シューベルトの「ベートーヴェンソナタ理解」と未完成ソナタの補筆について
シューベルトは、ごく初期の弦楽四重奏曲作曲当時(D18-D87)は、ハイドンとモーツァルトの影響が大きかったことは事実である。第1交響曲ニ長調D82(1813.10.28)はこの時期の作品である。
だが、第2交響曲変ロ長調D125(1814.12.10-1815.03.24)作曲開始までの間に、ベートーヴェン交響曲第2番作品36の影響を大いに受けたことは、シューベルト研究者であれば誰もが熟知していることである。つまり
シューベルトの「ピアノソナタ」は第1番D157 から、既に「ベートーヴェンの影響下」から作曲開始されている
ことを、ここに改めて述べて置く。
一部の学者や演奏家は、シューベルトが「最後の3大ソナタ」で、『ベートーヴェンの第15番~第18番を手本にした』ことを誇大に評価した チャールズ・ローゼン の学説をバカみたいに強調する。
しかし、
若き日のシューベルトが「手本にしたベートーヴェン」は、2曲のハ長調ソナタ = 第3番作品2/3 & 第21番作品53「ワルトシュタイン」であった
第2番イ長調作品2/2 にも影響を受けているし、第9番ホ長調作品14/1、第23番ヘ短調作品57「熱情」 や 第27番ホ短調作品90 などにも大いに影響を受けている。これらの調性の「シューベルト:ピアノソナタ」は全て存在していることに、注目してほしい。