シューベルトの「稿問題」が根が深いことはこれまで述べて来た通りである。ピアノソロ曲では
が特に問題が深いことは以前述べた通りである。
「佐伯周子 ベーレンライター新シューベルト全集に拠るピアノソロ曲完全全曲演奏会」の次回第7回に取り上げる D568 について、今回からじっくり掘り下げて見たい。
D568 は「ドイチュカタログ第2版 = 1978年版」情報では、「旧カタログ」と全く違う取扱になった。
新カタログが必ずしも旧カタログよりも優れているとは限らない数少ない1例である。調性の違う稿が「同じ曲」と言われても、「歌曲の移調」ではないのだから違和感大ありである。
ことをここにまず宣言しておく。
ドイチュ自身も悩んだ D568 の問題は以下に集約される。
これが全てである。ここからいろいろな試行錯誤が始まった。
- D568
- D899
が特に問題が深いことは以前述べた通りである。
「佐伯周子 ベーレンライター新シューベルト全集に拠るピアノソロ曲完全全曲演奏会」の次回第7回に取り上げる D568 について、今回からじっくり掘り下げて見たい。
D568 は「ドイチュカタログ第2版 = 1978年版」情報では、「旧カタログ」と全く違う取扱になった。
- 変ニ長調版 : 旧カタログ D567 → 新カタログ D568
- 変ホ長調版 : 新旧カタログ共 D568
新カタログが必ずしも旧カタログよりも優れているとは限らない数少ない1例である。調性の違う稿が「同じ曲」と言われても、「歌曲の移調」ではないのだから違和感大ありである。
ピアノミュージックジャパン では「変ニ長調稿 = D567」表記をする
ことをここにまず宣言しておく。
ドイチュ自身も悩んだ D568 の問題は以下に集約される。
D568 の「稿」問題の要点
- 変ニ長調初稿 D567 が1817年6月作曲は確定している
- 変ホ長調最終稿 D568 が1829年5月27日にペンナウアーから出版されているのは確定しているが、自筆譜も筆写譜も遺っていない
- 1817年11月と記載の筆写譜で伝承して来た「2つのスケルツォ D593 の2曲目 = 変ニ長調スケルツォ」のトリオが「D568/3 メヌエットのトリオ」をほぼそっくり移調しただけ
- 1817年6-8月の「6曲のピアノソナタ」は、D566,D567,D571,D575 の4曲分しか「自筆譜で確定」した曲が無く、残り2曲(3番ソナタと4番ソナタ)の行方がわからない
これが全てである。ここからいろいろな試行錯誤が始まった。