巨匠ピアニスト2名のご意見に反論するので、さすがにビビって資料を全部確認した。4日も掛かったのはやはり私高本の左手のしびれが完治していないのが原因か?
これを実証する。論点は3点。日本語初出は 1978年。原語初出は上の2つは 1958年に バドゥラ=スコダ に拠って書かれ、最も下の1つは 1975年 に ブレンデルに拠って書かれたモノである。
の3点。ブレンデル著「楽想のひととき」(音楽之友社刊)P314-315 に日本語初出が掲載されている。
私高本は 1978年に「ブレンデル シューベルトピアノ作品集1822-1828」と言うLP8枚組のセット物で初めに読んだ。論理として説得力があり、購入したLPの演奏の説得力も高く、つい最近まで「バドゥラ=スコダとブレンデルの言う通り!」と思っていた。疑問を持ったのは 佐伯周子 の演奏を聴いてからである。
まず「1」の「第2楽章の4小節の欠落」について。この件は バドゥラ=スコダ の主張の通りだろう。
であり、似たような黒々とした音符が続く箇所で「4小節飛ばしてしまった」ようだ。「1975年現在のブレンデルの眼」で見ると
旨を断言している。しかし、時系列を追うと痛々しい事実が浮かんでくる。
となっている。1958年当時の バドゥラ=スコダ や ブレンデル は「まだまだ若手」で楽譜に採用されるには至らなかったようだ。1989年に「ヘンレ新版」が出るまでの D845 の演奏は、「第2楽章の消えた4小節」がそのまま消えた録音が多い。例えば、ポリーニとか(爆
1975年に「ブレンデル論文」が掲載されてから風向きが変わる。1979年に王立音楽院版で「3ヶ全て」が採用される。 「王立音楽院版」も素晴らしい楽譜なのだが、
のようだ。
ヘンレ版改訂版が出版されて以降、第2楽章第1変奏は「4小節復活」された演奏が増えつつある。10年のタイムラグがあったが、ありがたいことだ。
2番目の論点に移る。
となっている。ベーレンライター新シューベルト全集で「脚注扱いにはしていない」点が「第2楽章第1変奏」とは全く違う扱いだ。
ことを私高本は指摘しておきたい。佐伯周子は、新シューベルト全集の基本通り「全休符小節無し」で演奏する。
3番目の論点に移る。
この点については、ベーレンライター新シューベルト全集の扱いは画期的でさえある。
からだ。ベーレンライター新シューベルト全集でもブレンデル学説は承知の上、
判断を下したようだ。佐伯周子 は ベーレンライター新シューベルト全集 の通りに F音 で演奏する。
どうぞお楽しみに。
学者兼巨匠ピアニスト = バドゥラ=スコダ & ブレンデル の学説は「全て正しい」のか?
これを実証する。論点は3点。日本語初出は 1978年。原語初出は上の2つは 1958年に バドゥラ=スコダ に拠って書かれ、最も下の1つは 1975年 に ブレンデルに拠って書かれたモノである。
- 第2楽章第45小節の箇所に「4小節の欠落」がある
- 第4楽章第155小節に「1小節の欠落」がある
- 第2楽章第114小節3拍目の左手オクターブが「F音」は間違いで「G音」である
の3点。ブレンデル著「楽想のひととき」(音楽之友社刊)P314-315 に日本語初出が掲載されている。
私高本は 1978年に「ブレンデル シューベルトピアノ作品集1822-1828」と言うLP8枚組のセット物で初めに読んだ。論理として説得力があり、購入したLPの演奏の説得力も高く、つい最近まで「バドゥラ=スコダとブレンデルの言う通り!」と思っていた。疑問を持ったのは 佐伯周子 の演奏を聴いてからである。
まず「1」の「第2楽章の4小節の欠落」について。この件は バドゥラ=スコダ の主張の通りだろう。
出版社の彫刻師(曲を聴いたことも無い!)の眼には「繰り返しだらけ」の箇所!
であり、似たような黒々とした音符が続く箇所で「4小節飛ばしてしまった」ようだ。「1975年現在のブレンデルの眼」で見ると
- ラッツ編ユニヴァーサル版 は信頼できる
- ミース編ヘンレ版 は信頼できる
- 他の楽譜 は信頼できない
旨を断言している。しかし、時系列を追うと痛々しい事実が浮かんでくる。
- 1953年 ラッツ編 ユニヴァーサル版出版
- 1958年 バドゥラ=スコダ論文発表
- 1961年 ミース編 ヘンレ版(旧版)出版(← バドゥラ=スコダ論文反映されず)
- 1975年 ブレンデル論文発表
- 1979年 ファーガソン編 王立音楽院版出版(← バドゥラ=スコダ論文&ブレンデル論文が全面的に採用される!但し、第2楽章第1変奏は別の補筆)
- 1989年 ミース編 ヘンレ版(新版)出版(← バドゥラ=スコダ補筆が全面的に採用される!)
- 1998年 ティリモ編 ウィーン原典版出版(← ブレンデル説を全面的に取り入れた楽譜。ブレンデルが「推薦の言葉」を贈っている!但し、第2楽章第1変奏は別の補筆)
- 2003年 ベーレンライター新シューベルト全集出版(← 初版が基本。学術的根拠に基づく)「バドゥラ=スコダ説」 が脚注に明記された上、「序文参照」となり全面的に採用掲載されている」
となっている。1958年当時の バドゥラ=スコダ や ブレンデル は「まだまだ若手」で楽譜に採用されるには至らなかったようだ。1989年に「ヘンレ新版」が出るまでの D845 の演奏は、「第2楽章の消えた4小節」がそのまま消えた録音が多い。例えば、ポリーニとか(爆
1975年に「ブレンデル論文」が掲載されてから風向きが変わる。1979年に王立音楽院版で「3ヶ全て」が採用される。 「王立音楽院版」も素晴らしい楽譜なのだが、
世界中のピアニストに「シューベルトのピアノソナタ」で最も使用されているのはヘンレ版
のようだ。
ヘンレ版改訂版が出版されて以降、第2楽章第1変奏は「4小節復活」された演奏が増えつつある。10年のタイムラグがあったが、ありがたいことだ。
2番目の論点に移る。
- D845第4楽章第155小節の欠落については バドゥラ=スコダ論文 & ブレンデル論文が発表された後に出版された楽譜では
- 王立音楽院版では「155小節にゲネラルパウゼ小節」挿入
- ウィーン原典版では「155小節に追加小節の可能性あり」の脚注
- ベーレンライター新シューベルト全集では、序文にて「バドゥラ=スコダの学説で小節の欠落の可能性」表記
となっている。ベーレンライター新シューベルト全集で「脚注扱いにはしていない」点が「第2楽章第1変奏」とは全く違う扱いだ。
彫刻師の観点 からは「全休符小節」は見落とし難い
ことを私高本は指摘しておきたい。佐伯周子は、新シューベルト全集の基本通り「全休符小節無し」で演奏する。
3番目の論点に移る。
- D845第2楽章第114小節の3拍目左手の「F音は誤りでG音が正しい」については ブレンデル論文が発表された後に出版された楽譜では
- 王立音楽院版では「G音に変更」の上、脚注で注解
- ウィーン原典版では「G音に変更」の上、脚注で注解参照の指示
- ベーレンライター新シューベルト全集では、全く無視 = F音のまま
この点については、ベーレンライター新シューベルト全集の扱いは画期的でさえある。
ブレンデル説は「音楽上の流れだけが根拠」だが、F音 でも G音 でも音楽的に成立しており、右手には両方含まれている!
からだ。ベーレンライター新シューベルト全集でもブレンデル学説は承知の上、
- 初版楽譜の印刷 と
- ブレンデル学説 を天秤に掛けて
- 初版楽譜を採用した
判断を下したようだ。佐伯周子 は ベーレンライター新シューベルト全集 の通りに F音 で演奏する。
どうぞお楽しみに。