Piano Music Japan

シューベルトピアノ曲がメインのブログ(のはず)。ピアニスト=佐伯周子 演奏会の紹介や、数々のシューベルト他の演奏会紹介等

連弾曲の作曲年代問題1(No.1706)

2009-11-09 22:12:16 | 作曲家・シューベルト(1797-1828
 シューベルト作品が抱えている「大きな問題」の1つが「作曲年代問題」である。弦楽四重奏曲が D94 以外にはほとんど問題を抱えなかった以外は、器楽曲は多かれ少なかれ問題を抱えている。その中でも

ピアノ連弾曲の作曲年代は特に問題が大きい


ことは声を大にして読者の皆様にお伝えしたい。ピアノソロ曲に於いて「舞曲の作曲年代が大問題」と私高本は唱えて来たが、連弾曲は「ピアノソロの舞曲並みかそれ以上の問題」となっている。マジです、、、
 ピアノソロに於いては「舞曲は創作の中心では無かった」ことは(作曲年代問題が発生しているが)、「ピアノソロ曲全体像」への影響は小さい。

ソロソナタは D664 と D568最終決定稿 以外は「作曲年代問題」は、『全楽章揃って完成したソナタ』では発生していない


からだ。
 連弾曲は「ソナタ」からして作曲年代問題の渦中にある。連弾ソナタは 2/3 の作曲時期がどうやら変である(爆


 連弾ソナタ3曲の作曲時期は、「シューベルト作品主題目録 改訂版 = 1978年版」に拠ると、次の通りである。

  1. 連弾ソナタ第1番変ロ長調 D617 作品30 1818年秋(?)作曲

  2. 連弾ソナタ第2番ハ長調 D812「グランド・デュオ」 1824.06ツェリスにて作曲

  3. 連弾ソナタ第3番ホ短調 D823 作品63+作品84「フランス風ディヴェルティメント + アンダンティーノ変奏曲 + 華麗なロンド」 作曲年は断定していないが1825年を示唆


となっている。2曲目は自筆譜が遺っているので、作曲年代が特定できている希有な例である。他の2曲のソナタは、自筆譜が遺っていないので、後世の研究者に「言いたい放題」を喰らってしまっている。


 折角に機会なので、『ドイチュ自身が作成したドイチュカタログ初版』にも目を通してみよう。これまた「連弾曲に興味あるの?」って感じである。

  1. 連弾ソナタ第1番変ロ長調 D617 作品30 ブライトコプフ旧シューベルト全集では「1824年作曲」となっているが、1818年夏作曲(?)

  2. 連弾ソナタ第2番ハ長調 D812「グランド・デュオ」 1824.06ツェリス作曲

  3. 連弾ソナタ第3番ホ短調 D823「フランス風ディヴェルティメント」 1825年頃作曲


となっている。第1番の作曲時期が「旧シューベルト全集では出版時期よりも後」になってしまったのを修正しただけである。 > ドイチュカタログ初版


 ドイチュが想定した「シューベルト連弾曲作曲年代推測」は次のような理論である。

  1. 1810-1813 「調性の定まらない幻想曲」作曲

  2. 1818 第1次ツェリス連弾作曲時期

  3. 1824 第2次ツェリス連弾作曲時期

  4. 1828 最晩年傑作連弾作曲時期


である。つまり、1814年以降に限って言えば「1818年、1824年、1828年」の3年に連弾曲は集中的に作曲された、と言うことになる。マジ?
コメント
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