゛老会話゛を謳って練習する必要性が出てきたというのが極めて現代的と思えました。いっそ英会話みたいに級があって、「アナタは老会話1級の資格を持ってるから、80歳以上のお客様は任せた!」なんて言えると面白いかもしれません。
 

過去の自分を肯定できる時とは…(1冊の本から)

2006-05-27 | 読書
キャリコン養成講座の桐村晋次先生が講義中に推薦された『道草してキャリアデザイン』(坂巻美和子著、西田書店、1,260円)を一気に読了。書くのはそれなりに大変だったと思いますが、読むのはアッという間です。著者は私よりはだいぶ人生の先輩ですが、独立して仕事をしておられること、その途上で思うところあって社会人大学生になられたこと、若いときは何の仕事をしても自信が持てずコンプレックスのかたまりだったこと等々、私とよく似た転機を多々持っておられたので、感情移入して読みました(笑)。
 それにしても、若い人のキャリアデザインはもちろん大事ですが、ひと昔前のようには枯れておらず、かといって若くもない中高年期が長くなった現代にあっては、30代・40代・50代こそそれまでの自身の人生を振り返り、可能な限り仕切り直しをした方がいいように思えてなりません。自分のことも含めて敢えてきつく言うと、上記のような年齢から人間がスクラップ化してしまうと、超高齢社会では大変なことになるからです。
 大きな声では言えませんが、環境にリサイクルという発想があるように、人間の生かし方にもリサイクルという視点があってもいいのでは?と思っています。平たく言うと、゛中高年リサイクル事業゛こそが私の達成したい目標なのです。