Piano Music Japan

シューベルトピアノ曲がメインのブログ(のはず)。ピアニスト=佐伯周子 演奏会の紹介や、数々のシューベルト他の演奏会紹介等

20才のシューベルト その12(No.1779)

2010-08-09 19:36:15 | 作曲家・シューベルト(1797-1828

スケルツォ 変イ長調D566/3 は、第3楽章か? 第2楽章か?


  本日はこの問題を追う。
シューベルトは「変イ長調の舞踏楽章」が好きな作曲家だった。

  1. ソナタ第6番 ホ短調D566 スケルツォ(=D566/3)1817.06
  2. 楽興の時第6番 変イ長調(D780/6)1824秋以前
  3. ソナタ第15番 ハ長調D840「レリーク」 メヌエット(=D840/3)1825.04
  4. 即興曲集第2集 ヘ短調D935 アレグレット(=D935/2)1827.12

 完成したD935の位置も変わっており、楽興の時では、明らかに舞踏楽章なのに終楽章にもなっている。「変則的な時」に使われることが多いように見える。

 ホ短調ソナタD566 の構成は

  1. モデラート ホ短調 D566/1 ソナタ形式
  2. アレグレット ホ長調 D566/2 ソナタ形式
  3. スケルツォとトリオ 変イ長調 D566/3 3部形式

となっている。「2番目に終楽章が書かれた楽譜」はいくつもあり

  1. 弦楽四重奏曲変ロ長調 D68
  2. ピアノソナタ嬰ヘ短調 D571+D570
  3. ピアノソナタ ハ長調 D613+D612

などは、第1楽章 → 終楽章 が続けて書かれたソナタ楽曲である。

スケルツォD566/3 を「第3楽章だ!」と固定観念を持つから、無理矢理終楽章を付けようとする


 これは、昨日号をお読み頂ければ、アホな顛末を理解して頂けることだろう。

ホ短調ソナタ D566 の楽章順



  1. 第1楽章 モデラート ホ短調 D566/1 第2稿 ソナタ形式

  2. 第2楽章 スケルツォとトリオ 変イ長調 D566/3 3部形式

  3. 第3楽章 アレグレット ホ長調 D566/2 ソナタ形式(← おそらく他のソナタの終楽章を流用)


である。 スケルツォ変イ長調D566/3 も「ソナタ ホ短調D566/1 第1稿」のために作曲されたのか? 「ソナタ 変イ長調? D557」のために作曲されたのか? これも何ともわからない。調性的には D557 に属した方が自然であるから。D557 の第1楽章と第2楽章の間、または第2楽章と第3楽章の間に挿入して聴いても、何も不自然な感じはしないだろう。(調性的には主調で終結しない違和感は相変わらず残るが)


 もし、D566/2 も D566/3 も他のソナタから流用したとするならば、何をそんなに急いだのか? D571+D570 の時と同じく

次ソナタ 変ニ長調D567 が頭に浮かんで離れなかった


と推察する。「Sonate X」と誇らしげに書き、死ぬ間際には「第3大ソナタ」として大改作した上に出版にまで漕ぎ着けた自信作である。
 シューベルトは後世の私たちからすると、時々とんでもないほど執着した曲がある。いくつか挙げると

  1. ミサ曲ハ長調 作品48 D452(第1稿1816.06-07作曲、1825.09.03出版、第2稿1828.10作曲)
  2. ピアノソナタ変ニ長調D567&変ホ長調D568(第1稿1817.06作曲、第2稿おそらく1828作曲)
  3. ピアノソナタロ長調D575(1817.08作曲、コラー嬢に作曲年を偽って捧げる)
  4. ミサ曲変イ長調 D678(1819.11-1822.09作曲)

などなど。この辺りの心情はシューベルト自身に尋ねてみないとわからないような気がする(爆
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする