ピアノソナタ ホ長調D459A/3 と ピアノソナタ ホ長調D459
本日はこの2曲のソナタについて述べる。
ピアノソナタ ホ長調D459A/3 は「2つの稿」が存在する1817年6~7月のソナタ
である。
「Sonate III」「Sonate IV」のどちらか
である。
第1稿
第1楽章 ホ長調 Allegro patetico D459A/3(完成)
第2楽章 ハ長調 Adagio D349(未完成)
第3楽章以降は不明
第2稿
第1楽章 ホ長調 Allegro patetico D459A/3(完成)
第2楽章 ハ長調 Adagio D459A/1(完成)
第3楽章 イ長調 Scherzo : Allegro D459A/2(完成)
第4楽章 行方不明
となっている。
このパターンは
第4楽章は第1稿を流用した時の浄書譜パターン
である。つまり「第1稿の内、終楽章だけ手直し無しで第2稿に用いる」時には、「終楽章だけ楽譜を切り離して流用」するのである。
切り離されたD459A/3終楽章(=第4楽章) = D506 とすると、全て符号が合う
尚、D459A/3 第1稿に「スケルツォ楽章」があったかどうかは全く不明だが、該当する楽章候補は見当たらない。D459A/2 のスケッチが見付かっていないので、第1稿=3楽章説の方が有力だろう。整理する。
第1稿
第1楽章 ホ長調 Allegro patetico D459A/3(完成)
第2楽章 ハ長調 Adagio D349(未完成)
第3楽章 ホ長調 Allegretto D506(完成)
第2稿
第1楽章 ホ長調 Allegro patetico D459A/3(完成)
第2楽章 ハ長調 Adagio D459A/1(完成)
第3楽章 イ長調 Scherzo : Allegro D459/2(完成)
第4楽章 ホ長調 Allegretto D506(完成)← 第1稿流用
このソナタのもう1つの特徴は リート「ます」D550 の影響を大いに受けていること。
1823年にピアノ5重奏曲「ます」D667 を作曲する下敷きとなった
と言って良いだろう。