Piano Music Japan

シューベルトピアノ曲がメインのブログ(のはず)。ピアニスト=佐伯周子 演奏会の紹介や、数々のシューベルト他の演奏会紹介等

20才のシューベルト その5(No.1772)

2010-08-01 22:16:01 | 作曲家・シューベルト(1797-1828

ピアノソナタ ホ長調D459A/3 と ピアノソナタ ホ長調D459


 本日はこの2曲のソナタについて述べる。


ピアノソナタ ホ長調D459A/3 は「2つの稿」が存在する1817年6~7月のソナタ


である。

「Sonate III」「Sonate IV」のどちらか


である。

第1稿



  1. 第1楽章 ホ長調 Allegro patetico D459A/3(完成)


  2. 第2楽章 ハ長調 Adagio D349(未完成)


  3. 第3楽章以降は不明



第2稿



  1. 第1楽章 ホ長調 Allegro patetico D459A/3(完成)


  2. 第2楽章 ハ長調 Adagio D459A/1(完成)


  3. 第3楽章 イ長調 Scherzo : Allegro D459A/2(完成)


  4. 第4楽章 行方不明



となっている。
 このパターンは

第4楽章は第1稿を流用した時の浄書譜パターン


である。つまり「第1稿の内、終楽章だけ手直し無しで第2稿に用いる」時には、「終楽章だけ楽譜を切り離して流用」するのである。

切り離されたD459A/3終楽章(=第4楽章) = D506 とすると、全て符号が合う


 尚、D459A/3 第1稿に「スケルツォ楽章」があったかどうかは全く不明だが、該当する楽章候補は見当たらない。D459A/2 のスケッチが見付かっていないので、第1稿=3楽章説の方が有力だろう。整理する。

第1稿



  1. 第1楽章 ホ長調 Allegro patetico D459A/3(完成)


  2. 第2楽章 ハ長調 Adagio D349(未完成)


  3. 第3楽章 ホ長調 Allegretto D506(完成)



第2稿



  1. 第1楽章 ホ長調 Allegro patetico D459A/3(完成)


  2. 第2楽章 ハ長調 Adagio D459A/1(完成)


  3. 第3楽章 イ長調 Scherzo : Allegro D459/2(完成)


  4. 第4楽章 ホ長調 Allegretto D506(完成)← 第1稿流用



 このソナタのもう1つの特徴は リート「ます」D550 の影響を大いに受けていること。

1823年にピアノ5重奏曲「ます」D667 を作曲する下敷きとなった


と言って良いだろう。
コメント
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